インタビュー
R. トッド・ルパート氏(T.ロウ・プライス・アソシエーツ社常務取締役法人部長)
「T.ロウ・プライス・アソシエーツ社(T. Rowe Price Associates, Inc.)について」(掲載日11月6日)
今回は、T. ロウ・プライス・アソシエーツ社(T. Rowe Price Associates, Inc.)の常務取締役法人部長であるR. トッド・ルパート氏(Mr. R. Todd Rupert)に、T.ロウ・プライス・アソシエーツ社の歴史や特徴などについて話を聞いた。T. ロウ・プライス・アソシエーツ社は、米国ボルチモアに本拠地を置く米国最大手の運用会社である。今回のインタビューはルパート氏の来日中98年10月29日に行なわれた。
T. ロウ・プライス・アソシエーツ社は米国では大手運用会社として知られていますが、日本の個人投資家の間ではまだ馴染みがありません。御社のバックグラウンドをご説明下さい。
T. ロウ・プライス・アソシエーツ社は1947年に設立された運用会社です。社名は創始者でもあるトーマス・ロープライス(Thomas TowePrice)の名前に由来しています。ロープライス氏は当時最も尊敬されていた投資家の一人でした。彼は、金融商品を販売して手数料を稼ぐという仕事に携わることを望まず、資金運用という道を選択しました。そして、これがT. ロウ・プライス・アソシエーツ社の設立となったのです。1947年のことでした。その後会社は成長し、現在では米国で第三位のミューチュアルファンドの直接販売会社にまでなりました。
その他に、T.ロウ・プライス・アソシエーツ社の特徴は何ですか?
まず、プロフェッショナルの定着率が高いということです。
プロフェッショナルというのは、ファンドマネージャーやアナリストのことですか?
そうです。例えば、我が社のチーフ・インベストメント・オフィサーは、1971年から我が社で運用に携わっています。チーフ・エグゼクティブ・オフィサーは、1968年からです。我々の運用しているミューチュアルファンドの70%以上については、ファンドの設定以来または少なくても5年以上同じファンドマネージャーが運用を担当しています。
運用業界では、日本を含めてファンドマネージャーは高額な報酬を求めて渡り歩くというイメージがありますから、そういう中にあって御社のようなケースは稀なのでしょうね。ファンドマネージャーやアナリストの定着率の高さというのは投資家にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
運用者の定着率が高いということは、投資プロセスの安定度が高いということになります。それがファンドの長期的な安定的パフォーマンスに繋がるのです。だからこそT.ロウ・プライス・アソシエーツ社はファンドの安定的な運用という点で定評があるのです。もう一つの特徴というのは、リスク調整後のリターンが高いということです。多くの人がファンドを見る場合に単にリターンの高さに注目します。つまり、ファンドのリターンが何%だったかということだけに注目するのです。しかし、我々がF何度を運用する場合には、どの程度のリスクをとっているのかという点に重点を置くのです。例えば、ここに米国の有名なミューチュアル・ファンドという雑誌がありますが、ここでも最も高いリスク調整後のリターンを提供するファンドファミリーとして我が社が紹介されています。
モーニングスターなどの評価会社による評価はどうですか。
モーニングスターの評価においても、米国の株式ファンドの中では2年連続でリスク調整後のリターンの高さで第一位となっています。
ファンドマネージャーの定着率の高さとリスク調整後のリターンの高さが御社の強みであるということですね。ところで、御社は米国を本拠地としているわけですが、海外のオペレーションはどのように展開していますか。
米国の債券および株式ファンドのファンドマネージャーは全員ボルチモアにある本社におります。米国の外ではフレミング・グループとの提携により拠点を設けています。アジア地域ではジャーディン・フレミング社と提携し、欧州ではロバート・フレミング社と提携しています。海外に多くのオフィスを持つということとファンドの運用成績とは関係ありません。規律のとれた投資プロセス、投資プロセスの完全性、優秀な人材というのがファンドの運用成績の高さに繋がるのです。我々は他の大手運用会社と比較した場合、海外オフィスの数もアナリストの数も少ないわけですが、ファンドの運用成績においては彼らより優れているのです。投資家は世界中にオフィスがあるからといって運用会社を選択するわけではないのです。高い運用成績を残していりうかどうかで運用会社を選ぶのです。
提携以外の形で海外に進出したことはないのですね。
ありません。例えば、欧州に関して言うと、1979年にロバート・フレミング・グループとの提携によりロンドンに進出しました。具体的にはT.ロウ・プライス・アソシエーツ社50%、ロバート・フレミング社25%、ジャーディン・フレミング社25%出資でジョイントベンチャーを設立しました。米国外での株式並びに債券市場での資金の運用というのは、このジョイントベンチャーによって行なわれています。98年6月末時点で我々T.ロウ・プライス・アソシエーツ社は約1400億ドルの資金を運用していますが、そのうち約330億ドルについては米国以外の株式や債券で運用しており、それはこのジョイントベンチャーによって運用されています。T.ロウ・プライス・アソシエーツ社は、米国最大のインターナショナルノーロードミューチュアルファンドの提供会社なのです。ですから、米国外での運用もとても大きな部分を占めているのですが、運用についてはフレミング・グループとの提携によって行なわれているわけです。T.ロウ・プライス・アソシエーツ社の50人を超えるアナリストというのは、米国の株式と債券に特化したスペシャリストなのです。
運用哲学は?
T.ロウ・プライス・アソシエーツ社においては運用哲学というのはファンドにより異なります。例えば、テクノロジーセクターに投資するファンドの運用哲学というのは、他のファンドとは異なります。しかし、どのファンドにも共通する哲学もあります。それは、インデックスを上回るリターンの獲得ということです。これは、株式ファンドについても債券ファンドについても同じことです。そして、これはあくまでもインデックスのとったリスクよりも小さなリスクをとった上で、長期的にインデックスを超えるリターンを獲得するという意味なのです。
今お話いただいた以外の特徴はありますか?
日本ではブランドというものがとても重要視されていますね。T. ロウ・プライス・アソシエーツ社というのは、日本ではあまり馴染みのない社名かもしれませんが、米国においてはT. ロウ・プライス・アソシエーツ社というのは一流のそして最も尊敬されている運用会社だということです。ですから、日本の個人投資家が米国への投資を検討しているのであれば、T. ロウ・プライス・アソシエーツ社が米国ではとても有能な運用会社として認められた会社であるということを知っていてほしいですね。重要なことは、我々が長期的にすばらしいリターンを提供し続けてきているという事実なのです。
それと、我々の投資というのはとても保守的なものです。日本の投資家というのは一般にとても保守的であり、我々の投資スタイルと合っていると考えられます。
確かに、投資信託をこれからはじめて購入してみようと考えている個人投資家は多いと思われますが、彼らはリスクをとるというより比較的リスクの低いものから検討するでしょうね。
我々の投資アプローチというのは、大きなリスクをとらないという方法です。そして、日本の社会や会社というのは、雇用の安定ということを重視した社会です。T. ロウ・プライス・アソシエーツ社には、この安定があります。ですから、文化的そしてオペレーション上での環境というのが、T. ロウ・プライス・アソシエーツ社と日本には共通した考え方があると思います。
確かに、日本の投資家にはT. ロウ・プライス・アソシエーツ社という会社そして運用方針というのは理解しやすいと言えそうです。現時点は日本の個人投資家が購入できるT. ロウ・プライス・アソシエーツ社の商品というは、明光証券で販売しているライフ・アンド・インカムファンドだけですね。
そうです。
本日はどうもありがとうございました。
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