有価証券オプション取引とは、どのような取引のことですか?


有価証券オプション取引とは

有価証券オプション取引という言葉は、目論見書の中では第二部発行者情報の中の投資制限の中に出てきます(ファンドにより異なります)。例えば、「有価証券オプション取引の指図は次の範囲で行うものとします」等と書かれ、その後に範囲についての説明が続きます。

有価証券オプション取引とは、有価証券を原資産とするオプション取引です。

 

オプション取引とは

オプション取引とは、1) 事前に決めた将来の一時点にまたは一時点までに、2) 事前にきめた特定の資産を、3) 約定時に決める価格で、4) 約定時にきめる数量だけ、5) 売買する権利のことです。

先物が契約であるのに対し、オプションは権利であることにご注意ください。有価証券オプション取引と言った場合には、原資産が有価証券ですので、指数や先物に対するオプションは含まれません。個別株式銘柄や個別債券銘柄に対するオプションがこのカテゴリーにふくまれます。

たとえば東京証券取引所では、個別株式銘柄を原資産とする株券オプション取引が行われていますし、証券会社や銀行は店頭取引で、株式に加えて債券の個別銘柄に対するオプション取引も提供しています。個人投資家を対象とした個別株式オプションを提供している外資系の金融機関があり、証券取引所よりもこういった金融機関の方が機動的に対象銘柄を設定できる有利さも手伝って、場合によっては証券取引所の株券オプションよりも盛んに取引されているようです。

 

有価証券オプション取引の具体例

ソニーの株式に対する、権利行使日2017年3月8日、権利行使価格8,000円のコールオプションを1株分あたり39円で10,000株分購入した。

購入時:
オプションの場合、購入時に購入代金を支払うことになります。1単位あたり39円で10,000単位ですから、購入代金は  39×10,000 = 390,000円になります。

売却するケース:

3ヶ月後、ソニーの株価が上昇し、コールオプション価格は100円になったので、これを売却した。

売却時:
売却代金は、100×10,000 = 1,000,000円になります。売買益は、1,000,000-390,000 = 610,000円から手数料等の取引コストを差し引いた金額になります。

権利行使日まで保有するケース:

オプションを権利行使最終日まで保有した場合、オプションの保有者は権利行使するか権利放棄するかを選択することになります。最終日での判断は、単純に権利行使価格と対象資産の時価を比較することで決めることができます。コールオプションの場合時価 > 行使価格、プットオプションの場合時価 < 行使価格ならば権利行使、そうでなければ権利放棄をしたほうが有利になります。

 

株価が行使価格を上回っている場合:
ソニーの株価が2017年3月8日に9,000円になったので、オプションを権利行使した。
この場合、商品によって1) 権利行使代金を支払って時価9000円のソニー株式を、1株8000円で10,000株入手する、という場合と、2) 一株あたり9000-8000 = 1000円安く買えることになるので、差金決済で1000円×10,000 = 1,000,000円受け取る、という場合があります。どちらの場合でも効果は同じになります。
株価が行使価格を下回っている場合: ソニーの株価が2017年3月8日に3,000円になったので、オプションを権利放棄した。
この場合、コールオプション保有者は権利行使をすると時価よりも高い価格でソニーを買うことになりますので、権利放棄をしたほうが得です。権利放棄をすると、支払いや受け取りは発生しません。