欧州債務問題とは?


欧州債務問題とは

2009年のギリシャの政権交代により、過去10年以上にわたる巨額の財政赤字が暴露されたことに端を発したのが欧州債務問題です。2012年に入っても、終焉するに至っていません。このコーナーでは、欧州連合・ユーログループ・各国政府・格付機関などの発表等を基に、これまでの流れを整理しています。

 

欧州債務問題の経緯

(注意:全ての出来事や発表が含まれているわけではありません。また、詳細はリンク先でご確認下さい。)

 
年月日
出来事・発表など
ユーロ・ドル
2009年4月27日 欧州理事会、安定成長協定に基づきアイルランド、ギリシャ、スペイン、フランスに対し過剰財政赤字の是正要請。 1.3019
2009年9月23日 欧州委員会、3つの新しい欧州監督機関(ESA)からなる欧州金融監督システム(ESFS)の創設などを通じて欧州の金融部門の監督を強化する法案を採択。 1.4802
2009年10月5日 ギリシャ、総選挙によりパパンドレウ党首を首相とするPASOK 政権が発足。 1.4661
2009年10月20日 ギリシャ財務相、前政権における統計上の不備を理由に、財政赤字の実績・見通しを大幅に下方修正(2009年財政赤字対GDP比3.7%から12.5%)。 1.4928
2009年10月22日  EU統計局(Eurostat)、ギリシャの財政収支の統計値に重大な不確実性ありとして集計発表を留保。 1.5026
2009年10月26日 欧州委員会、欧州の金融監督強化のための追加法案を採択。 1.4859
2009年11月10日 欧州経済・財務相理事会(ECOFIN)、ギリシャの財政収支の統計値について遺憾を表明、ギリシャに対して統計情報の信頼回復対策を至急講じるように要請。 1.4979
2009年12月2日 欧州経済・財務相理事会、ギリシャに是正措置が不十分と警告。 1.5035
2009年12月16日 スタンダード&プアーズ(S&P) 、ギリシャの長期格付け「A-」を「BBB+」に1段階引き下げ。 1.4516
2009/12/22
ムーディーズ、ギリシャをA2からA1に格下げ。
1.4253
2010/1/12 欧州委員会/EU統計局、2009年11月10日のECOFINの決定を受け、ギリシャの統計についての調査を実施。報告書の中で2004年から2009年のギリシャの統計データおよび算出方法に懸念を表明。 1.4494
2010年2月11日 欧州理事会、財政赤字削減に向けたギリシャの財政再建策を支援することで合意。ギリシャからの金融支援の要請はまだない。 1.3687
2010年3月16日 EU経済・財務相理事会、ギリシャが理事会の決定および自国の安定化計画を適切に実施しており、公表された対策が2010年の予算目標を達成するのに十分であると判断。
2010年3月16日 ユーロ圏財務相会合、ギリシャから財政支援の要請があれば、IMF の財政支援と EU 主要国の財政支援の組み合わせにより、2 国間協調融資を行う用意があることで合意。 1.3769
2010年3月17日 S&P、ギリシャを「BBB+/A-2」に据え置き、「クレジット・ウォッチ」を解除、アウトルックは「ネガティブ」と発表。 1.3737
2010年4月22日 EU統計局、ギリシャの財政赤字が予想を上回る GDP 比 13.6%に達したと発表。ギリシャの 10 年物国債利回りが 98 年以来最高水準となる 9.13%に上昇。 1.3288
2010年4月23日 ギリシャ、EU などに支援を正式要請。 1.3382
2010年4月28日 S&P、ギリシャを「BB+/B」に格下げ、アウトルックは「ネガティブ」と発表。 1.3204
2010年5月2日 ユーロ圏財務相会合、ギリシャ支援策に合意(3年間で1,100億ユーロ(ユーロ加盟国から800億ユーロ、IMFから300億ユーロ)。 1.3191(5/3)
2010年5月7日 ユーロ圏首脳会議、5月2日の財務相会合の合意を承認。 1.2752
2010年5月10日 経済・財務相理事会、E " class="glossaryLink ">FSF(欧州金融安定ファシリティ)等の「欧州安定化メカニズム」創設に合意(ユーロ圏加盟国へ総額5,000億ユーロの緊急支援枠組み。IMFも2,500億ユーロ程度の資金支援を行なうこととし、合計7,500億ユーロ程度)。 1.2791
2010年6月7日 欧州金融安定化ファシリティー(EFSF)設立。 1.2631
2010年7月23日 EBA、ストレステストの結果を公表(ベンチマーク未達成は、停滞シナリオ時、7行(スペイン5行、ギリシャ1行、ドイツ1行))。 1.2905
2010年10月20日 欧州委員会、金融部門の危機管理に関する新しいEUの枠組み案を発表。 1.3958
2010年11月15日 EU 統計局、ギリシャの2009年度財政赤字をGDP比13.6%から15.4%に上方修正。 1.3589
2010年11月21日 アイルランド、EU らに支援を正式要請。 1.3624(11/22)
2010年11月28日 ユーロ圏財務相会合、アイルランド支援策に合意(3年間で850億ユーロ(銀行システム支援に350億ユーロ、財政支援に500億ユーロ)。 1.3120(11/29)
2010年12月17日 欧州理事会、ESM 設置のための限定的な条約改正に合意。2012 年末までに加盟各国の批准を終え、2013 年 1 月の発効、同 7 月からの稼働を目指す。 1.3188
2011年1月1日 エストニアがユーロに参加。 1.3355(1/3)
2011年3月11日 ユーロ圏首脳会議、ESM の貸出し上限を 5,000 億ユーロとするなど基本枠組みに合意、ギリシャへの融資条件緩和に合意。 1.3902
2011年3月25日 欧州理事会、ESM の枠組み、機能などについて承認。 1.4089
2011年4月7日 ポルトガル、EU などに支援を正式要請。 1.43
2011年5月16日 ユーロ圏財務相会合、ポルトガル支援策に合意(3年間で780億ユーロ(ユーロ圏加盟国から520億ユーロ、IMFから260億ユーロ))。 1.4161
2011年6月20日 欧州理事会、ESM 設置条約に合意したことを歓迎し、2012 年末までに批准することで改めて合意。 1.4308
2011年7月15日 EBA、ストレステストの結果を公表(ベンチマーク未達成は8行(スペイン5行、ギリシャ2行、オーストリア1行))。 1.4152
2011年7月21日 ユーロ圏首脳会議、ギリシャ向け第2次金融支援(ユーロ加盟国とIMF合わせて1,090億ユーロ。また、民間金融機関により370億ユーロ、債券買戻費用が126億ユーロ)・EFSF機能拡充(要望的枠組みとしての活用・政府への融資を介した金融機関への資本増強・流通市場への介入)に合意。 1.4423
2011年7月25日 ムーディーズ、ギリシャの格付を Caa1 から Ca に引き下げ、見通しは検討中と発表。 1.4378
2011年7月28日 S&P、「ギリシャの長期格付けを「CC」に格下げ、アウトルックは「ネガティブ」–短期格付け「C」は据え置き」と発表。 1.4330
2011年10月13日 EFSF機能拡充についてユーロ圏全17カ国で承認が完了。 1.3777
2011年10月26日 ユーロ圏首脳会議、欧州債務危機に対処すべく包括的な施策に合意(ギリシャ支援・EFSFの更なる機能拡充・銀行セクターの信任回復のための方策・加盟各国による更なる財政再建)。 1.3893
2011年11月~ ギリシャ(11月11日、パパデモス新首相、イタリア(11月18日、モンティ新首相)、スペイン(12月首相就任予定、ラホイ国民党党首)で首相交代。
2011年11月21日 ハンガリー政府、IMF/EUに対して予防的信用枠を要請。 1.3490
2011年11月23日 欧州委員会、成長、統治および安定のための新たな方策を発表。 1.3346
2011年11月29日 ユーロ圏財務相会合、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能拡充について、①国債の部分保証導入、②共同投資基金(CIF:Co-Investment Fund)設立の 2 つの案を併用することで合意。 1.3334
2011年11月30日 FRB、ECB、日銀等6中銀がドル資金供給の強化を発表。 1.3438
2011年12月8日 EBA、銀行が必要とする資本増強額を公表(71行の必要な資本増強額の合計額は1,147億ユーロ)。 1.3345
2011年12月9日 ユーロ圏首脳共同声明発表。 ① 新たな財政ルール ② 自動的な制裁措置の発動 ③ EFSF(欧州金融安定化ファシリティ) ④ ESM(欧州金融安定化メカニズム) ⑤ IMFの資金基盤の強化 1.3387
2012年1月13日 S&P、ユーロ圏9カ国の格付けを引下げ。 1.2680
2012年1月11日 欧州委員会、財政赤字改善の期限が 2011~12 年に設定されていた国のうち、措置が不十分と判断した 5 カ国(ベルギー、キプロス、ハンガリー、マルタ、ポーランド)の状況を精査。ハンガリーを除く 4 カ国はその後改善策がとられたと判断。 1.2709
2012年1月27日 フィッチ、イタリア、スペイン、スロベニアの長期国債を 2 段階格下げ、キプロス、ベルギーの長期国債を 1 段階格下げ。 1.3221
2012年1月30日 非公式欧州理事会、英国とチェコを除く25カ国で「経済通貨同盟における安定、調整および統治に関する条約」の締結に合意。 1.3140
2012年2月13日 ギリシャ、財政緊縮法案が議会で可決。
2012年2月13日 ムーディーズ、スペインを 2 段階、イタリア、ポルトガル、マルタ、スロバキア、スロベニアを 1 段階格下げ。 1.3171
2012年2月14日 欧州委員会、加盟各国のマクロ経済指標を比較する「警告メカニズム報告書」を発表。 1.3129
2012年2月21日 ユーロ圏財務相会合、ギリシャ向け第 2 次金融支援策(2014 年までに総額 1,300 億ユーロの追加支援)と PSI(民間投資家の関与)に関して合意。 1.3235
2012年2月22日 フィッチ、ギリシャの格付けを CCC からC へと 2 段階引き下げ。 1.3245
2012年3月1・2日 欧州理事会開催。英国とチェコを除く 25 ヵ国で「経済通貨同盟の安定・協調・ガバナンスに関する条約」に署名。
2012年3月1日

欧州委員会、独立し信頼できる統計を確実なものとするギリシャの姿勢を評価。

1.3318
2012年3月2日 ムーディーズ、ギリシャの格付を Ca から C に格下げ。 1.3197
2012年3月9日 フィッチ、ギリシャの格付けをRD(一部債務不履行)1 段階引き下げ。
2012年3月9日 ギリシャ、民間債権者との債務交換条件合意 1.3155(3/12)
2012年3月13日 フィッチ、ギリシャの格付けを4 段階引上げ Bマイナスとし、見通しも安定的に変更。 1.3077
2012年3月14日 ユーロ圏諸国、約 1300 億ユーロのギリシャ追加支援を正式承認。初回として394 億ユーロの融資を承認。 1.3031
2012年3月30日 ユーロ圏財務相会合、経済通貨同盟( " class="glossaryLink ">EMU)の安定と健全性を守るには、最近実施された迅速かつ積極的な措置ならびに真の財政安定同盟に向けたさらなる質的前進が必要であったと声明発表。 1.3340
2012年4月19日 G20ロスカボスサミット開催。首脳宣言の中で、「G20のうちユーロ圏のメンバー国は,地域の一体性及び安定性を守り,金融市場の機能を改善し,国家と銀行の間のフィードバックのつながりを断ち切るためのすべての必要な政策措置を採る。我々は,ギリシャがユーロ圏内において引き続き改革と持続可能性の道筋に留まることを確保するために,ユーロ圏が次期ギリシャ政府と連携して取り組むことを期待する」と発表。日本はIMFに対する600億ドルの資金協力を表明。 1.3135
2012年4月26日 S&P、スペイン国債をBBB+に2 段階引き下げ。 1.3191
2012年4月30日 S&P、スペインの主要銀行 16 行の信用力格付けを発表し、うちサンタ ンデール銀行やビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)など 11 行を引き下げ。 1.3243
2012年5月17日

フィッチ、ギリシャの長期外貨建て・自国通貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「Bマイナス」から「CCC」に引き下げ。

1.2719
2012年6月7日

フィッチ、スペインの長期信用格付けを、「A」から「BBB」に3段階引き下げ。

1.2563
2012年6月12日 フィッチ、スペインの18金融機関を格下げ。 1.2506
2012年6月13日 ムーディーズ、スペインの長期国債格付けをA3からBaa3に格下げ。 1.2566
2012年6月21日 ムーディーズ、欧米大手金融機関15社を格下げ。 1.2548
2012年6月22日

EU理事会、ハンガリー政府の財政改革の措置を評価し、2012年3月に決定したハンガリーへの結束基金からの補助金約5億ユーロの支給停止措置を正式に取り消すことを決定。

1.2572
2012年6月25日 スペイン、EUに金融支援要請。
2012年6月25日 ムーディーズ、スペインの金融機関28社を1~4段階格下げ。
2012年6月25日 キプロス、EUに金融支援要請。
2012年6月25日 フィッチ、キプロスの格付けを 「BBB-」から「BB+」に引き下げ、投機的水準(ジャンク級)とすると発表 1.2502
2012年6月28・29日 ユーロ圏首脳会議、債券市場の安定化と銀行への直接支援に向けて救済基金の柔軟性を高め、危機対策を強化することで合意(ECBによる銀行監督制度の統一、救済基金を通じた銀行への直接資本注入、スペインの銀行の資本再編、救済基金の債券市場介入における柔軟性拡大)。 1.2663
2012年7月5日 欧州中央銀行、政策金利を1.00%から0.75%へ引き下げ、過去最低の水準とすることを決定。 1.2389
2012年7月6日
キプロス、ロシアに50億ユーロの融資を要請。
1.2287
2012年7月9日
ユーロ圏財務相会合、スペインの銀行救済に関して合意。
1.2313

 

【債務問題を抱える国の長期金利の推移】

longtermyield

【参考資料・HP】