ラッセルの運用会社評価とマルチ・マネージャー・ファンドについて
今回は、ラッセル・インベストメント証券投信投資顧問株式会社の投資信託本部長である水野善公氏に、ラッセル・インベストメント・グループの運用会社評価とマルチ・マネージャー・ファンドについて話を聞いた。
ラッセル・インベストメント証券投信投資顧問株式会社は、米国を本拠地とする世界最大規模の運用会社の調査会社であり、マルチ・マネージャー運用の世界的リーダーであるラッセル・インベストメント・グループの日本法人。インタビューは2007年3月8日に実施。
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ラッセル・インベストメント・グループというと、運用会社の評価会社、そしてマルチ・マネージャー・ファンドの運用会社として世界的に有名なのですが、その歴史や業務内容についてお聞かせ下さい。
創業は1936年になります。創業者のフランク・ラッセルが米国ワシントン州のタコマで、フランク・ラッセル・カンパニーを創業しました。当時は証券会社でした。
既に創業70年が経過しているのですね。その後は、どのように発展したのですか。
証券会社として事業を拡大していましたが、1960年頃になって、お客様に対して投資信託をご案内する際に、自分の説明が必ずしも正しくないのではないかと考えるようになりました。その頃、会社を引き継いだ創業者の孫であるジョージ・ラッセルが、それなら、自分たちで運用会社の評価を行い、その評価をお客様に還元しようと考えたのです。それで1969年に、現在のラッセルの中核事業の一つであるコンサルティングサービスを開始しました。ですから、これが、現在のラッセルの起源とも言えるかもしれませんね。
そこから、コンサルティング、あるいは評価会社としてのラッセルが始まったのですね。
そうですね。これを契機に、ラッセルがコンサルティングで急成長することになりました。現在では、ラッセル・インベストメント・グループとして世界44カ国でコンサルティングを中心としたサービスを提供しています。
確かに、ラッセルというとコンサルティング、特に年金のコンサルティング会社として有名ですね。
そうです。しかし、年金コンサルタントと呼ばれる企業でも、その生い立ちや専門分野は会社により異なります。企業の人事関係のコンサルティングを中心としていて、その延長として年金のコンサルティングを行うようになった会社もありますが、ラッセルは運用会社の評価を中心とした年金コンサルティングサービスを提供しています。
年金コンサルティングの会社といっても専門が異なるということですね。ラッセルは運用会社調査を中心とした、年金資産の運用コンサルティングを提供しているのですね。
そうです。ラッセルにとっては、運用会社の調査が企業のエンジンなのです。そして、その調査結果を、一つはマルチ・マネージャー運用という運用商品としてお客様に提供し、もう一つは、年金向けのコンサルティングという形でサービスを提供しているのです。
ラッセルのコア・コンピタンスとなっている運用会社調査はどのような体制で行っているのですか。
調査は世界規模で実施しています。2006年12月末現在、運用会社調査の専門スタッフは97名おりますが、これは世界最大規模の調査体制です。この調査結果を基に、マルチ・マネージャー運用を行っていますが、マルチ・マネージャー運用の資産総額は約23兆円で、これも世界最大の規模です。
マルチ・マネージャー運用については、後ほど詳しくお伺いしたいと思いますが、年金コンサルティングの規模はどのくらいですか。
2006年9月末現在、世界中約224兆円の資産に対してアドバイスを提供しています。これも世界最大規模です。
顧客はどのような企業なのですか。
国内ではいわゆる大手企業年金です。海外についても、大企業や地方自治体の年金基金、大学や財団の基金などです。マイクロソフトのビル・ゲイツ氏の設立したビル・アンド・メリンダ・ゲイツ基金も弊社のお客様ですね。
では、日本での発展についてお聞かせ下さい。
1986年に日本に進出し、東京に事務所を開設しました。翌年1987年にフランク・ラッセル・ジャパン株式会社を設立し、年金コンサルティングを開始しました。
投信に進出したのはいつですか。
1999年に投信免許を取得し、フランク・ラッセル投信株式会社を設立し、日本初のマルチ・マネージャー・ファンドの提供を開始しました。また、2000年には、投資一任契約に係る業務の認可を受け、機関投資家向けにマルチ・マネージャー運用の提供を開始しました。現在の社名であるラッセル・インベストメント証券投信投資顧問に社名を変更したのは2006年です。
ラッセル・インベストメント・グループというと、ラッセル1000インデックスやラッセル2000インデックスといった株価指数でも有名ですね。
ラッセルが最初にインデックスを開発したのは1984年のことです。
なぜ指数の開発を行ったのですか。
運用評価を行う中で株価指数をベンチマークとして利用するのですが、既存の単純平均株価やユニバースの小さい株価指数は投資尺度として適切ではないと考えたのです。年金コンサルティングの顧客である年金や機関投資家にとって使い勝手のよい指数が必要だと考えました。
具体的にはラッセルの株価指数はどんな特徴を持っていますか。
ユニバースが大きいこと、時価総額をベースとしていること、そして浮動株修正を行っていることです。このため、年金や機関投資家の支持を受け、インデックスは急速に広まりました。また、ラッセル1000インデックスやラッセル2000インデックスのような市場全体を表す指数だけでなく、グロースやバリューといったスタイル別の指数も揃っていることも特徴です。
日本市場についてもインデックスがありますか。
はい、日本に関しては、野村證券と弊社の親会社であるフランク・ラッセル・カンパニーが、共同で日本株インデックスを開発しました。それがRussell/Nomura日本株インデックスです。これはJASDAQを含む全上場銘柄の中から浮動株修正した時価総額で約98パーセントを網羅する銘柄を採用したRussell/Nomura Total Market インデックスを中心にしたインデックス・ファミリーです。大型、小型といった規模別の他、バリュー、グロースなどの投資スタイル別のサブ・インデックスも揃っています。また、その中で最近注目を集めている指数に、Russell/Nomura Primeインデックスがあります。
Russell/Nomura Prime インデックスというのはどんな指数ですか。
Russell/Nomura Primeインデックスは、国内株式市場への連動を目指すパッシブ運用のベンチマークとして2004年に開発されました。Russell/Nomura Total Market インデックスの時価総額上位1000銘柄から構成されており、公的年金や大手企業年金などにパッシブ運用のベンチマークとして広く採用されています。
他にも指数がある中でRussell/Nomura日本株インデックスの利用が増えているのはどうしてでしょうか。
第一の理由は、Russell/Nomura 日本株インデックスは、グロース、バリュー、小型、中型など、全ての投資スタイルについてのサブ・インデックスを完備していることが挙げられます。
一般的に採用されている東証株価指数は業種別指数だけで、スタイル別はありませんから、そういう指数より使い勝手がよい、運用をより正確に比較・評価できるということですか。
そうです。実際に運用する側は、グロース運用、あるいはバリュー運用などを行っているのに、ベンチマークがスタイル別になっていない東証株価指数というのでは不合理と言えます。第二の理由は浮動株修正をしていることです。三つ目としては、全ての株式を対象としている点です。
どういう意味ですか。
東証株価指数は、東証第一部に上場している銘柄だけが構成銘柄となっています。世界的に見ると、上場市場単位の指数をメインに利用しているのは日本しかありません。資本市場のベンチマークというのは、その市場全体をどれだけ具現化できるかが重要です。東証一部に上場している銘柄という括り方では、日本の株式市場の全体を正確には語れないのではないでしょうか。これは、日本特有なのですが、海外の投資家、あるいは金融業界の人間からするととても不合理なことなのです。
これだけグローバル化が進んでいても、そのような不合理が残る日本というのはおかしなものですね。これは変らないのでしょうか。
徐々に変ってゆくと思います。ベンチマークは市場を反映すべきものであるのに、例えば、時価総額が巨大なのにもかかわらず、東証一部上場銘柄でないので、その株式の動きはベンチマークに含まれていないというのはおかしいのではないでしょうか。ですから、ラッセルでは、ベンチマークの基本的理念に叶った時価総額ランキングによる指数の発表を1984年から開始したのです。だからこそ、運用のプロの間に急速に広がったのです。
ラッセルのエンジンは運用会社の調査ということですが、どのように運用会社を評価するのですか。
厳密に言うと、運用会社ではなく、運用担当者ごとに調査を行います。したがって、調査対象は運用担当者と運用チームです。
運用会社をトータルで評価するのではなく、ファンドマネージャーを評価するのですね。
そうです。例を申し上げると、A社という運用会社があり、一般的にA社は世界の株式市場において高配当銘柄の選択・運用に優れているという印象を持たれている会社だとします。しかし、ラッセルのマルチ・マネージャー・ファンドにおいては、A社は日本株の中の成長株運用の優れたファンドマネージャーとして採用されています。
一般的な運用会社のイメージと実際の個々の運用担当者の評価とではかなりの違いがあるということですね。
そうです。今、日本株の成長株の運用を任せるのであれば、A社の中の成長株のファンドマネージャー及びその運用チームが優れているという判断なのです。
では、具体的に評価の方法をご説明頂けますか。
ラッセルの運用会社評価は基本的には定性評価が中心です。一般的な投資信託の評価会社が行うような定量分析によるスクリーニングという評価方法よりも、独自の評価項目を用いた定性評価を重視します。
どんな項目があるのですか。
運用担当者の運用能力、組織の安定性、銘柄選択能力、ポートフォリオ構築能力、リサーチ力、運用執行能力などです。実際には、もっと細かい項目があります。
運用担当者の能力というのはどういう意味ですか。
運用担当者の能力は、ファンドマネージャーとしての能力がどれだけ高いか、どれだけ経験と実績に裏打ちされているか、あるいは経験と実績がそれほどなくても、これらからのマーケットでやろうとしていることは運用成績を上げることに繋がるか、モチベーションやパッションがどれだけ高いか等によって見極めます。たとえ規模の小さな運用会社のファンドマネージャーでも、自分のスキルで会社を伸ばそうとしている運用者は、目つきも情熱も違います。
それらの項目を定性評価するということは、実際に運用担当者と面談するのですか。
そうです。97名の運用会社調査のスタッフが世界27カ国で調査活動を行っており、彼らが運用会社を訪問し、直接運用担当者、運用チームのメンバー、更には、その他のスタッフと面談を行います。
何回くらい面談を行うのですか。
運用担当者につき何回ということは決めてありませんが、ラッセル全体では、年間約4600回に及ぶ運用担当者との面談を実施しています(2006年)。面談の前に質問表を渡し、それに基づいて面談を行うということを繰り返します。
評価項目の一つである組織の安定性というのは、そのファンドマネージャーが属する運用会社の安定性ですか。
そうです。優秀なファンドマネージャーを活用しきれる会社かどうかをチェックします。
運用担当者を評価するために、所属する運用会社の他の部署の方にも面談するわけですね。
そうです。経営者、運用や売買の執行部署の方にも会います。
具体的には、世界中に多くの運用者が存在しているわけですが、どのくらいの運用会社を調査対象としていますか。
世界中の運用担当者の中から専門スタッフが約3,500の運用会社の8,000余りの運用プロダクトを常に監視しています。
世界規模で見ると、運用プロダクト、あるいはファンドマネージャーの数というのは、膨大だと思うのですが、その8,000の運用プロダクトはどのように選別したのですか。
97名の専門スタッフによる日頃の調査を基本としています。世界中の全運用商品を網羅して、定量分析を行って絞り込むといった方法は採用していません。
つまり、世界中の拠点に97名の調査のプロがいて、彼らの目に適った運用プロダクトが8,000ということですね。
そうです。
その後は、どのようにファンドを絞り込んでゆくのですか。
そこから、先ほどの評価項目を利用して、4,600程度に絞り込みます。具体的には、様々な項目について調査を行い、最終的には各運用担当者を1から4までの数字でスコア付けします。1が最低評価で4が最高評価です。つまりラッセルの評価が4というのは、超過収益原動力の安定性が高く、更に、期待超過収益率も高い運用担当者、すなわち優れたファンドマネージャーということになります。
次にどうするのですか。
これら4,600の運用プロダクト、つまり運用担当者を更に詳細に調査して、約700の運用担当者に絞り込みます。この700の運用担当者は評価の高い運用者ということになります。年金コンサルティングにおいては、各年金のニーズに合わせて、この700の運用担当者の中から適したものを推奨します。一方、700のうち約200の運用担当者がラッセルのマルチ・マネージャー・ファンドにおいて採用されています。
定量評価については行わないのですか。
過去の実績については、調査しますが、重視していません。
なぜですか。
過去の運用実績というのは、将来の運用成果を示唆するものではないと考えているからです。例えば、ラッセルが米国株式のグロース型(成長型)とマーケット・オリエンテッド型(市場型)、バリュー型(割安型)のファンドの中から、2005年末時点で8年間のトラックレコードがある220の運用会社について調べたところ、1998年から2001年の間の4年間に運用成績が上位25パーセントに入っていた55の運用会社のうち、2002年から2005年の4年間においても運用実績が上位25パーセントに入った運用会社は21社のみでした。つまり、定量評価は将来の見通しについては、何ら意味を持たないと言えるのです。
だから定量ではなく、定性評価で運用担当者を評価するのですね。
そうです。
では、個人投資家がファンドを購入する際に、運用会社の何を見ればよいか、参考にできることはありますか。
個人投資家が運用会社の良し悪しを見極めるのは難しいと思います。それには、継続的な運用担当者との面談が必要であり、会ってみないとわからないというのが現状なのです。開示された情報だけでは、良し悪しは判断できないと思います。ですから、個人投資家にとっては、信頼できる販売会社を見つけて、個々人に合った適切なアドバイスを受けることが大切だと思います。
それでも、自分で、ある程度の勉強や調査を行い、例えば、わたしは日本株のファンドに投資したい、しかし数あるファンドの中からどうやってファンドを選択すればよいのかわからないという投資家はどうすればよいでしょうか。
そういった投資家の方々に利用を検討していただきたいのが、ラッセルのマルチ・マネージャー・ファンドです。
では、そのマルチ・マネージャー・ファンドについてお伺いしたいと思います。マルチ・マネージャー・ファンドは、ラッセルのエンジンである運用会社・運用担当者調査の結果を反映したファンドということですね。
そうです。マルチ・マネージャー・ファンドというのは、異なる運用スタイルにおいてラッセルが優れていると評価した運用会社を厳選して、それを組み合わせたファンドのことです。
ファンド・オブ・ファンズとは異なりますか。
似ていますが異なります。ファンド・オブ・ファンズは複数のファンドに投資しますが、マルチ・マネージャー・ファンドでは、一つの口座に投資家の資金を集めて、それを複数の投資スタイルの異なるファンドマネージャーに配分して運用を行うものです。ファンドに投資する仕組みではなく、運用は一つの口座で行います。
具体的にはどういうことですか。
例えば、1000億円のファンドがあったら、そのうち250億円をAというグロース運用のファンドマネージャーに、250億円をBというバリュー運用のファンドマネージャーに、残りの500億円をCという別の運用スタイルのファンドマネージャーに運用させるということです。仮にその運用のための口座番号をラッセル001番口座と呼ぶとすると、ファンドマネージャーは、信託銀行に対して、ラッセル001番の資金で○○銘柄を○万株購入するようにという指示を出すわけです。ですから、ファンドに投資するファンド・オブ・ファンズとは異なるのです。
複数の運用スタイルが一つの口座に混在するのですね。
そうです。一つのファンドの運用を複数のファンドマネージャーが行っているのです。しかも、ラッセルがファンドマネージャーを厳選して評価しておりますので、優秀なファンドマネージャーに運用を任せることが可能となるのです。ラッセルのマルチ・マネージャー・ファンドが採用している運用担当者は機関投資家が運用を委託する運用担当者と同じです。個人投資家も機関投資家と同じ運用担当者に運用を任せることを可能としているのです。株式ファンドのことがよくわからないという個人投資家の方にも、安心して、継続的に保有して頂ける商品であると考えています。
確かに、公募型投資信託は主に個人投資家が買うもので、機関投資家は機関投資家専用ファンド、あるいは大口専用ファンドなどに投資するなど、一般的には、個人投資家は機関投資家と同じものには投資できないですね。
そうです。しかし、ラッセルでは機関投資家も個人投資家も同じものに投資できるのです。ラッセルでは、個人投資家と機関投資家を差別することなく、皆さんが財産基盤を強化して頂けるように、よいファンドを提供していきたいと考えています。
これまでお話を伺って、評価会社でもあり運用会社でもあるラッセルは、投資信託の選択の仕方がわからないという個人投資家のために、特に存在意義があると感じました。
ありがとうございます。個人投資家の方々にとっては、それがラッセルの存在意義だと思っております。また同時に、ラッセルでは販売会社向けのサポートも行っています。
米国ではファイナンシャル・プランナーや投資アドバイザーが機能しています。日本ではファイナンシャル・プランナーが上手く機能しているとは言えない状況ですが。
ラッセルでは、投資信託の販売を行う販売会社、あるいはファイナンシャル・プランナーに対して、個人投資家の方々にどんな視点でどのようにアドバイスするのがよいかについて、弊社のコンサルティングのノウハウを活用してサポートを行っています。
しかし、インターネットが浸透しており、オンラインで買うというのが主流になるのではないですか。
米国では、インターネットが普及するにつれて、確かに個人投資家はオンライン・トレードに移りました。しかし、再びその傾向が反転しているようです。つまり、お金を払ってでもアドバイスが欲しいと考える人が増えているようなのです。日本でも、同じ流れが見られるようになると考えています。もちろん、自分で選びたいという方は、入手できる情報を利用してファンドを選択すればよいと思います。しかし、それでは正しいファンドの選択というのは難しいとラッセルは考えているのです。
ラッセルは、例えば、ラッセル日本株式ファンドであれば、グロース運用の部分はJPモルガンとピクテが運用していると公表していますね。つまり、ラッセルの評価では、日本株のグロース運用では、JPモルガンとピクテが優秀であると言っています。それなら、マルチ・マネージャー・ファンドを購入しないで、JPモルガンの公募ファンドの中からグロース型のファンドを選択するということもできると思うのですが。
残念ながら、JPモルガンのグロース型のファンドを買ったからと言って、それが、ラッセルの日本株式ファンドで採用されているのと同じ運用担当者、同じ運用手法とは限らないのです。ラッセルは採用するファンドを人で選んでいますから、同じ会社、同じスタイルというだけでは、必ずしも同じ運用担当者のファンドということにはならないのです。
わかりました。では、人で選ぶということになると、ファンドマネージャーがその運用会社を辞めてしまったらどうするのですか。
もちろん、その会社との契約は解除して他の優秀なファンドマネージャーを採用することを検討します。仮に、採用しているファンドマネージャーが転職あるいは独立して、同じ運用手法で運用を行うようになり、転職した先の会社がそのファンドマネージャーの運用をきちんとサポートして技術を発揮できる体制を整えていれば、転職先や独立先と新たに契約を結ぶことになるかもしれません。
それは既存の評価会社の考え方と根本的に違いますね。一般の評価会社もファンドマネージャーが退職した場合や、変更になると、一旦は評価を留保するものの、大抵の場合、再調査の結果運用体制に変化はないと認めるので、これまでの評価を維持するということになります。ファンドマネージャーの変更はファンドに対する評価に直結していないように思えます。
ラッセルでは、そういう考え方をしません。あくまでも人、運用担当者で判断しているので、担当者が変れば採用を再度検討することになります。
運用会社にとっては厳しい判断ですね。
そうです。場合によっては数百億円の契約が解除になるわけです。だからこそ牽制が働くのです。優れたファンドマネージャーを支える体制を維持する、そのファンドマネージャーを正当に評価するという牽制が働くのです。
ところで、採用ファンドマネージャーが解約されると、その人が運用していた資金はどうなりますか。
運用口座はラッセルの口座ですから、保有銘柄はそのまま残ります。Aというファンドマネージャーを解約して別のファンドマネージャーが新たに採用されると、Aが組み入れていた銘柄は引き続き有効活用されます。
どういう意味ですか。
つまり、Aが保有していた銘柄のうち、必要ないものはラッセルが売却し、必要なものは口座に残しておきます。そして足りないもののみを新たに購入します。これはファンド・オブ・ファンズと比較して、非常にコストメリットがあるのです。ファンド・オブ・ファンズでは、投資対象としているファンドを変更する場合、ファンド全体が解約となりますから、保有銘柄を全て売却しなければなりません。そして、新たに投資対象となるファンドにおいては、新たに一から銘柄を購入するわけです。重複する銘柄があったとしても、別の会社の別のファンドですから、全銘柄の売却と購入を行う必要があるのです。マルチ・マネージャー・ファンドでは、そういう無駄がないのです。
一つの口座で運用ということですが、ファンドマネージャーごとの資金配分はあらかじめ決められているのですか。
はい、運用ガイドラインの中で厳格に決まっています。
市場の変化によって配分比率が変ってしまった場合はどうするのですか。
マルチ・マネージャー・ファンドには、全体を日々管理・運用するポートフォリオマネージャーがおり、彼が常にファンドの状況を見ていて、配分に調整が必要な場合には、各ファンドマネージャーに指図します。このポートフォリオマネージャーがきめ細かい監視と調整を行っています。
ポートフォリオマネージャーの役割について、もう少しお聞かせ下さい。ポートフォリオマネージャーがファンド全体を監視していて、採用しているファンドマネージャーが、期待した通りの運用ができていないことに気付くと、このポートフォリオマネージャーがファンドマネージャーの変更を決定するのですか。
そうです。例えば、バリュー運用のファンドマネージャーとして採用したのに、きちんとバリュー運用ができていないと判断されれば、ポートフォリオマネージャーが採用ファンドの変更を決断します。
ポートフォリオマネージャーの役割はとても重要なのですね。
そうです。ラッセルのマルチ・マネージャー・ファンドのパフォーマンスは、このポートフォリオマネージャーの腕にかかっています。採用ファンドの決定もポートフォリオマネージャーが行います。
一般に、ファンド・オブ・ファンズ、外部に運用委託するファンド、マルチ・マネージャー・ファンドなどはコストが高いと考えられていますが如何ですか。
例えば、2006年12月19日設定した「ラッセル 日本株式マルチ・マネージャー・ファンド」を例にお話すると、信託報酬は税込で年率1.7325%です。日本株ファンドの平均に比べて、それほど高いとは言えないと思います。
若干高めなのは、採用している運用会社に支払う分が含まれるためですね。
そうです。
1.7325%の配分はどうなりますか。
受託会社が0.105%、販売会社が0.63%で残りの0.9975%がラッセルと採用した運用会社で折半します。したがって、ラッセルが受け取る分は一般の運用会社が受け取る分と比べると少ないですね。
マルチ・マネージャー・ファンドでファンドが採用する運用者の数はどのくらいですか。
ファンドにより異なります。株式や債券といった伝統的資産であれば多くて6社程度、ヘッジファンドではもっと多くなります。また、資産規模によっても異なってきます。規模が大きくなる程、ファンドマネージャーの数は多くなる傾向にあります。
これまでお話を伺ってきて、ラッセルのマルチ・マネージャー・ファンドを購入するメリットというのは、評価会社によって高い評価のファンドマネージャーが運用していることだという点は理解できましたが、複数のスタイルで構成されるマルチ・スタイルのメリットはどこにありますか。
市場には相場付きというのがあります。安心して長期間保有する場合、スタイルの偏りがあると、相場付きによっては、ファンドのパフォーマンスが非常によくなったり、あるいは非常に悪くなったりします。例えば、ITバブル前後のグロース型ファンドは基準価額が急激に上昇して、その後、暴落しました。しかし、マルチ・スタイルであれば、グロースやバリューといったバイアスがファンド全体で見ると存在しないので、長期にわたり安心して保有して頂けるというメリットがあると考えます。
マルチ・マネージャー・ファンドではリスクヘッジが機能するということですね。では、マルチ・マネージャー・ファンドがその目的の通りに機能してきたというデータはありますか。
例えば、日本株のマルチ・マネージャー・ファンドでは、1999年7月1日に設定された「ラッセル 日本株式マザーファンド」は、設定来の上昇率が2006年12月末現在で年率6.7%、累積で62.99%です。ベンチマークである東証株価指数(配当込み)の同期間の上昇率(年率)が3.69%で、累積上昇率が24.94%ですから、超過収益は年率で3.69%、累積では37.75%となっています。
ベンチマークのパフォーマンスを大幅に上回っていますね。つまりは、マルチ・マネージャー・ファンドが目的通りの成果を上げたということですね。
そう言えると思います。
他の投資対象においても同様の結果が出ているのですか。
多少の格差はありますが、概ねベンチマークを上回るパフォーマンスを達成しています。傾向としては、日本株の方が外国株ファンドよりも超過収益が大きくなっています。結果を出していることが、運用資産残高の増加に繋がっているのだと思います。先ほど、ラッセルの運用資産残高が2006年12月末現在で約23兆円と申し上げましたが、1995年以降は毎年1兆円以上増加しています。グローバルに見て、個人投資家から年金や機関投資家まで幅広い投資家からマルチ・マネージャー・ファンドのニーズが強まっているということも言えると思います。
年金や機関投資家といったプロも、自分で運用するのではなく、評価会社によって選択されたファンドに投資するといったニーズが増えているというのは、驚きです。
その要因の一つが、投資対象のグローバル化があると考えています。米国でも、日本でも、自国の株式や債券の運用に関しては、ある程度、どの運用会社が優秀かを理解していても、投資対象が海外となると、どの会社が優秀かはわからないのです。そうであれば、そこに精通したラッセルを通して運用した方がよいというのが強い動機付けとなっていると思います。また、投資対象が増えていることもニーズの増加を支えています。
確かに、債券や株式だけでなく、リート、コモディティ、新興諸国、ヘッジファンドなど、投資対象が増えて、かつ複雑になっていますね。
そうですね。それと、投資においては、アセットアロケーションが最も重視されているのですが、アセットアロケーションについては自分たちで行い、対象ごとのファンドの選択はラッセルに任せればよいと考える投資家も増えています。
現在日本で販売されているマルチ・マネージャー・ファンドにはどんなファンドがありますか。
2007年3月8日現在、「ラッセル 日本株式マルチ・マネージャー・ファンド(愛称:匠の輪)」、「ラッセル 外国株式マルチ・マネージャー・ファンド(愛称:ワールド・エキスパート)」、「ラッセル グローバル・バランス・ファンド(愛称:ライフポイント)」、「M・CUBER投信プログラム」と、確定拠出年金向けのファンドが2本あります。詳しくは、当社のホームページにて投資信託説明書(目論見書)をご覧いただければと思います。
本日はどうもありがとうございました。

