バンガード、4本のバンガードETF(VWO、VEA、VGK、VPL)に小型株を追加


米国ザ・バンガード・グループ・インクは米国東部時間2015年6月2日付で、国際株式指数に連動する4本のバンガードETF™に小型株を加えるとともに、バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)に中国A株を、バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF(VEA)にはカナダ株式の組み入れを開始すると発表した。

小型株の組み入れを開始する銘柄は以下4本。

  • バンガード®・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)
  • バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF(VEA)
  • バンガード・FTSE・ヨーロッパETF(VGK)
  • バンガード・FTSE・パシフィックETF(VPL)

更に、バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)に中国A株を組み入れることで、分散投資の対象を拡大する。これにより、中国本土の上場企業を含む、幅広い時価総額加重インデックスに連動するETFが初めて誕生することになる。

そして、バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF(VEA)にはカナダ株式を組み入れる。なお、今回のベンチマーク変更に伴い、ベンチマーク変更後は当ETFの日本語名称を、バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETFから、バンガード・FTSE先進国市場(除く米国)ETFに変更する。

バンガード・インベストメンツ・ジャパン代表取締役のディビッド・サーマック氏は、「小型株の追加により、各ETFは、その市場の時価総額加重平均により近づきます。投資家の皆さまにとって長期的に大きなメリットになると判断したため、今回変更することになりました」と述べている。

4本のETFは、中・大型株で構成されるインデックスから、大・中・小型株で構成されるFTSEオールキャップ・インデックスに移行する。新たなベンチマークに基づく各ETF小型株の組入比率は約10%となる。4本のETFの直近の目論見書による経費率は0.09~0.15%だが、今回の変更による経費率への影響はない。

ETF 現在のベンチマーク 変更後のベンチマーク 追加銘柄数
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO) FTSEエマージング・インデックス FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)インデックス(注1) 小型株:1,845銘柄
(インデックスの11%)
中国A株:1,411銘柄
(インデックスの5.6%)
バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF(VEA) FTSEディベロップド(除く北アメリカ)インデックス FTSE先進国オールキャップ(除く米国)インデックス 小型株:2,248銘柄
(インデックスの9.9%)
カナダ株:234銘柄
(インデックスの8.2%)
バンガード・FTSE・ヨーロッパETF(VGK) FTSEディベロップド・ヨーロッパ・インデックス FTSE欧州先進国オールキャップ・インデックス 小型株:724銘柄
(インデックスの9%)
バンガード・FTSE・パシフィックETF(VPL) FTSEディベロップド・アジア・パシフィック・インデックス FTSEアジアパシフィック先進国オールキャップ・インデックス 小型株:1,331銘柄
(インデックスの9.4%)

サーマック氏はさらに、「グローバル市場は進化し続け、よりアクセスしやすくなっています。今回の変更は、日本の投資家の皆さまに、さらに幅広い銘柄や市場への分散投資をご提供する非常に良い機会になることでしょう」と語っている。

FTSE・エマージング・マーケッツETFに中国A株を組み入れ (VWO)

バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO)は、世界最大の新興国市場ETF(注2)。中国A株が加わることで、中国に対するより包括的なエクスポージャーを提供することが可能となる。時価総額で世界第2位の株式市場を擁する主要新興経済国である中国は、GDPでは世界第2位の地位を誇り、世界貿易においては20%、世界消費においては7%を占めている。(注3)

VWOの新たなベンチマークには、中国A株が約5.6%含まれる。中国A株の取り扱いによって、同国で最大規模を有する発行体への投資が可能となるだけでなく、中国株式市場において、より幅広い分散投資が可能になる。(注4)

アジア太平洋株式運用チームを統括するロドニー・コメギーズ氏は、「中国A株を組み入れた最初の主要な新興国ETFとして、VWOは投資家の皆さまにより幅広い分散投資と、成長が期待できる中国株をより幅広くカバーできることは投資家の皆さまにとってもメリットがあります」と述べている。

FTSE先進国市場(除く北米)ETF(VEA)に、カナダ株式を追加

FTSE先進国市場(除く米国)ETF(VEA)は、小型株から大型株にいたるまで、カナダを含めた米国以外の先進国市場をカバーする最大のETFへと生まれ変わる。VEAの新たなベンチマークには、カナダ株式が8%含まれることになる。8%という比率は、先進国市場および世界市場に対する同国経済の重要性についてのバンガードの評価をより正確に反映したものといえる。

ベンチマーク移行に伴い保有銘柄の入替えが必要になることから、一時的に取引コストが発生すると考えられる。ETFを運用しているバンガード・エクイティ・インデックス・グループは、効率的なポートフォリオ・トレーディング戦略やその他の定期的なインデックス・リバランス戦略を通じて、影響を最小限に抑えるよう努める。ベンチマークの変更は、混乱を避けコスト効率の高い方法で移行するため、数か月をかけて段階的に行う。現在、各ETFの目論見書では、経費率を0.09%~0.15%としているが、バンガードでは、ベンチマークの変更による経費率への影響はないと見込んでいる。

更に、今回の変更に関する関連記事が、バンガード・インベストメンツ・ジャパンウェブサイトに掲載されている。

 


 

(注1)FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)インデックスは、FTSEエマージング・オールキャップ・インデックスおよびFTSE中国A株オールキャップ・インデックスの大型・中型・小型株証券で構成されている。FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)インデックスに占めるFTSE中国A株オールキャップ・インデックスのウェイトは、海外投資家に割り当てられる投資枠により調整される。
(注2)出所:Strategic Insight。2015年6月3日現在。
(注3)出所:世界銀行、国際通貨基金、世界貿易機関
(注4)バンガード・インベストメンツ・オーストラリアは、人民元適格外国機関投資家(RQFII)ライセンスを通じて中国A株の割当枠を取得している。