公示催告による除権判決って何ですか?


(法制度の改正により、投資信託受益証券については、2007年1月4日に投信振替制度に移行したために、公示催告による除権判決は該当しません。株券については、会社法の株券失効制度をご参照下さい。)

投資信託の受益証券(その他の有価証券についても同様)を盗難や紛失といった事故により喪失すると、その権利を行使することができなくなります。同時に、その受益証券を入手にした人によって収益分配金に対する請求権や償還金に対する請求権といった受益者の権利を行使されてしまうリスクも生じます。このため、受益証券をなくしてしまった人は、受益証券再発行の手続きをすることになりますが、その前に、当該受益証券の無効を裁判所に申請して、当該受益証券の無効を宣言してもらわなければなりません。

具体的な手続きとしては、まず裁判所に当該受益証券が無効であることを申し立てます。裁判所はこの申し立てを受理してから、その受益証券の明細を官報に掲載し、受益証券の所持人が一定期間内に権利を届出るよう公示します。この一連の手続きを公示催告手続きといいます。紛失した受益証券が記名式だった場合にはこの手続きは必要ありませんが、無記名式の場合は6ヶ月以上の公示催告期間が必要です。

公示期間中に権利の届出がなければ、当該受益証券は無効である旨の判決が出ます。これを除権判決といいます。除権判決がないと、受益証券の再発行の請求ができません(商法第230条)。なお、先の公示催告期間にあわせ、再発行まではさらに数ヶ月、合計約1年が必要となり、また再発行の費用等も受益者に請求されます。万が一の時の、このような煩雑な手続きを避けるためにも、受益証券は自分で保有するより保護預かりにしたほうが安全であるといえます。また、実際に受益証券を無くしてしまった場合は、すぐに販売会社に相談してみましょう。