QFII制度とは?


QFII制度とは

中国株に投資する投資信託目論見書などを読むと、「中国A株マザーファンドの組入比率は、中国のQFII制度にて認可された投資限度額、各投資対象市場における投資制度、および流動性等を考慮した上で決定します」といった記載が見られます。このQFII制度とはどのような制度でしょうか。

QFII(Qualified Foreign Institutional Investors)制度とは、日本語では適格外国機関投資家制度と訳されますが、中国当局による一定の適格条件を満たし、中国証券監督管理委員会(CSRC=China Securities Regulatory Commission)の認可を受けた国外の機関投資家に対し、中国A株等の人民元建て有価証券への投資を可能とする制度のことです。

この制度により、それまで、日本を含め外国人投資家にとっては、香港ドル建てや米ドル建てで取引する外国人向け市場に限定されていた中国株投資の市場が拡大することになりました。2019年12月末日現在、世界で313社がこの認可を受けており、野村證券、日興アセットマネジメント、大和証券、日本生命保険など日本の金融機関16社も含まれています。最新の適格国外機関投資家ついては、CSRCのホームページで確認できます。

なお、中国国家外貨管理局は2019年9月10日、適格外国機関投資家(QFII)などについて、限度枠を撤廃すると発表しました。

国家外貨管理局の発表

 

中国の株式市場

中国には、香港に香港取引決済所、中国本土に上海株式市場と深セン証券交易所があり、取引されている株式の種類は取引所によって異なります。なお、法律改正などにより取引ルール、取り扱い株式の種類等は変更されますので、最新の情報は各取引所のHPなどでご確認ください。

 

香港証券取引所(香港交易所)

香港証券取引所には、H株、レッドチップ、本土民間企業株(mainland private enterprise)、香港企業、その他の5種類の株式がありますが、H株、レッドチップ、本土民間企業株は基本的に中国本土株、その他は香港企業及び外国企業株です。全て香港ドル建てで取引されます。

  • H株・・・中国に登記された中国企業で、主に中国本土で事業を展開している企業の株式です。H株のHはHong Kongの頭文字をとったものです。大手銀行・保険会社、鉄鋼、道路、電力など重厚長大産業の国有企業等が上場しています。ただし、1999年11月に創設されたGEM(Growth Enterprise Market)市場では、ハイテク、バイオ・薬品、通信分野などのベンチャー企業が上場しています。2019年12月末現在、メインボードに262社、GEM市場に22社のH株が上場しています。
  • レッドチップ・・・中国本土以外で登記が行なわれているが、中国本土の資本によって株式保有、あるいは取締役などにより直接又は間接的に支配されている企業の株式です。2019年12月末現在、メインボードに168社、GEM市場に5銘柄が上場しています。
  • 本土民間企業株(mainland private enterprise)・・・H株・レッドチップ以外の中国本土の民間企業の株式。2019年12月末現在、メインボードに714社、GEMに70社が上場しています。

 

上海株式市場

上海株式市場には、A株とB株が上場しています。

  • 上海A株・・・A株市場は中国国内投資家向けの人民元建て市場です。2003年から中国証券監督管理委員会と国家外貨管理局の認可を受けた外国機関投資家にも開放されたQFII制度の対象株式です。上海A株は、中国本土で登記された企業の株式。
  • 上海B株・・・B株市場は主に外国投資家向けの米ドル建ての市場です。B株市場は1992年に外国投資家向け専用の米ドル建て市場として設立されましたが、2001年2月に国内投資家にも開放されました。上海B株は中国本土で登記された企業の発行した株式です。

 

深セン証券交易所

深セン証券交易所にはA株、B株、SME株、ChiNext株の4種類の株式が上場しています。

  • 深センA株・・・中国国内投資家向けの人民元建て市場。2003年から中国証券監督管理委員会と国家外貨管理局の認可を受けた外国機関投資家にも開放され、QFII制度の対象株式です。深センA株は、中国本土で登記された企業の株式です。
  • 深センB株・・・深センB株市場は主に外国投資家向けの香港ドル建ての市場です。B株市場は1992年に外国投資家向け専用の香港ドル建て市場として設立されましたが、2001年2月に国内投資家にも開放されました。深センB株は、中国本土で登記された企業の発行した株式ですが、香港ドル建てで取引されます。
  • SME株・・・SMEはSmall and Medium Enterprises Boardの略称で、中小型株市場のことです。日本語では「中小企業板」と呼ばれています。
  • ChiNext・・・ChiNextは創業間もない企業の株式が上場されている市場で、そのほとんどがハイテク関連企業です。日本語では「創業板」と呼ばれています。詳細は、深セン証券交易所ChiNextについてをご覧ください。