プルーデント・マン・ルール(Prudent man rule)とは?


プルーデント・マン・ルールとは

プルーデント・マン・ルールは、年金の運用など、他人のために資金の運用を行う受託者に課せられる義務で、「受託者は、専門知識を持った思慮深い投資家であれば、当然そうするように経済状況やリスクなどさまざまな要因を考慮して、思慮深く運用を行わなければならない」というものです。

最近では、プルーデント・パーソン・ルールとも呼ばれています。Prudentは「思慮深い、分別のある、良識的な」を意味する英語です。プルーデント・マン・ルールは、日本語では「思慮深い投資家の原則」などと訳されています。

 

米国のプルーデント・マン・ルール

1994に、米国の統一州法委員会(Uniform Law Commission)が「Uniform Prudent Investor Act」(統一プルーデント・インベスター法)を作成し、現在では、多くの州が同法を採択しています。ただし、適用範囲などは州によりことなります。

[Uniform Prudent Investor Actにおけるプルーデント・マン・ルール]

A trustee shall invest and manage trust assets as a prudent investor would, by considering the purposes, terms, distribution requirements, and other circumstances of the trust. In satisfying this standard, the trustee shall exercise reasonable care, skill, and caution.

 

受託者は、信託財産の目的、運用期間、分配要件、その他の状況を考慮することによって、思慮深い投資家であればそうするように信託財産の投資および運用を行なわなければならない。この基準を満たすときに、受託者は合理的配慮、技術、注意を持ってこれを実行しなければならない。(投信資料館訳)

これ以前においても、1974年に制定された米国の従業員退職所得保障法(ERISA法)の中で、年金基金の受託者責任としてプルーデント・マン・ルール(Prudent man standard of care)が定められていました。ERISA法は、企業年金制度や福利厚生制度の設計や運営を統一的に規定する連邦法です。また、米国の信託法にも同様の規定があります。

 

日本におけるプルーデント・マン・ルール

日本でも、私たちの厚生年金・国民年金の運用を行う年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)には、年金積立金管理運用独立行政法人法第11条(役員等の注意義務)の2において、次のように、プルーデント・マン・ルールが課せられています。

○年金積立金管理運用独立行政法人法(平成十六年法律第百五号)

(役員等の注意義務)

第十一条  管理運用法人の役員及び職員は、年金積立金が厚生年金保険及び国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。

2  理事長及び理事は、管理運用業務に関する職務の執行に際しては、委任を受けて他人のために資産の管理及び運用を行う者であってその職務に関して一般に認められている専門的な知見に基づき慎重な判断を行うものが同様の状況の下で払う注意に相当する注意(第二十二条において「慎重な専門家の注意」という。)を払わなければならない。

  理事長及び理事は、管理運用業務について、この法律、厚生年金保険法 若しくは国民年金法 、これらの法律に基づく命令若しくは通則法 若しくはこの法律に基づいてする厚生労働大臣の処分又は管理運用法人が定める業務方法書その他の規則を遵守し、管理運用法人のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

なお、米国や日本だけでなく、OECD加盟国やEUなどにおいても、同様のルールがあります。