GPIFも始めた「オルタナティブ投資」とは?


オルタナティブ投資とは

投資の世界では、株式、債券、短期金融資産のことを伝統的資産と呼びますが、これ以外の投資対象に投資することをオルタナティブ投資と言います。オルタナティブは英語のalternativeのことで、代替という意味です。したがってオルタナティブ投資は代替投資とも呼ばれます。

オルタナティブ投資は、伝統的資産の値動きとの相関が低いため、伝統的資産とオルタナティブ投資を組み合わせることで、長期的には運用資産全体のリスクを低減しつつ、より高い運用成績を達成できると考えられています。

 

オルタナティブ投資の種類

では、具体的にはどのような投資対象がオルタナティブ投資に含まれているのでしょうか。

一般に、ヘッジファンド、未公開株式、ベンチャーキャピタル、不動産、ファンド・オブ・ヘッジファンド、インフラ(社会基盤)、実物資産などへの投資が含まれます。

実物資産には、原油、貴金属、商品、農地、森林などが含まれます。また、高級ワインや宝石、絵画、希少コインなどの収集家向けの品物も投資対象となる場合もあります。

インフラ投資は、一般的に、エネルギー関連施設、発電施設、水関連施設や交通関連施設への投資を指します。

日本におけるインフラ投資では太陽光発電施設などのインフラ施設を投資対象とするインフラファンド市場が創設され、第一号ファンドとなる「タカラレーベン・インフラ投資法人(銘柄コード:9281)が2016年6月2日に東京証券取引所に上場されました。

 

年金も利用するオルタナティブ投資

海外では、多くの企業年金、公的年金、非営利団体などの機関投資家も、代替投資をポートフォリオに組み入れており、その割合は増加傾向にあると言われています。例えば、米国最大の公的年金基金としてその投資動向が常に世界中から注目されているカリフォルニア州退職年金基金(CalPERS)は、森林投資やインフラ投資といったオルタナティブ投資をポートフォリオに組み入れています。

日本では、厚生年金および国民年金の運用を行っている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も2015年からオルタナティブ投資を始めており、2019年第3四半期の運用状況速報によると、オルタナティブ資産の年金積立金全体に占める割合は 0.49%となっています。また、GPIFでは、基本ポートフォリオにおけるオルタナティブ投資の上限を5%と定めています。今後GPIFがどのようなオルタナティブ投資を行うかについては、インフラス トラクチャー、プライベートエクイティ、不動産その他とされており、具体的には、運用委員会の決議を経て決定されることになっています。