パン・パシフィック外国債券オープンについて
今回は安田投信投資顧問株式会社の運用本部副本部長兼法人資金運用部長である小泉治氏に、同氏が運用責任者を務める「パン・パシフィック外国債券オープン」について話を聞いた。
「パン・パシフィック外国債券オープン」は2003年8月29日に設定されたバランス型に分類される追加型株式投資信託。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの環太平洋先進諸国を投資対象としている。インタビューは2005年3月10日に実施。
「パン・パシフィック外国債券オープン」の販売会社は東海東京証券、極東証券、センチュリー証券、前田証券、明和證券、肥後銀行。
安田投信投資顧問株式会社のホームページ http://www.yasuda-asset.com/
今回初めて「パン・パシフィック外国債券オープン」についてお話を伺うわけですが、まず、ファンドの概要をお聞かせ下さい。
今流行りの毎月分配型というタイプのファンドです。このファンドは、外国債券に投資をして高い利回りを得て、それを毎月分配することを目標としています。毎月分配型のファンドも、最近は様々な投資対象のファンドが増えてきています。世界中を投資対象としているものもありますが、「パン・パシフィック外国債券オープン」は太平洋沿岸の先進国の中でも高金利なものを選ぼうというのが主眼になっています。その結果、投資対象としては高金利国という意味で、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、そして基軸通貨であり、流動性の高い米国を加えた4カ国の通貨を投資対象にしています。
最初に太平洋地域と的を絞った理由はあったのでしょうか。
高金利であるカナダ、ニュージーランド、オーストラリアが太平洋地域にあったということが挙げられます。当時、他に北欧の金利も高かったのですが、高金利でくくるよりは環太平洋に絞った方が投資家の皆さんにとって馴染みがあると考えました。最近では、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに観光で行かれる方が多いですし、実際にそれらの通貨を使ったことがある方が多いわけです。それが北欧ですと、それほど多くはないのではないかと思いました。米国を含め、馴染みがある国への投資の方が入りやすいファンドになると考えたのです。
太平洋地域の4カ国の債券を投資対象としているわけですが、どのような債券を投資対象にしていますか。
国債、州債、政府保証債、政府機関債、国際機関債です。
社債を含めず、公的な債券だけを投資対象にしている理由は何ですか。
高金利を享受する場合には、確かに国債などの公的な債券だけでなく、社債、あるいはジャンク債という投資先もあるわけですが、設定当時というのは、米国のワールドコムの破綻などもあり、格付が高いというだけでなく、公的な債券という方がお客様にとって安心感があるのではないかと考えました。格付だけで見ると、このファンドにもカナダのケベック州発行の債券のようにA格の債券が含まれています。しかし、同じA格の債券でも州が発行した債券と民間企業の債券では、投資家からすれば安心感が違うと考えました。
そういうところはありますね。では、国債だけに的を絞らなかったのは?
国債だけに的を絞ってしまうと、投資妙味に乏しいと考えました。それと、そういう世界の国債に分散投資するタイプのファンドとの違いを出しながら、個人の方に安心感を与えられるファンドとなると、公的な発行体の名前を入れてゆくことが効果的だと考えました。
では、次にポートフォリオ構築のプロセスをお聞かせ下さい。
ポートフォリオ構築の基本になっているのは各国のファンダメンタルズ分析です。それについては、定性的な分析を中心に行なっています。主に、金利と為替の問題ですので、景気がどうなっていくのか、インフレがどうなっていくのか、経常収支の為替に対する影響などファンダメンタルズ要因のこれまでの流れ、現在の状況、今後の材料などを考えながら予想してゆくのが基本です。
そのファンダメンタルズ分析によって、何が絞り込まれるのですか。
まずは、最初に通貨の配分を決めます。そういう意味では、ファンダメンタルズの中でも通貨に絡む部分、経常収支や金利差ですね、そういったところを中心に見ながら、まず通貨として相対的にどこがよいのかを考えてゆきます。
どこがよいというのは、どの通貨が強くなるのかということですか。
そうです。どこの通貨が強くなるかですね。当初の段階では、米国の金利が低かったということもあり、カナダで50%、オーストラリアとニュージーランドで50%、米国は入れないというのが設定時のポートフォリオでした。
設定時には米国は入っていなかったのですね。
そうです。それで、運用を開始して、その後は、通貨見通しに応じてかなり柔軟に配分を変えていった結果、今のポートフォリオがあるのです。
直近2月28日現在の月報を見ると、組入比率はカナダドル36.28%、オーストラリアドル34.56%、ニュージーランドドル11.26%、アメリカ15.80%、現金その他が2.11%ですね。
そうですね。この動かし方には決まりがあるわけではないので、簡単なカントリーアロケーションの最適化をするプログラムはあるのですが、それは目安に使う程度でして、それに定性判断を加えて、どこを増やすか、減らすかを判断して、ポートフォリオを動かしてゆきます。
最初にファンダメンタルズ分析を行い、その結果をプログラムに入れて分析を行なうということですか。
いいえ。最適化にはファンダメンタルズのデータは使いません。今の利回り、過去の利回りや為替の変動などの過去のデータだけです。それに、ファンダメンタルズ分析の結果を加味するのです。そういう方法で、方向性というか、どこを多くするか少なくするかというのを決めます。ただ、ベンチマークはありませんから、今の状態から増やす、減らすということを決定するのです。
これで、通貨別の配分が決まるのですね。
そうです。
次はどんなステップになりますか。
次は、各国あるいは全体の金利の見通しに基づいてデュレーションを決めてゆきます。デュレーションというのは債券投資元本の回収までに要する平均残存期間のことです。
デュレーションはどのように決定されるのですか。
このファンドの場合、金利リスクを極端に大きくとらないことを基本としていますので、デュレーションは全体で7年以下という制限を決めています。まず発想としては、このファンドは利回りの享受を目的とするファンドですから、イールドカーブが立っている時には長い債券に多めに投資して、利回りを高めます。長いものに投資していて困るのは、金利が上がっていったときですから、金利があまり大きく上がらないという時には、長いものを中心に買うという基本的な発想があります。
つまり、7年という制限を設けているということでしたが、デュレーションはこの7年に近いところにいつもあるようにしているということですね。
いつもではありませんが、7年に近いところが多いですね。例えば、世界国債インデックスですとデュレーションは5年台というところだと思いますが、このファンドはそれよりは長いところにある時の方が多いわけです。金利が上がりそうな時は当然短くしますが、6年近辺にしていることが多いですね。
ファンド全体のデュレーションを決めて、その後、各国のデュレーションを調整するのですか。
これは両方同時に決めてゆかなければなりませんね。全体のデュレーションというのは、世界金利の方向、つまり上がりそうなのか、下がりそうなのかという見通しから、目安として長目のままでよいかどうかを判断します。それを各通貨に落とし込んでゆく時には、各国のイールドカーブが今どうなっているの、つまり、イールドカーブが立っている国であれば、長いところを買った方が当然利回りは高いわけです。イールドカーブが平坦であれば、長いところを買う必要はないわけです。全体のデュレーションとしてこれくらいに収めたいという時に、じゃあ、各国のイールドカーブを見て、どこを買うのが最も効率的かを考えながら、更に各国の金利の方向性を加味しながら、それぞれの国のデュレーションを決めてゆきます。全体があって、個別をそれにあわせる形で決めてゆきます。
最近はどこの国のイールドカーブも平坦になってきましたが、このファンドをスタートした時には、オーストラリアやニュージーランドはかなり平坦で、カナダやアメリカはかなりイールドカーブが立った状態でしたので、どちらかというと、カナダについては長目を多めに、そして組み入れを開始してからはアメリカでは長目を多めに買って、オーストラリアとニュージーランドについては、ある程度短目のものにして、全体としては6年程度に収めました。
これで、国別の配分とデュレーションが決まりますが、次に何を行いますか。
デュレーションを決める段階で、イールドカーブも見ていて、デュレーションに合わせて、期間配分戦略も決めます。
期間配分戦略とは何を決めることですか。
例えば、デュレーションを5年にすると決めた時に、全てデュレーション5年の債券を買うのか、あるいは1年と10年の債券を組み合わせて、全体として5年にするのかということ、つまり、ブレットでやるのかバーベルでやるのかを決めるのです。
前者がブレット戦略で、後者がバーベル戦略ということですね。
そうです。
もう少し詳しくブレット戦略とバーベル戦略を説明して頂けますか。
ブレット戦略というのは保有債券の残存期間を一つに集中させる運用方法で、多くの場合、バーベル戦略に比べると利回りが高くなりますが、金利の大きな変動には弱い戦略です。利回りの変動が小さいと予想している場合は、この戦略を採用します。
バーベル戦略というのは?
バーベル戦略というのは、短期債と長期債を分散して保有し、中期債は保有しないという運用で、通常の場合ブレット戦略に比べ、利回りは低いですが、金利が大きく変動した場合に相対的に良い結果を上げられる戦略です。
どんな場合にバーベル戦略を採用するのですか。
金利がパラレルに大きく振れる場合にはバーベルがよいのですが、大きく変動する場合には、イールドカーブはフラットになったりスティープになったりして、単純な動きにはならないことが多いので、ある程度イールドカーブがフラットになるのかスティープになるのか想定して、シミュレーションして優位な残存期間を判断します。
これで、債券をどう保有するかが決まり、次はセクター戦略ということになるのですか。
そうですね。セクター戦略というのは、このファンドの場合は、国債にするか州債や国際機関債にするかというのを決めることです。期間配分まで決まってきたところで、それに合った債券があるかどうかをチェックします。国債以外の債券では流動性の小さい債券もありますので、そういう点もチェックします。そこで合ったものがあれば、国債とのスプレッドを見ながら、スプレッドが開いているのであれば国債以外のものを買い、スプレッドがあまりなければ国債を買うというのがセクター戦略の基本的な考え方です。ただ、オーストラリアだけは、現在国債が入っていません。州債と国際機関債のみです。
なぜですか。
オーストラリアの国債というのは、源泉税がクーポンにかかるのです。州債についてはグローバル州債と呼ばれる海外で発行された州の債券については源泉税がかかりませんので、源泉税がかからない銘柄を選択した結果、州債と国際機関債のみになりました。それと、オーストラリアの場合、国債の発行額が小さくなっていますね。
それはどうしてですか。
オーストラリアは財政が黒字で、国債を発行しなくてもやっていける状況にあります。ただ、全く発行しないとなると金融市場に支障が出るので多少は発行しています。
では、このセクター戦略が決まれば、あとは個別銘柄を選択ということになるのですね。
セクター戦略まで決まってくると、個別銘柄は自ずと決まってきますね。
個別銘柄に関しては、ファンドに組入れる時点で格付はA格相当以上のものに限定しているのですね。
そうです。
組み入れ後に格下げになった場合はどうするのですか。
基本は売却します。
過去において、組み入れ後に格下になった銘柄はありましたか。
ありません。組み入れているのは公的機関の銘柄ですから、あまり格付の変動は頻繁ではありませんね。
個別銘柄の選定の際に重視している点はどんなところですか。
国債の場合ですと、個別銘柄と言ってもそれほど大きな違いはありませんが、理論的なイールドカーブを描いて、特定のゾーンにおける割安な銘柄というのを選択します。国債以外の銘柄を購入する際には、特にカナダの州債ですと、ケベックはA格、オンタリオなどはAA格など、スプレッドがかなり違いますので、そのあたりは注意していますね。
社内に債券のクレジットアナリストがいらっしゃるのですか。
はい、クレジットアナリストはいます。しかし、A格以上の公共債であれば、買ってはいけないとアナリストが判断することは通常ないので、後は、ファンドマネージャーである私の判断で決断しています。
組み入れ時については、最低でもA格相当以上ということですが、2月28日現在の組入比率を見ると、最高位のAAAが72%強と最も多く、次いでAA格が15.1%、A格については12%程度に過ぎないのですね。
そうですね。組み入れているのは、ニュージーランドについてはほぼ国債だけですし、オーストラリアについても、グローバル州債を発行しているところはAAA格だけですし、実際のところ、AA格やA格を選べるところというのは現状ではカナダくらいですね。ですから、格付比率についても、カナダの組み入れによって最も影響を受けるということです。
つまり、信用リスクについては、極めて小さいファンドであるということですね。
そうですね。
金利や為替というのは常に変動していますが、それに合わせてポートフォリオの調整も頻繁に行われるのですか。
大きな変更は数ヶ月に一度程度ですが、金融市場の情勢を毎日見ながら、また、同時に資金の流出入もありますので、それを含めた調整というのは常に行っています。
今月初めにオーストラリアは政策金利を引き上げたということですが、この時はどのような対応をとったのですか。
3月2日にオーストラリアが政策金利を引き上げ、今日(3月10日)、ニュージーランドが金利を引き上げました。両国の利上げについては、市場で予想されていたことですので、債券の利回りはそれを既に織り込み済みでした。ファンドについても、利上げが実施されたので、何かをしたということはありません。利上げが予想された時点で、短いものを中心に投資するという対応はとっていました。
最初にお伺いしたファンダメンタルズ分析が常に行なわれていて、その結果をファンドに常に反映させているということですね。
そうですね。
為替についても同じですか。
そうですね。しかし、為替の方が突発的なイベントで動くということがありますので、金利変動への対応に比べると、為替の変動に対してファンドを調整するケースが多いですね。
個人投資家がこのファンドを保有した場合、自分のファンドの値動きを想像するとしたら、金利が上がっているとき、為替が円高に進んでいるときは、逆風が吹いているイメージ、反対に金利が下がっているとき、為替が円安に進んでいるときは、好調に推移していると考えればよいのですよね。
そうですね。ただ、金利については、世界的に同じ動きをすることが多く、上昇すれば債券にとってはマイナスなのですが、為替の場合には4通貨入っていますから、単純に米ドル・円だけを見て、米ドル安円高だからファンドの基準価額が下がっているかというと、必ずしもそうではありません。カナダドル、オーストラリアドル、ニュージーランドドルといった個別の通貨の動向を見て頂く必要がありますね。
次にパフォーマンスのお話をお聞かせ下さい。ファンドは2003年8月29日に設定され、約1年半運用されてきたわけですが、設定来のパフォーマンスは如何ですか。
2月末現在で見ると、設定来ではプラス12.52%です。
1年半でプラス12.52%というと、とても良好なパフォーマンスに見えるのですが、ファンドにはベンチマークがありませんので、この数字を個人投資家の皆さんはどのように捉えればよいでしょうか。
そうですね。世界国債インデックスなどと比較することも可能ですが、必ずしも意味のある比較とはいえないかもしれません。他の外債型のファンドと比較するということになりますね。
プラス12.52%の要因はどんなところにあったのでしょうか。
ファンドの変動要因としては、債券価格の推移、債券の利金収入、為替に分けることができますが、最も大きく貢献したのが利金です。当然、高金利通貨の債券に投資するファンドですから、ここで大きく稼ぐわけです。配当込みで見ると信託報酬等のコスト差引前の基準価額は設定来では1,536円上昇したことになりますが、このうち889円、約6割は利金収入によるプラスです。
利金収入を国別で見るとどうでしたか。
内訳で見るとカナダが40%、オーストラリアが34%、ニュージーランドが19%、残りが米国です。
利金以外の影響は如何でしたか。
為替の影響が大きかったですね。1,536円のうち514円は為替の寄与です。米国ドルは若干マイナス要因となりましたが、オーストラリアドル、ニュージーランドドルが対円で強くなったので、これがかなりプラスに貢献しました。これらの通貨を大きく組み入れていたことが結果として良かったわけです。
設定当初は、米ドルを組み入れずに、オーストラリアとニュージーランドとカナダしか組み入れていませんでした。2003年の9月にG7でアジア諸国は為替相場をもっと柔軟に運用してほしいというような、ある意味中国をターゲットにしたようなコメントが発表されまして、それまで日銀が介入により守ってきた115円というラインを抜けて米ドル安・円高が進みました。その後、ドルが落ちた後の2004年1月から米ドルの組み入れを開始しました。したがって、ファンドのスタート時点から比較すると、米ドルは安くなっているのですが、当初組み入れていなかったために、米ドル安円高の影響を回避できましたので、米ドルの下げによるマイナスの影響は抑えることができました。
ニュージーランドドルとオーストラリアドルをオーバーウェイトにして、米ドルを当初組み入れていなかったことが功を奏したのですね。
そうです。
債券の価格の影響はどうでしたか。
債券価格については、運用開始時点でカナダのデュレーションを長くして、オーストラリアとニュージーランドを短くしていまして、途中から米国を組み入れて、この米国については少し長目にしていたのですが、カナダは、今は金融引締めに転じていますが、唯一この間に金融緩和を実施した国ですので、カナダの長期債を保有していて、デュレーションを8年程度と長くしていたことが良かったということです。逆に、オーストラリアとニュージーランドはずっと引締めを行っているところでして、そこをどちらかというと短め、具体的にはオーストラリアが2年、ニュージーランドが3年という持ち方をしていましたので、その国別のデュレーションの配分も上手くいったと思います。結果として債券価格からの影響については、米国がマイナスとなりましたが、カナダなどが上昇したために133円のプラス寄与となりました。
最近はどうですか。
世界的に全体が金融引締め方向に向いてきているため、全般に金利は下がりにくくなってきました。
ところで、スタートからの基準価額の推移を見てみると、2004年3月頃から2004年の夏にかけて下落した時期がありましたが、これはどういう要因によるものですか。
2004年4月に発表された米国の雇用統計を受けて、金融引締め観測が高まったためです。それまでは、米国は雇用市場が良くないために暫く金融引締めはないと予測されていました。市場では1%のフェデラルファンド・レートが続くと考えられていました。その結果、何が起こったかというと、ヘッジファンドのような投資家は、それまで米国の安い金利で資金を調達して、オーストラリアやニュージーランドの高い金利で運用していたのですがが、米ドルの金利が上がるということになって、その巻き戻しが急速に起こったのです。その結果、このファンドで大きく組み入れていたオーストラリアドルやニュージーランドドルが弱くなりました。
為替で逆風が吹いた結果、基準価額が下落に転じたということですね。
そうです。結果として、オーストラリアドルとニュージーランドドルが対円でも弱くなったのです。加えて、米ドルの金利が上がるという観測により、世界的に金利が上昇に転じました。
その後、2004年夏頃から、ファンドの基準価額は再び上昇に転じて、現在まで概ね好調に推移していますが、ここでは何があったのですか。
米国の金融引締めについて、当初市場が予測したほど激しいものではなくて、穏やかな引締めとなるという見方が浸透していったためです。その結果、高金利通貨売りも金利の上昇も収まったわけです。その後は、高金利通貨が堅調に推移しています。
その後は、総じて安定しているのですね。
カナダが一時弱くなったり、その間にオーストラリアドルが上昇したりという動きはありましたが、全体で見ると安定してはいますね。
次に分配についてお聞かせ下さい。ファンドは毎月分配型のファンドで、当初は毎月の分配が1万口当たり33円だったのですが、2004年3月からは40円、2005年に入ってからは45円と、分配額が増加していますが、これはどうしてですか。
当初33円という分配額を決めたのは、組み入れ時に5%強くらいの利回りでポートフォリオを組みまして、そこから信託報酬を差し引いて12カ月で割ると、33円だったら維持できると計算しました。我々としては、分配金額を途中で下げるというのは避けたいと考えていまして、ある程度安定的に支払える金額で行いたいと考えました。当初の段階では33円であれば、ここから下げることなく維持できると計算したのです。結果として、その後も運用が上手くいったために、徐々に溜まりが出来てきました。かつ、ファンドの基準価額があまり上昇しすぎると、個人のお客様にとっては買いにくくなってしまうという考えもありました。こういうファンドは儲かった部分は分配するというのが基本ですので、今後安定的な分配が維持できる金額で分配金額を増やすことにしました。
その考え方を基本にして、徐々に分配金を引き上げてきたのですね。
そうです。
債券ファンドの中には、インカムゲインは毎月の分配に回して、キャピタルゲインについては年1回などのペースで特別配当という形で投資家に配分するファンドがありますが、このファンドでは、インカムゲインもキャピタルゲインも毎月の分配に回すのですね。
そうですね。特別配当というような形は行いません。あくまでも安定して毎月の分配をお支払することを基本にインカムゲインの中から分配を継続しています。
ファンドは運用が長いので、これまではキャピタルゲインもとれましたが、長期的にはキャピタルロスが生じるような局面も想定できると思いますが、その時のためにというか、キャピタルゲインの部分をとっておくということはしないのですね。
今後も長期的に安定して分配が支払う目処が立つようにできればよいと考えています。
現時点での国別の配分については、カナダ35.69%、オーストラリア33.66%、ニュージーランド11.08%、アメリカ15.70%となっていますが、今後については、どんな感じを想定していますか。
今は米国とカナダの金利が逆転してしまい、カナダの金利の方が米国より低い状態にあります。基本的には為替市場というのは、金利を見て高金利通貨を選好しますので、米国の方がカナダドルより選好されると思っていますので、それに合わせた対応を行っています。実際、1月にはカナダの組み入れは今よりも多くて45%近くありましたし、米国は5%程度でしたが、この1ヶ月くらいの間に現在のカナダ35%、米国15%程度という配分に変更しました。これをもう少し進めようかと考えていましたが、原油価格が再び高騰しましたので、金利差よりも今は一次産品の産出国の通貨が選好されており、カナダをはじめ、オーストラリアやニュージーランドが買われています。したがって、この原油価格の動向などをもう暫く見極めたいと考えています。
デュレーションについては如何です。
現在、カナダと米国が長めになっていますが、米国については、金利が上昇する段階でも短期金利ばかりが上昇して、長期金利が上がらないという状態が続いていました。
そうですか。
先日も、米連銀のグリーンスパン議長が、金融引締めを行っているのに、長期金利が上昇しないのが謎だと発言していましたね。そういう状況の中、米国については長めのものを持っていたいのですが、ここに来て、グリーンスパンの発言もあり、長期金利が上がり始めているので、長めのものを外した方がよいかと考えています。ただ、基本的には、米国のインフレが極端に上昇することはないと考えていますので、それほど短くする必要はないとは考えています。
そうすると、通貨についてはカナダから米国にシフトさせて、デュレーションについては米国を少し短期化するかというところですね。
そうですね。
パン・パシフィック外国債券オープンの純資産総額は75~80億円程度ということですが、大きな変動はありますか。
これまで安定した推移でした。今後徐々に増加していくことを期待します。
個人投資家にメッセージはありますでしょうか。
一つには、このファンドが投資している国については、米国以外は財政は黒字の国ですし、カナダは貿易収支も黒字です。そういう意味ではファンダメンタルズは非常に良い国だということです。昔を知っている人は、当時オーストラリアはすごい財政赤字を抱えていた国ですので、嫌う人もいるのですが、状況は大きく変っているのです。オーストラリアは90年代に公務員の数を3分の1に削減するなどといった大改革を行った結果、今は非常に財政が健全な国です。そういう意味では、80年代のオーストラリアやニュージーランドとは違うということを知って欲しいと思いますね。
もう一つは、グローバル債券ファンドの多くがシティ世界国債インデックスをベンチマークにしており、ユーロの組み入れが非常に多く、次いで米ドルが多く組み入れられています。カナダやニュージーランドなどの高金利の通貨というのは、インデックスの組入比率が非常に低いのです。世界の国債に分散投資するタイプのファンドをお持ちの方で、海外は高金利だと考えていても、高金利通貨というのはそれほど入っていません。2月末のシティ世界国債インデックスの中で、カナダは2%以下、オーストラリアは1%以下しか入っておらず、ニュージーランドは全く組み入れられていません。ですから、パン・パシフィック外国債券オープンのようなファンドを持っていただくと分散という意味で非常に役に立つのではないかと思います。
本日はありがとうございました。