インタビュー

 

今回は「トピックス・インデックス・オープン」について、運用を担当している野村アセットアセットマネジメント株式会社のファンドマネージャー、塩澤 公敏(しおざわ きみとし)さんにお話を伺いました。

 

「トピックス・インデックス・オープン」は、TOPIX連動型のインデックスファンド。1988年9月に設定されました。販売は野村證券、トヨタファイナンシャルサービス証券、中央三井信託銀行など。インタビューは11月27日に実施。

 

野村アセットマネジメントのホームページ http://www.nomura-am.co.jp/


 

今回お話しを伺う「トピックス・インデックス・オープン」はいわゆるインデックスファンドと呼ばれるファンドですが、最初に、インデックスファンドとはどういうものかからご説明ください。  

投資信託は、大きく「アクティブ運用」と「インデックス運用」とに分けられます。アクティブ型は、目標とする指標(=ベンチマーク)を上回って超過収益を目指すもの。対してインデックス型は、ある決まったベンチマークと同じ投資収益を目指すものです。代表的な指標としては、日本株式ですとTOPIX、日経平均株価(日経225)、日経株価指数300といったものがあげられます。インデックスファンドは、構成銘柄が予め決まっているので、それと同じような構成比率でファンドを組成したり、ある工夫をすることで同じ投資成果を得られるように銘柄を構築しています。  

 

投資家にとってインデックスファンドの魅力は何ですか。  

アクティブファンドに比べて、予想していた収益率(ベンチマーク)に対してブレが少ないことの他、わかりやすさやコストの安さなども魅力と言えるでしょう。  

 

日本株式ではTOPIXや日経平均株価が代表的指標だということですが、この「TOPIX」という指数は、どのようなものですか。  

TOPIXは、東証1部に上場しているすべての銘柄を対象にした時価総額の加重平均です。時価総額は<株価×上場株式数>で計算します。

では、日経平均株価とは、どのように性質が異なるのですか。

TOPIXは、現在1493銘柄で構成されていて、時価総額の加重平均で算出します。一方、日経平均は、東証1部の代表的な225銘柄のダウ式平均(225銘柄の株価の修正平均値)で算出しますので、値がさ株の影響を受けやすい傾向にあります。

 

インデックスファンドは、どのような手法で、これらの指数とファンドの基準価額を連動させているのですか?  

インデックスファンドの構築方法には、大きく「完全法」と「サンプル法」があります。完全法は、ベンチマークを構成している全ての銘柄を、ベンチマークと同じ構成比率で組み入れるものです。TOPIX連動型なら、東証1部上場の1493銘柄すべてを時価総額のウェイトで組み入れることになります。これに対してサンプル法は、ベンチマークを構成している銘柄の中から一定の銘柄を選んで投資する方法です。サンプル法には、「層化抽出法」やバーラモデルで有名な「最適化法」などがあります。  

 

では、「トピックス・インデックス・オープン」はどちらを採用していますか。  

当ファンドは、層化抽出法を採用しています。  

 

層化抽出法とは、どのような手法なのですか?  

時価総額をベースに、業種構成などの特性を目標とする指数に合わせる手法です。当ファンドの場合は、層化抽出法の中でも「コアバリュー法」というものを採用しております。これは、指数の構成比率(時価)の大きいものから、今ですとNTTドコモ、トヨタといった順に並べていって、一定比率(コアバリュー比率)以上の銘柄(コア銘柄と呼ぶ)までは完全法で抽出し、残りの銘柄に対しては層化抽出法で構築(補完銘柄と呼ぶ)するのです。  

 

現在、コア銘柄は何銘柄ぐらい保有していますか?  

約800銘柄弱です。  

 

となると、TOPIX構成銘柄のうち、残りは700弱ですが、このうちどれくらいを層化抽出法で絞り込むのですか?  

およそ半分弱くらいですね。

 

補完銘柄はどのように選ぶのですか?  

層化抽出法では、何をもって層を作るかというファクターを決めなければいけないのですが、当ファンドでは、業種(東証の33分類)、規模(株数)、値位(株価)をファクターとして、TOPIXと同じようにするために補完銘柄を選んでいきます。但し、財務リスク、特に倒産リスクの高い銘柄については投資しないということで、コア銘柄も含めて母集団から外しています。  

 

補完銘柄から外すだけでなく、もとになる母集団から外しているのですか? 投資家にとってみれば好ましい方針ですが、連動性を高めるということで考えると、ファンドマネージャーとしては悩ましい気がしますが・・。  

確かに連動性から見れば完全法で保有する方が良い結果が出るわけで、その場合は倒産リスクの高い銘柄も入ってきます。但し、いくら連動を目指すインデックスファンドといえども、信託財産の成長を目的にしておりますので、こうした銘柄への投資はやめようという考え方です。  

 

インデックスファンドは「パッシブ(受身の)運用」と言われますけど、ずいぶん微妙な調整が必要となるのですね。  

ベンチマーク自体が、新規上場や増減資、自社株の消却などによって変化しますから、一旦ポートフォリオを組めばそのままでいいということではありません。高度な連動性を維持するために、日々ベンチマークをチェックして、組成を繰り返すことが原則です。たとえば、TOPIXは東証が出しているので東証の所報や野村総合研究所のデータベースから上場株式数と株価などのデータを収集し、データの整合性のチェックや管理を行っていますし、パフォーマンス要因を詳細に分析することも欠かせません。  

 

「トピックス・インデックス・オープン」の過去の運用において、TOPIXとの乖離が大きくなったのはどのような場面で、数値はどれくらいでしょうか?  

月次収益率差(月間の基準価額とTOPIXのリターンの差)は、大きい時で0.4%前後あります。このうち主に毎年3月と9月に超過収益が出ているのは、保有株式の配当金が計上されるためです。トピックスは配当落ちした日にそのまま落ちますが、ファンドのほうは配当金を受け取るのでその分プラスに出てしまいます。  

 

それ以外で大きくブレたのはいつですか?  

2001年4月のオーバーパフォームで、東京三菱フィナンシャルグループの持ち株会社移行に伴う影響です。実際にはいったん上場廃止になって、1週間後に持ち株会社が上場し、翌日からTOPIXの構成銘柄に加えられたのですが、ファンドでは「持ちきり対応」(そのまま持ちつづけることで株式移転により新しい会社の株式を割り当てられる)をとりました結果、超過収益が出ています。

 

トラッキング・エラー(月次収益率差の標準偏差を年率換算したもの)はどれくらいの水準で推移しているのでしょうか。  

過去3年間では、0.5%〜0.7%程度の間で推移しています。  

 

投資家にとって、この0.5%〜0.7%という数字は、インデックスファンドとして見た場合、どういうものだと考えればよいでしょうか?  

簡単に申しますと、1年間の基準価格とベンチマークの収益率差が±0.5%〜0.7%の範囲内に収まる確率が高いことを意味しており、許容範囲内と考えております。  

 

TOPIXとの乖離要因としては、どのようなことが考えられますか。  

投信スキーム、ポートフォリオ、市場に関する3つの要因があげられます。まず、スキームによる問題ですが、ファンドでは信託報酬が毎日基準価額から控除されています。当ファンドの場合では、年率0.62%を毎日日割で信託財産から引かせていただいており、これが最大の乖離要因となっています。また株式評価についても、TOPIXでは東証でついた値段をもとにしていますが、投信の基準価額は主たる市場での評価値を用いて計算されるといった違いがあります。最後に、市場要因にも含まれますが、ファンドの資金変動時において、ファミリーファンド方式をとっていることから、実際にマザーファンドで株式を売買するまでのタイミングのずれも原因の一つです。  

 

ポートフォリオ要因と市場要因には、具体的にどのようなものがあげられますか。  

ポートフォリオ上の要因の一つは、TOPIX構成銘柄とファンドの組入銘柄の相違です。それに、先物も含めた実質的な株式組み入れ比率は、若干ですが100%を下回るといったことも挙げられるでしょう。この他、資金変動に伴う売買コストの負担や、売買に伴うマーケットインパクトといった市場要因も無視できません。  

 

3つの要因のうち、投信スキームについては運用者にはいかんともしがたいと思いますが、ポートフォリオ要因と売買コストについては、ファンドマネージャーの裁量ということになりますね。連動率を高めるために、どのような工夫をされているのでしょうか。  

コアバリュー比率の引き下げなどを行って組入銘柄を増やし、時価総額のカバレッジを高めています。また売買にかかるコストをできるだけ下げるために、普通取引以外に市場外取引や立ち会い外取引を利用するなど工夫を凝らしています。

 

いっそ、完全法にしてしまえば連動させやすいのに・・思うのですが、どうして層化抽出法をとっているのですか?  

確かに基本的には完全法の方がいいと考えています。ただ追加・解約に備えて、個別銘柄の流動性を高めておきたいという問題があり、流動性の低いものはあまり保有したくないという理由がありました。今は規制緩和が進み、市場外取引などもできるようになったので、個別銘柄の流動性リスクをさほど考えなくてもすむようになっています。  

 

投資信託では追加設定や解約は避けられませんが、連動を維持しながらの資金の出入りにはどのように対応しているのですか?  

時間リスクをとらないように、できるだけ速やかに売買し、組み入れをできるだけ100%に近づけるように心がけています。売買については、現物の他、株式先物などを利用して、コスト低減に努めています。また、資金の流出入を利用することで、理想的なポートフォリオに近づけるように売買します。  

 

先物はどれくらいの割合で利用しているのですか?  

純資産総額の3〜6%くらいです。先物を利用するのは、コストが安いことの他、解約にそなえてキャッシュを持っていたいことや、配当落ちに対するタイムラグを調整するといったこともあります。  

 

インデックス(株価指数)は銘柄の入替えが行われることがありますが、これについて「トピックス・インデックス・オープン」ではどのように対応していますか?  

基本的に、コア銘柄についてはTOPIXに反映されるタイミングに合わせてファンドでも売買を行います。但し、先ほどもお話したように、持ち株会社移転については「持ちきり」で対応しています。コアバリュー比率に満たない補完銘柄については、該当する銘柄の構成比やポートフォリオ構築に対する3つのファクターの乖離状況などを考慮して組み入れを検討します。

 

純資産総額は現在どれくらいですか?  

2002年10月31日現在で、約405億円です。  

 

個人投資家がインデックスファンドを選ぶ時のポイントは?  

トラッキングエラーはバラツキを見るために使われますが、それだけで評価するのでは不十分な気がします。トラッキング・エラーが小さくても、常にベンチマークに負けているようでは、決して良いインデックス・ファンドとは言えないですよね。また純資産総額の規模や、資金の出入りがあまり多くないもの、特に元本が大きくぶれていないかどうかもポイント。手数料や、安心して買えるような会社の体制というのも大切だと思います。  

 

今日はどうもありがとうございました。


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