インタビュー
今回は、明治ドレスナー・アセットマネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャーである八木甫氏に、同氏の運用する「明治ドレスナー日本株式リサーチオープン(愛称:和太鼓)」の運用について話しを聞いた。同ファンドは、平成12年4月19日に設定された国内株式型(一般型)に分類される追加型株式投資信託。インタビューは、平成12年8月24日に実施した。
和太鼓は、日本株ファンドということですが、このファンドのねらいと特徴をお聞かせ下さい。
和太鼓は主に「明治ドレスナー日本株式マザーファンド」と「明治ドレスナー中小型株式マザーファンド」に投資することによって、実質的に日本の株式に投資して、TOPIX(東証株価指数)を上回るパフォーマンスを目指すファンドです。
和太鼓は、明治ドレスナー日本株式マザーファンド、明治ドレスナー中小型株式マザーファンドを主要投資先としていますが、直接市場に投資せず、あえてマザーファンドに投資する意味はどこにあるのですか。
日本株式マザーファンドは大型株ポートフォリオ、中小型株式マザーファンドは中小型ポートフォリオとなっております。明治ドレスナーとして統一した運用方針のもと、いずれ新しいファンドが創設されたときも、和太鼓と同様に、この2つのマザーファンドに投資することができます。 明治ドレスナーでは、チーム運用を基本に、年金運用と全く同じものを一般の投資家にも提供するというのが投資信託についての基本的なコンセプトですから、それぞれのファンドマネジャーが自分たちの個性でそれぞれ運用するということはないわけです。
今後ファンド数が増えてくれば、マザーを中心にしたファンドファミリーが形成されることになります。各ファンドの違いは、日本株式マザーファンドと中小型株式マザーファンドの組入れの割合の違いとか、まだありませんが外国株式マザーファンドを組入れるといった基本的なアロケーションの違いで差別化されることになると思われます。
各マザーファンドでは3名ずつのファンドマネジャーが運用を担当し、合計6名で国内株式運用チームを構成していますね。チーム運用をうたわれていますが、チーム運用というと、没個性にはなりませんか。
1人のファンドマネジャーが運用するといっても、銘柄は3000以上もありますから、実際はムリな話です。たとえば、中小型株の場合、確かに経営者に会って話を聞くということも重要であり、その意味で足で稼ぐ部分もありますが、競合他社との比較など膨大なリサーチが必要です。ただ行けばいいというものでもありません。
確かに、チーム運用は最大公約数的な運用になってしまう弊害はありますが、長期の年金運用であれば、高いレベルでの投資スタイルの安定性が要求されるので、集団の力でそれぞれ専任制を発揮したほうがいい。役割分担をし、その中でそれぞれが責任を果たしていくほうが、効率よくリサーチできるものです。チーム運用というとらえ方にもよりますが、和太鼓に関わるメンバーは現在、ファンドマネジャー6人、アナリスト3名ですが、近いうちに十数名のチームになっていく予定です。
和太鼓のためには、どんなリサーチが行われているのですか。
明治ドレスナーは、世界全体のドレスナーグループの中の日本における戦略拠点という位置づけです。そのため、海外拠点との情報交換が進んでいます。投資企業の選定ひとつとっても、海外から見たグローバルな視点でどうか、海外のマーケットではどんなことが起こっているか、欧米では同種の企業はどういった評価を受けているかなどをくまなくリサーチします。日本の企業でも、国際的にどんな評価がなされているかを常に確認することができます。日本株といっても、海外からの目でリサーチすることが重要なのです。
そうなると、国際的なチーム力といえますね。
ドレスナーグループの調査は、徹底しています。市場調査に近い調査も、組織的に行っています。たとえば、ある製薬メーカーの新薬の売れ行きについて調べるとします。医者や購買担当者に評判を聞く他、消費者にインタビューするとか、スーパーマーケットの店頭でチェックするといったことまでを世界全体で行っています。サンフランシスコの拠点には、マーケティングの専門家もいて、こんな調査をすればこんな結果が得られるといった指示のもとリサーチが行われます。こういった「運用のプロではないが、調査のプロ」といった人たちもチームの一員なのですから、彼らを含めればものすごいチーム力だといえます。
次は、実績とコストについてうかがいたいのですが、当ファンドはTOIPXを上まわることが目標ですが、TOPIXのインデックスファンドとはどう差別化されますか。また、インデックスと違わないのであれば、コストの安いインデックスファンドのほうが有利ということにはなりませんか。
当ファンドは、長期的な意味での資産形成が目的なので、コツコツと地道に運用していきます。コストが気になるとのことですが、長い目でみればしっかりペイするものと考えます。ファンドマネージャーとして、1年単位で結果を出して行くつもりです。
また、当ファンドの運用方針は、明治ドレスナーの年金運用と全く同じですから、言ってみれば、年金のアカウントがひとつ増えたという意識です。明治ドレスナーの過去の運用実績をみても、過去5年間は年間5〜6%に達しています。インデックスファンドとの差別化にしても、当ファンドはTOPIXの欠点を配慮した運用になっています。単純な連動とは、異なります。
TOPIXのどんな点に注意されて、運用しているのでしょう。
TOPIXは、時価総額の大きい品薄株に左右されやすいと言えます。完全なるTOPIX連動型の場合は、買いたくない銘柄も買わなくてはならないわけですが、当ファンドは銘柄を絞っています。TOPIXの時価総額上位500銘柄の中から約50銘柄で、ファンドの運用を安定化させ、それ以外の70銘柄で味をつけているわけです。 今年の2月は、相場が加熱した反動できつかったのですが、当ファンドはムリに買ったりしないのでそういった反動も極力抑えられると考えています。完全なるTOIPIX連動型の場合は、買いたくない銘柄も買わなくてはならないので、TOPIXと同じような事態に陥ることになります。TOPIXはあくまで目標ですから、銘柄も絞っています。TOPIX銘柄は約50銘柄で、ここでファンドの運用を安定化させ、それ以外の70銘柄で味をつけているわけです。
まさに、二段構えに運用という感じですね。
そうですね。同じ銘柄でも、役割が異なってくると組み入れから外すこともあります。たとえば、商工ファンドですが、1部に昇格する前は味付けという意味で組み入れていても、1部に昇格し大型化してくると安定的な運用には不向きです。そうなれば、運用から外すことになるわけですね。今年話題になった光通信にしても、猛烈営業の拡大志向型は、伸びが止まったときの反動が怖い。そういう銘柄は、大型としての安定運用には適しているとは言えません。そういう判断ができるのが、インデックスファンドとは異なる点です。目標はTOPIXでも、中味は全く違うわけです。
運用にあたっては、「リスクコントロール手法」を活用しているとありますが、これはどういった手法でしょうか。
ファンドマネジャーが自由に投資判断を下すという方法もありますが、当ファンドの場合は、ある程度のルールを決め、それに従って運用することになっています。そのルールが、リスクコントロール手法です。たとえば、個別銘柄については絞り込みますが、業種全体での保有割合にはルールを決めています。電機、通信、銀行などの大きなセクターについては、最低でもTOPIXのセクター構成比率の50%まで、最高でも構成比率の2倍までしか保有しない、ということに決めています。たとえば、電機セクターであればTOPIXの構成比は20%前後ですから、最大40%最小10%の範囲ということになります。
年金運用の場合は、事前にお客さまにこうした方針で運用しますとお知らせし、納得していただいた上での運用になりますから、それから逸脱することはできないのです。そういう意味で、投信運用においても、一定のルールは必要なわけです。
週報の「組入れ銘柄寸評」はユニークですね。銘柄を毎週ひとつずつ取り上げてコメントを寄せられているので、個人投資家の方々も、ずいぶんと参考になるのではありませんか。
実は、毎週なので書くのに苦労しています。でも、正当なディスクローズを心がけていますから、良い銘柄だけでなく悪いものも取り上げることもあります。
最後に、和太鼓はどんな投資家に向いているのかと、八木さんご自身の展望などをお聞かせください。
和太鼓の運用スタイルは、あくまで成長株投資ですが、成長業種だけでなく各業種の中でも成長性の高い銘柄に投資していきます。個別銘柄としては、成長の可能性があり、さらにその可能性が現実化できそうな経営の質、財務体質がしっかりしていること、そして割安であることなどが投資条件となっています。もちろん、運用の大前提には年金運用がありますから、投資家の方々には長期的な資本形成を目的とした資金を投資して欲しいと思います。私の運用歴は10年なのですが、日本株市場にとっては最悪な状態の時でした。ここにきて、ようやく安心して見ていられる状況になったと思っています。今後も、ブームに惑わされず、どんな時代にも変わらない強さを目指していきたいと思っています。
本日は、どうもありがとうございました。
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