インタビュー
今回は、日本インベスターズ証券株式会社の企画部次長上地明徳氏に、日本インベスターズ証券設立の背景、今後の展開等について話を聞いた。
日本インベスターズ証券株式会社は、日本初の投資信託専門証券会社として資本総額10億円で4月21日に設立。現在6月25日の営業開始に向け準備を進めている。
投資信託専門の証券会社を設立するに至った背景を説明していただけますか?
これは弊社社長である宮坂(元ジャーディン・フレミング投信投資顧問株式会社代表取締役副社長宮坂髞氏)の発案によります。日本では、投資信託会社は証券会社に投資信託の販売をやってもらっていますが、証券会社側は手数料を稼ぐ目的のために、回転売買を行いがちです。つまり、投資信託に利益が出ると顧客に対してその投資信託を売却し、他の投資信託を購入することを勧めてしまう。そのために、せっかくよいパフォーマンスを出している投資信託でも純資産総額が減少してしまいます。結果、運用会社は運用が思い通りにならないという悪影響が生じます。そこで、安定したよい運用を行うためには、投資信託を売る質のよい販売部隊が必要であると痛感していたのです。
その考えを実現させたというわけですね。
そうです。この質のよい販売部隊が顧客の立場に立って、資産運用に関する様々な相談にのりながら顧客に最も適した投資信託を選択してゆくべきであるという考え方、相談営業を重視した証券会社が必要であるという考えが日本インベスターズ証券設立の基本にあるのです。
会社の株主はジャーディン・フレミングと芙蓉グループから構成されており、独立系というイメージはないのですが。
結果的に芙蓉グループが集まったというだけであり、株主構成は弊社が取り扱うファンドの選択には何ら影響は与えません。経営の基本的な理念「投資家のための証券会社」という点を十分に理解、賛同してくださった企業です。
では、御社が販売するファンドが芙蓉グループの商品に偏ることはないわけですね。
ありません。あくまでも顧客の視線で世界中からよい商品を仕入れるということです。独立系だからそれができるわけです。同時に、運用会社に対しては競争を促していることになります。我々が顧客に代わって運用会社の運用をモニターしていることになります。
具体的にはどのような投資信託を取り扱うことになるのですか?
個人投資家が理解しやすいように投資信託を国内株式型、海外株式型、債券型に分類しました。更に国内株式型を、バリュー、グロース、総合、中小型に分類、海外株式型をグローバル、エマージング、北米、アジア・オセアニア、欧州に分類、債券型を国内債券型と海外債券型に分類しました。そしてこの分類毎に2〜3本のファンドを取り揃えます。営業開始当初では30本程度のファンドを揃える予定です。
現在、追加型株式投資信託だけで約1500本という数があるのですが、その中から30本を選ぶとなるとかなり大変だと思うのですが、どういう基準で選定するのですか?
基本的には定量分析と定性分析の2つのアプローチをとっています。つまり、定量分析においては過去のパフォーマンス、シャープ・レシオを基本とし、定性分析では運用担当者の経験など個人的力量を判断します。
個人投資家に代わって御社が専門家の目で数千本の中から30本程度に絞り込むということは、その30本はかなり過去のパフォーマンス、安定性などが優れており、かつ優秀な運用担当者が運用するファンドであり、自信を持って投資家に提案できるものだけであるということですね。
もちろんそうです。ファンドの数は、将来的には100本程度に増やす予定でいます。
商品の対象はあくまでも投資信託だけですか?
当初は日本の投資信託だけですが、将来的には外国籍の投資信託、商品ファンド、会社型投資信託、不動産ファンド、ヘッジファンドなども検討してゆく予定です。
運用商品全般ということですね。
そうです。顧客によっては既存の投資信託では満足しない方もいます。そういう方のニーズに合ったものとして、不動産ファンド、ヘッジファンドも取り揃える必要があると考えています。
投資信託専門の証券会社であるという点以外に御社の特徴はどういう点にあるのでしょうか。
経営理念の一つでもありますが、顧客に対して「モダン・ポートフォリオ理論」を基本とした説明を行うということです。
モダン・ポートフォリオ理論を基本とした説明を行うというのはどういうことですか?
投資信託というのは、リスク商品です。我々は投資信託を説明する際に、まずリスクから説明をします。リスクを説明する際にモダン・ポートフォリオ理論、即ち金融商品のリスク・リターンの理論的特性やポートフォリオの最適化、証券市場の効率性などをふまえて説明するということです。そしてリスクを理解していただいた方にのみ商品を販売します。逆にリスクを理解していただけれなければ、商品を買っていただかなくてよいと考えています。
投資信託にリスクがあるということは理解できますが、リスクとリターンのはっきりした関係は理解しにくい状況にあります。受益証券説明書にあるリスク・リターン分類というのも、投資信託のリスクというものを漠然と理解するには役立ちますがはっきりした関係、つまりリスク・リターンレベルの定義というか、条件がはっきりとは理解できない。そういう点をきちんと説明するのですね。
そうです。これからの投資家というのはリスク商品に投資するからは、モダン・ポートフォリオ理論の基本くらいのことは理解した上で投資しましょう、勉強しましょう、という考え方です。きちんと説明をすれば投資家は理解できると思っています。
そのためにどのような方法をとるのですか?
リスクとリターンに関する詳細な説明書を作成しています。加えて、営業担当社はPCを携帯しますので、お客様の収入や年齢等をお聞きし、その場でモダン・ポートフォリオ理論に合った資産配分のシミュレーションをお客様に提示することが可能です。その為のソフトウェアも開発してあります。資産配分の割合等を変更することでリスク・リターンがどのように変化するか、またその資産配分に合ったファンドはどれか、そのファンドを保有した場合に数年後どのような確率で資産がどう増えていることになるかなどのシミュレーションを見ていただけます。
十分なコンサルティングを行うためのツールということですね。
そうです。今までの投資信託の販売というのは、証券会社が行ってきました。証券会社の支店の営業マンが売っていたわけです。これを我々は初めてファイナンシャル・プランナーを採用することにより相談営業、つまりお客様のニーズを聞いてそれに合ったポートフォリオを作ってゆくという形になります。
これまでの日本のシステムでは、証券会社のニーズが第一にあって商品が開発され、それを顧客に販売していました。つまり、顧客のニーズがそこには存在していなかったのです。我々の場合は、ファイナンシャル・プランナーが顧客のニーズを聞き、それに応じて最適なファンドを提案するのです。第一に顧客のニーズがあるということです。
特定の運用会社の商品だけを販売するとなると、顧客のニーズに合ったものを組合わせることが難しいと思います。しかし、我々は独立系という立場ですから様々な運用会社の投資信託を選別して、よいものだけを販売できるわけです。様々な運用会社によるファンドを利用してシミュレーションし、納得していただいたものをご購入いただくというわけです。
販売体制はどうなっていますか?
営業開始当初は専属FP10人程度でスタートしますが、基本的には契約のファイナンシャル・プランナーによる営業網を構築することで全国展開します。証券業の兼業の禁止規定に関する法律が改正されれば(12月改正予定)、契約ファイナンシャル・プランナー30人程度の体制にする予定です。
店舗は持たないのですか?
本店のみです。
ファイナンシャル・プランナーは日本インベスターズ証券の社員ということですか?
契約社員ということになります。加えて、今年の12月からは保険代理店による兼業が可能になる予定です。そうなると、契約FPでなくても投信の販売が可能になります。既存の保険代理店、FP会社、税理士・会計士事務所などの中から優秀な人材・会社を選択、契約し販売代理店となっていただきます。更に本社で独自のトレーニング・プログラムによる研修を受けた上で販売資格を与えるということになります。
ただ、例えば保険商品などの場合は売るまでの商品説明がかなり重要で、その後のフォローというのは事故や病気がない場合はそれほど重要ではない場合が多い、しかし投資信託の場合は、販売した後のフォローが重要になります。例えば、米国株式が下落した場合に投資信託にどういう影響を与えるかということをきちんとお客様に説明できる必要があります。そういうマクロ経済的なことも十分わかっている人を選択する必要があるわけです。ですから、その人選、教育・研修にかなり力を入れております。
本店の営業担当の役割は?
当初は、本店の専属のFP部隊が実際に営業活動を行いますが、契約FPを導入してゆく段階では、専属のFPは契約FPのオーガナイザーという役割を果たします。
本日はどうもありがとうございました。(取材日:1998年5月21日)
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