アナリストの投資判断、「経営者の質」をもっとも重視


世界で事業を展開するPR コンサルティング会社、ヒルアンドノウルトンの企業評価に関する調査で、アナリストは投資判断にあたり「経営者の質」をもっとも重視していることが明らかになった。

世界のバイサイドとセルサイド双方のアナリスト282 人を対象に英調査会社、MORI が昨年11月に実施した同調査によれば、「経営者の質」を極めて重要とした回答は42%、次いで「公約の実現」が39%、「業績」は3番目で38%が極めて重要としている。(表1 参照)同調査対象には、アジア太平洋地域のアナリスト63 人が含まれている。

「経営者の質」を重視する傾向はアジア太平洋地域のアナリストに特に強く、48%が極めて重要として注目している。一方、英国のアナリストでは同割合は33%、同国を除く欧州勢では41%となっている。

投資判断において、最高経営責任者(CEO)のリーダーシップを推し量る材料としてアナリストがトップに挙げたのは「業績拡大に向けた努力」で、これを「極めて重要」、「非常に重要」、「重要」としているアナリストは世界全体で88%に達している。一方、社会や政治問題などを含む世間が注目する事象についての言動は投資判断において、「重要でない」との回答は45%、さらに10%が「全く重要でない」としている。(表2 参照)

投資家に経営者の質を示すにあたりもっとも重要とされるのは明確な方向性、あるいは戦略を示すことで、46%のアナリストがこれを極めて重要としている。次いでアナリストが注目しているのは段階的な目標の達成、あるいは戦略の実行で29%が最重要としている。

社会的な評価を測るうえでは地域への貢献や福祉・義援活動などが重要視されているが、アナリストは投資判断にあたって、この要素にさほどウェートを置いていないことが明らかになった。アナリストが企業の情報を入手するにあたり、もっとも信頼性が高いとしているのは各企業のホームページで85%がこれに頼っている。企業訪問などを通じたリサーチは83%となっている。一方、ブログについては、現在のところ、アナリストが分析する際には大きな要素となっていないことが示されている。(表3 参照)

 

表1:投資判断を行うにあたり企業の何を重視するか】
全く重要でない 重要でない 重要 とても重要 極めて重要
業績 0% 1% 11% 49% 38%
経営者の質 1% 2% 11% 44% 42%
公約実行 1% 3% 12% 46% 39%
事業戦略 3% 2% 11% 47% 37%
成長性 1% 2% 22% 44% 30%
企業統治・透明性 1% 3% 31% 44% 21%

 

表2:リーダーシップを推し量る材料として何を重視するか】
全く重要でない 重要でない 重要 とても重要 極めて重要
業績拡大に向けた努力 2% 9% 44% 35% 9%
世間が注目する事業についての言動 10% 45% 34% 8% 1%

 

表3:情報源として何を重視するか】
全く重要でない 重要でない 重要 とても重要 極めて重要
企業のHP 4% 11% 37% 31% 17%
企業リサーチ 4% 11% 33% 39% 11%
従業員 7% 14% 43% 29% 6%
投資家 10% 18% 39% 26% 5%
友人・知人から 12% 22% 34% 22% 10%
ビジネス系メディア 7% 21% 48% 18% 5%

ヒルアンドノウルトンは、創立78年を迎えたPRおよびパブリックアフェアーズ専門のコンサルティング会社。ニューヨークに本社を置き、世界39カ国73支社にてサービス活動を展開している。ヒルアンドノウルトンジャパンは、日本初の外資系PR会社として1958年から日本企業および外資系企業に対し広報サービスを提供。現在は、多様化する企業の要望にあわせ、特に専門化したサービスに注力しており、金融、IT、危機管理、ヘルスケア分野では、専門チームが活動に当たっている。