「フルインベストメント」を基本とする、とはどういうことですか?


投資信託目論見書のファンドの特色などに「フルインベストメント」を基本とします、という記載がされていることがあります。これは、有価証券の組入比率を高い水準に維持する方針であることを意味しています。

ファンドの資産(資金)をフル(full)に投資する。つまり、現金で持っていないで(現金比率をできるだけ抑え)、ファンド資産の100%近くまで証券を組み入れるということです。

投資可能な資金をできる限りフルインベストメントに近く投資対象に投資した方が、効率的な投資ができます。もし、100億円の資金を持つファンドがそのうち70億円しか運用していなければ、残りの30億円は現金として保有されていることになり、30億円はマネーマーケットなどから得られるわずかな金利収入しか期待できないことになります。

例えば、株式投資信託において、株式の組入に制限を設定していないファンドなどの場合は、通常100%近くまで株式を組み入れています。もし、フルインベストメントを基本にしているファンドなのに、組入比率が70%や80%程度と低い場合には、何か理由があってそういう状態にしてあると考えられます。その理由で最も一般に考えられるのが、ファンドの解約が多く、解約に対応するために組入証券を売却して現金で保有している場合です。また、2020年のコロナウィルス・ショックの時のように、市場が暴落するような局面では、ファンドマネージャーは、リスク回避のために一時的に現金比率を大きく引き上げることがあります。

運用会社はほとんどの投資信託について月報を公表しており、その中でファンドの「投資信託財産の構成」(項目の名称はファンドにより異なる)において、運用資産の現金比率を開示していますので、比率が低い場合には、運用会社などに理由を問い合わせてみるとよいでしょう。