インタビュー

 

今回は「UFJパートナーズ 日本株オープン(愛称:ニフティ・ジャパン)」について、1997年9月の設定当初から運用を担当しているUFJパートナーズ投信株式会社のチーフファンドマネージャー、白須賀 啓介(しらすか けいすけ)氏にお話を伺いました。

 

「UFJパートナーズ 日本株オープン」は、国内株式に投資する追加型投資信託。モーニングスター社のファンド・オブ・ザ・イヤー2001で国内投資型部門の優秀ファンド賞を受賞しています。販売会社は、カブドットコム証券、東京三菱ティーディーウオーターハウス証券など。インタビューは3月26日に実施。 


 

モーニングスターのファンド・オブ・ザ・イヤーの優秀賞をおとりになりました。対象ファンド数595本の中から7本の優秀ファンドの中に選ばれたご感想は?  

とても驚いています。他のファンドの上位銘柄などを気にして左右されるといけないので、他と比べることはせず、今のポートフォリオよりも明日がよくなるようにということだけを考えて、基本に忠実にボトムアップにつとめた結果だと考えています。  

 

では早速、運用方針を教えてください。  

基本スタイルは個別銘柄のボトムアップ方式で、セクターごとの組入れ比率によってポートフォリオを組むことはしていません。グロースとバリュー両サイドから見て、「勝ち組」になると予想される銘柄に投資していきますが、私自身はグロースに比重をおいています。時価総額でみて7〜8割がグロースでしょうか。  

 

それはどういうお考えからですか?  

基本的に、投資は利益成長を買うものだと考えているので、中長期で成長を目指せる企業であるかどうか、収益の芽を持っているか、成長を持続させる手を打っているかといったことを重視しているのです。もちろん、それを割安で買うことは大切なことですが・・。  

 

グロースの観点としてはどのようなことがあげられますか?  

まず、戦略的リストラ、つまり攻めのリストラを行うことによって中長期的に高成長が期待できる企業ですね。また、規制緩和のメリットがあるとか新商品の開発力がある企業について、特に定性面の評価を重くして見ています。

 

戦略的リストラというのは?  

資産のスリム化を図るだけでなく、企業の得意分野を設定し、その分野に経営資源を集中的に投入することで、経営の効率化を図ろうとするものです。M&Aや部門売却といった手法が有ります。例えば、試作品大手の「アーク」は積極的なM&A戦略によって、従来の得意分野である試作工程の競争力を更に高めると同時に、その上流から下流に至る企業の製品開発工程全般にまでビジネスチャンスを広げる事に成功しました。また、M&Aといったやり方ではなくて、スクラップ&ビルドで成長軌道に乗せたのが回転寿司の「カッパクリエイト」です。同社は過去に十分戦略が練られていないにも関らず多方面に出店した店舗を閉鎖し、かわりに経営効率を高めた新型の大型店を立地を吟味したうえで出店した事で見事に業績が回復し、成長軌道に乗せています。  

 

バリュー投資についてはどういう観点をお持ちですか。  

この4月から「国際会計基準」が導入されます。国際会計基準の柱は、主に「連結会計」と「時価会計」ですが、それらに関係する投資尺度を基準に割安と評価される企業を選定します。連結会計に関係する尺度としては、連結PER、連結PCFR、連結ROE、連単倍率、連結経常利益伸び率など。時価会計に関連する尺度としては連結自己資本比率や土地・有価証券の一株当たり含み益、時価会計によるPBRなどを用います。PBRやPER、PCFR、ROEなどの基本的な指標をよく見ています。97年にこのファンドが設定された当時は、会計基準が整備されていなかったこともあって、たとえばPBR自体が信用できないということもありました。でもこれから透明度が高まっていくに従い、割安と判断されるものが出てくると思います。  

 

運用のプロセスはどうなっていますか。  

各業界を代表するような企業をはじめ約500銘柄を母集団に、会社訪問や電話などのダイレクトコンタクトやスモールミーティングを行って200銘柄程度に絞り込みます。その上で、株価水準等を勘案して最終的に100銘柄くらいをポートフォリオに組込みます。また、フォローは半期に1度のペースで行っています。自分自身では、週に3〜5社程度のペースで企業とコンタクトを取っています。また、アナリストとの連携では、毎朝のミーティング会議やミクロ会議で情報の共有化をはかります。モーニングミーティングでは、前日に企業とコンタクトして得た情報などを提供してもらいますが、こちらは詳細な内容よりも速報性重視で行います。一方、月一度のミクロ会議では、各業界や個別企業の詳細に関して突っ込んだ議論を行い、ポートフォリオの構築に役立てています。  

 

競争力は何で測るのですか。  

競争力の源泉としては、製品力、研究力、経営者のマネジメント力、営業力、マーケティング力などがあげられると思いますが、それらが維持可能かどうか、維持するために何をしているか、社会の仕組みや動きの中で整合性が取れているか、整合性が取れていなくても成長できるかどうかといったことを見ていきます。  

 

社会の動きと整合性が取れていない場合でも成長できることがあるのでしょうか。  

あまり大きな規模になってくると無理でしょうが、ニッチな分野なら可能です。まあニッチな分野とはいえませんが、たとえば衣料品メーカーの「シマムラ」。ユニクロが商品を絞り込むことで圧倒的な低価格をウリにしたのに対して、シマムラはある程度商品の幅や価格帯を広げることで、比較的高額なものも同じ店内に並べ、もともと安いものを買おうとしていたお客さんが多少高いものを買ってくれることも狙ったわけです。どちらかというと売り場を楽しんでもらう意図の方が強かったようですが、客数の増加を見ても意図が成功している事がわかります。今のデフレの流れからすると、通常コストのかさむ多品種の品揃えは整合性から外れるかもしれませんが、それなりに成功していますよね。もちろん、多種多様な品揃えを行っても低価格で提供できる仕組みを持った同社だから成功したという事が重要です。

 

経営者のマネジメント力については、どういった点で見るのですか?  

整合性、意欲、ヴィジョンの明確さ、また逆境のときにどういう行動をとるかといったことについて、過去の実績から判断します。たとえば上位銘柄に入っている「ローム」では、90年代の早い時期に、売上の拡大より収益を重視する戦略に切り替えています。今のように景気が悪くなってやるのではなく、調子のいい時に行ったことがすごい。また「アーク」は人事面において、日本企業の終身雇用制が当たり前だった時代から「社内独立制度」を取り入れているんです。これは、入社して数年たったら、一事業主として独立させ外注加工先として同社内で従事させる制度です。仕事の質やスピードに応じて会社はそれぞれの事業主に仕事を割り振るわけで、優秀な事業主には良い仕事がたくさん集まります。家族手当や交通費、一般的な退職金といった通常の企業の制度からはかけ離れた仕組みです。完全な実力主義ですね。今では珍しくないかもしれませんが、これを10年前に導入した経営者の先見性には非常に驚きました。経営者の方というのは何らかのこだわりは持っているものですが、それが時代に合っているかというと必ずしもそうでないことが多い。そうした先見性や時代との整合性があるマネジメントかどうかがポイントですね。  

 

製品については、どうですか?  

例えば「ローム」は顧客対応力が製品面で強く、カスタム品を造るなどして未曾有の半導体不況下においても相対的に健闘しています。同社の対応力の速さ、確かさなどが顧客から高い評価を得ているようです。最近でも、同社独自のLSIデザインシステムを提案するなど、将来に期待が持てる動きがあります。また、昼食マーケットが拡大する中、持ち帰り弁当・惣菜の「オリジン東秀」は、健康指向を目指した商品作りに励み、顧客の支持を得ています。週に何度も利用してもらえるように、飽きられない商品開発に努力しているのです。もちろんそこに、食材の調達から始まってトータルなコスト計算が綿密に行われている事がポイントです。  

 

規制緩和メリットもグロースの観点で重視されていましたね。  

昨年は財政の方に目が向いてしまって、規制緩和自体はあまり進まなかったですね。でも大局的に見れば、金融ビッグバンや通信の値下げ、インターネットの拡大など、大きな規制緩和のうねりがあり、また今後も様々な分野で規制緩和が進むはずです。過去、金融ビッグバンや通信の規制緩和に伴い、企業の情報システム、ネットワーク構築需要が増大して、システムインテグレーターやネットワークインテグレーターに大きな追い風になりました。今後もこの分野には中長期的な成長が期待できますが、他にも同様にビジネスチャンスが拡大するケースが出てくるはずです。投資機会を逃さない様に、社会の動きを見ていきたいです。  

 

定量面で重視しているのは?  

成長企業であれば通常バリュエーションは高く評価されている事が多いわけですが、それでもバリュエーションの議論は重要です。数年先の収益予想を立て、その時点のPERやPCFRなどから見て、その企業の成長性とバリュエーションの妥当性を確認する事が必要だと思います。  

 

組入れ比率を決める基準はどのようなことですか。  

特に機械的な決定方法は用いておりません。企業の将来性、バリュエーション、株式の流動性、時価総額、事業環境などを総合的に勘案して決めていきます。結果的に見て、優れた経営者に率いられている企業は、ポートフォリオの中で相対的に大きなポジションを占めている事が多いですね。

 

ところで、これまでの運用成績を振り返って、うまくいかなかった時期は?  

ITバブルと呼ばれた時期が最近有りましたが、バリュエーション面での注意よりも、良い企業に投資しているという意識が強く出てしまった面がありました。もちろん良い企業に投資する事が何にも増して重要であるとの考え方を持っていますが、バリュエーション面への意識を従来以上に持つようにしています。  

 

現在、どのような業種が多く組入れられているのですか。  

1番が電気機器で約28%、続いてサービス業で10%程度です。  

 

ポートフォリオの見直しを行うのはどんな時ですか?また組入銘柄を外す基準は?  

ポートフォリオの見直しは常時行っています。ある期間を決めてその時に大きく変えるといった方法ではなく、適宜必要に応じて見直しているのです。一度に大きく変更するよりも、リスクが小さいと考えています。組入銘柄を外すのは、目標株価に達した時や、事業環境の変化、その企業の競争力の劣化といった事の他に、より投資魅力の高い企業を新しく発掘できた時などのケースもあります。  

 

純資産総額は現在25億円程度ですが、比較的安定しているようですね。  

資金が安定している事は運用にとっては大きなプラスです。欲を言えば、安定的に資金が流入している事が運用面から見ても理想的です。  

 

ところで、御社の運用体制はどのようになっていて、ファンドマネージャーの裁量はどの程度許されているのですか?  

国内株式のアクティブ運用グループは、グロース、バリュー、フリー、スモールの4つに分かれていて、私はグロースチームに入っています。各チームはモデルポートフォリオを作成し、共有しています。ファンドマネジャーは、このモデルポートフォリオからの銘柄採用と、ファンドマネジャーの裁量による銘柄採用により、ポートフォリオを構築していきます。社内では、より運用力が向上する仕組み作りを恒常的に検討しています。  

 

ファンドマネージャーが交替した場合には運用方法にかなり大きな影響が出ませんか?  

当社はスタイル別のチーム運用を行っているおり、チーム毎にモデルポートフォリオを共有している他、ファンド毎に副担当が任命されています。したがって、運用の継続性は保てると思います。  

 

日頃努力していることは何かありますか。  

特別な事はしていないのですが、過去の相場の本や、偉大な先人たちの手法について学ぶ事は半分趣味のような感じでやっています。どのような市況環境時に、どのような銘柄、産業が動いたのかを知る事は参考になります。また、偉大な先人たちがどのような考え方で相場に対処したか、運用を行ったかを知ることもやはり大いに参考になります。  

 

今日はありがとうございました。

 


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