インタビュー

 

富岡英浩氏

インベスコ投信投資顧問株式会社運用部門ディレクター

 

「GT・ジャパン・ニューフロンティア・オープンの運用について」

 

今回はインベスコ投信投資顧問の運用部門ディレクター富岡英浩氏に、同氏の運用する「GT・ジャパン・ニューフロンティア・オープン」の運用について話を聞いた。GT・ジャパン・ニューフロンティア・オープンは国内株式型一般型に分類される追加型株式投資信託。設定は96年11月6日。設定来騰落率は8月末現在+24.53%。販売会社は日興証券。

 

富岡英浩氏は86年より日本債券信用銀行にてファンドマネージャーとして活躍。96年にLGT投信・投資顧問(98年にインベスコ投信投資顧問と合併)へ移り日本株ファンドを中心に運用を担当。現在インベスコ投信投資顧問株式会社運用部門ディレクター。慶応大学法学部卒、ペンシルベニア大学大学院MBA。


 

 ファンドの狙いや目的をご説明下さい。

 日本株を対象とするアクティブ運用のファンドです。スタイルとしてはグロース(成長)、急速に進展する構造改革、規制緩和などにより恩恵を受ける企業に投資します。

 

 そういう企業をニューフロンティア企業と呼んでいるのですね。

 そうです。

 

 ファンド名にもなっていますが、このニューフロンティア企業というのをもう少し詳しく説明していただけますか?

 歴史的背景から説明しましょう。バブルの発生から崩壊までで約10年という期間が経過しました。公的資金の注入などによりやっと今よい方向に進み始めたところです。そういう中で、当社は日本では大きな構造改革が起こらざるをえないと認識していました。ここでいうニューフロンティア企業の定義は、構造改革後の日本を背負ってゆく企業ということです。

 

 具体的には個別の企業を見たとき、その会社がニューフロンティア企業であるかどうかというのはどのように判断するのですか?

 構造改革後に日本に何が起こるかということを考えて、その中からいくつかのテーマを絞り、そのテーマに合った銘柄を選択します。

 

 どのようなテーマがあるのですか?

 ハイテク、ソフト、通信、消費サービス、金融サービス、ヘルスケア、専門性の強い小売というテーマです。

 

 構造改革によりこういう業種の企業が大きく変貌するということですか?

 そうです。そういう業種が伸びるということです。逆を言えば、他は縮小傾向にあると見ています。例えば、ハイテク、ソフト、通信は、パソコン、携帯、インターネットの普及により今後新しい産業が造られ、雇用機会の増加にも貢献します。

 

 小売サービスというのは?

 小売業界は、百貨店や個人商店からより経営効率の高いコンビニのチェーンや特化型の小売チェーンなどに替わってゆくと見ています。こういう構造変化が期待できると思います。

 

 金融サービスについては?

 日本は銀行等の数は多く、金融サービスは産業としては東証の時価総額に占める割合も13%程度あり大きいのですが、このファンドでいう金融サービスというのは、従来型の企業融資を中心とした金融機関を指しているのではありません。個人を中心とした金融サービスを提供する会社です。こちらはまだ数が少ないというのが現状です。個人資産に占める投信の割合でみても欧米と比較してまだ小さいですし、個人向け金融サービスは伸びると思います。

 

 例えばインターネット証券や銀行なども含まれますか?

 そうです。現在では上場しているところはないですが、今後期待できると思います。

 

 ヘルスケアは?

 人口構成の変化、つまり高齢化と、それと技術革新による治療法の開発などにより今後は市場が拡大すると予想しています。確かに医療費の削減という構造的問題はありますが、一方で、介護保険法の施行に伴い介護のアウトソーシングのニーズなどが生まれ、市場拡大が期待できます。

 

 全て構造改革、規制緩和により市場の拡大が期待できる業種の企業ということですね。そういう企業に投資することでファンド資産の増加を図るということですね。

 そうです。特に、欧米の先進国と比較して、これまで挙げてきた分野において日本は遅れています。

 

 

 遅れているということは伸びるということですね。

 そうです。かなり高い成長が期待できるということです。そういう業種なりテーマの会社を調べ投資しているのです。

 

 銘柄選定までのプロセスはどのようになっていますか?

 ボトムアップを基本としています。ただし、トップダウンも用いています。当社は社内に5人のエコノミストがいます。彼らからのインプットを参考にしているという意味では、トップダウンも用いているということです。彼らがやっていることは景気の分析なのですが、主にマネタリーフローアプローチを行っています。簡単に言うとマネーサプライとか中央銀行のバランスシートのような通貨の状況が経済活動に大きな影響を与えるという前提に立っています。彼らは通貨の状況を詳細に分析して、今後の経済活動がどうなるかを予測します。これは全世界を対象に行います。そこから経済成長や国別の企業収益の予測を行います。もう一つは日本に限らず世界的に構造変革の状況等を調査しています。その結果として重要なテーマとして先ほどのテーマが生まれたわけです。

 

 テーマはトップダウンから生まれるが、その先のファンドの運用というところではあくまでもボトムアップで銘柄選定を行うのですね。

 そうです。エコノミストの分析から良い業種、そうでない業種が判りますので、アナリストがその良い業種を中心として調査を行うのです。

 

 エコノミストの分析の段階で、国別あるいは業種別のモデルポートフォリオまで作られるのですか?

 いいえ、そこまでは行いません。

 

 あくまで大枠が提供され、そこから先はボトムアップということですね。

 そうです。

 

 このような成長性を重視したファンドにおいては、ボトムアップで個別企業を調査する場合にはどのような点を見るのですか?

 いくつか重視している点があります。需要の強い製品を持っているか、価格決定力があるかどうか、マーケットシェアが高いか、経営陣の質、株主を意識した経営を行っているかなどです。バリュエーションについては、資金需要をファイナンスするだけのキャッシュ・フローがあるかどうか、資本効率であるROEが高いかどうかなどですね。共通して言えることは、これらは成長力を決定する要素であるということです。

 

 価格決定力というお話がありましたが、先ほど指摘いただいたPC、通信、ソフトという業種を見ると、例えばパソコンの価格は下落していますし、通信費も同様です。こういう企業の中で具体的に価格決定力を持つ企業というのはどういう会社ですか?

 例えば、このファンドの保有銘柄で言うとロームですね。ロームというのは電子部品を生産している会社です。他のNECや日立など産業用エレクトロニクス企業がどんどん最先端の製品を生産し続けているのに対して、最先端のハイテク部品を作っても設備投資に資金がかかりすぎるし価格競争も激しいということで、アナログ系の部品に資源を集中し、提案型のカスタムICの拡大に注力するという大きな決断をしました。その決断が功を奏して、その分野で非常に高いマーケットシェアを持つようになっています。

 

 ユニークな決断をしたのですね。

 そうです。そういう部品や製品は他の企業がもう生産しなくなっていますし、価格も安定しています。ですから、現在、ロームの粗利は他と比較してとても高くなっています。ソニーというのはまた別ですね。価格決定力があるというより、価格競争力があるということです。次々に新しい製品を出していて、企業に柔軟性がり、価格競争力があります。

 

 保有銘柄のNTTドコモはどうでしょう。

 サービス価格は下がっており、一時CDMA Oneの拡大によってシェアを落とした時期もありましたが、基本的に高いマーケットシェアに変わりはありません。こういう業種は一度市場をとってしまうと、他がそれを切り崩すのは困難な業種ですね。

 

 そういう調査は企業訪問により行っているのですね。

 そうです、保有銘柄については全て個別企業を訪問した上で選択しています。

 

 結果として現在このファンドで保有している銘柄数は34銘柄ということですね。

 そうです。バイ・リスト(購入対象銘柄)には120の銘柄があります。この120銘柄は60ずつの2つのグループに分かれています。コアの方の60銘柄というのは、純粋なバイ・リストです。今直に買ってもよい銘柄です。もう一方のグループは補助リストと呼んでいますが、良い会社で、投資基準に合致はしているが、株価が高すぎるか今の景気のサイクルでは買いたくない銘柄です。これらの銘柄は株価が下がったり、景気サイクルが変化した場合には再度調査してコアグループに入れます。

 

 この34銘柄という数は組入銘柄数としては少ない方ですね。

 ええ少ない方です。当社が運用している他のファンドでは40から45銘柄というのが平均的な数字です。銘柄数が少ないということはアクティブ運用が行われているということでもあります。

 

 積極的な投資姿勢の現われということですね。

 そうです。ベンチマークへの組入れが高いからという理由だけで銘柄を組入れたりはしません。言い替えるとベンチマークとの比較におけるトラッキングエラーを意識していないということです。当社が発掘した良い銘柄だけが入っているということです。

 

 ボトムアップアプローチによる積極的な投資を行った結果、業種別配分では8月末現在で、電機機器が30.9%、サービスが14.6%、通信業が10.8%となっているのですね。

 そうです。

 

 その他金融というのはどういう銘柄ですか。

 商工ファンドやアイフルですね。ニッチな市場ですが需要は強いですね。米国などと比較すると消費者ローンや中小企業向けローンの市場は小さいですね。ただ、需要は強く、今後伸びることが期待できます。

 

 この1年程度のうちに業種別投資比率に変化はありましたか?

 サービスが増えました。ソフトウェア会社等の企業数が増えてきたことで、投資基準に合う銘柄がこのセクターで増えたということです。その他においては変わっていませんね。

 

 新規上場企業が増えたというお話がありましたが、米国などでは新規にナスダックに上場した企業の破綻などが報道されましたが、そういうリスクは含んでいないでしょうか。

 新規企業にはそれなりのリスクはありますが、成長企業に投資するからといって、このファンドが他のファンドと比較して相対的にリスクが高いということはありません。実際に現在の日本においては大企業の破綻が目立つわけですから。

 

 純資産総額の推移はどうですか。

 今年に入ってからかなり増えており、現在約54.6億円程度です。

 

 そうですね。今年に入ってからの上昇が急激ですね。この要因は何ですか?

 日本株市場が回復したことで新規資金が入ってきました。

 

 このファンドのパフォーマンスは設定来騰落率で8月末時点で+24.53%とかなり良い。ベンチマークは同時期で見ると−3.33%でしかありません。ベンチマークがマイナスの時に、20%を超えるパフォーマンスはファンドマネージャーの腕が良いということなのでしょうが、要因はどんな点にあるということでしょうか。

 テーマの選択と銘柄選択が良かったということ。それと、組入比率についてもかなりアクティブにやってきたというのもパフォーマンスに貢献したと思います。

 

 つまり、相場に合わせてキャッシュ比率を柔軟に変動させてきたということですね。

 そうです。例えば、相場状況が悪かった98年後半には60〜70%程度にまで下げて対応しました。このファンドは必要な場合にはキャッシュ比率を高めるという方法を採っています。

 

 どうもありがとうございました。また、フォローアップにお伺いさせて頂きます。

 


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