鉄鋼・造船株型のファンドは主に鉄鋼、造船関連企業の株式へ投資し、 中には金属製品関連企業の株式も投資対象に含んでいる商品もあります。
鉄鋼業界の業績は、戦後復興期の旺盛な住宅需要や自動車普及による成長過程からもわかるように、鉄鋼生産需要の大きなシェアをもつ建設や自動車関連といった大口ユーザーの需要動向に左右されます。また、アジアを中心 とした海外への輸出動向を反映した製品輸出価格も株価を動かす要因となります。円高の際には製品価格の引き下げ圧力が懸念され、企業の業績に影響を与えるため、為替動向に加えて押さえておきたいポイント。
一方造船業界は、船価に大きく業績を左右されます。船価は新造船需要や海運市況といった要因に加え、日本と受注量を争う韓国の提示価格との競争力に連動します。限られた新造船受注のうえ船価が低いと収益を圧迫するこ
とになり、特に売り上げに占める造船比率の高い企業にとっては株価の下落 が心配されます。ただ、こういった状況から、造船メーカーは経営の多角化
に取り組み、重機機械工業などへ生産シフトが行われています。その柔軟性は評価対象となりますが、日経500種平均株価採用銘柄を組み込んでいるファン
ドでは、採用業種が造船から機械に変わった銘柄を組入れから除外するとい うケースもあり、事業多角化などの情報には注意した方が良いでしょう。
また、両業界とも、韓国や中国、台湾などを中心とした地域との競争の激化についても注目すべき点です。鉄鋼ではアジア地域の粗鋼生産高や韓国からの輸入品浸透状況、造船では他地域のドック建造や新造船受注などがポイントに。過剰設備の問題に関わるため、生産能力増強などの新聞記事には目を通しておくことが必要。
市場が成熟化し、大幅に需要拡大する要素が存在しない近年では、生産実績と生産能力を比較した需給ギャップが広がり、両業界に過剰設備の問題が重くのしかかっています。政府は1999年に「産業活力再生特別措置法」を成立させ、過剰設備を廃棄する企業に優遇税制を適用するなどの事業再構築推進対策を打ち出しています。今後はこのような過剰生産設備の廃棄をはじめとする業界全体での事業再編が、このタイプのファンドの将来性を握る一番の鍵となるでしょう。