タカハシくんの投信生活

第54回 「引値保証取引に関するルールの策定に疑問」

前回、投資信託協会について取り上げ、内向きな組織構成になっていると批判をしました。やみくもに批判をするのはよくないと、その後も協会の定款や事業報告書を読んでいます。今回は、そこで気になった問題を紹介します。引値保証取引(引値ギャランティー)」という言葉をご存じでしょうか?これは投資信託などの機関投資家が、主に大口の取引を成立させるために、その日の引値(取引終了時の値段)を基準として、市場外で取引を行うことです。

 

大口の注文は、それ自体で価格を大きく動かしてしまい、執行が難しいという側面があるために、あらかじめこのような条件で、証券会社との間で取引をすることがあるのです。ただし、この引値保証取引には、不正な価格操作が起こりうる問題が指摘されています。

 

たとえば、ある投資信託のマネージャーから、A株を引値で1,000株買いたいという注文が入ったとします。注文を受けた証券会社が、株式市場の終了間際に、大量の買い注文をA株に出し、故意に引値を高く誘導する。そうすると、異常に吊り上げられた価格を基準とした値段で、そのファンドは株を買うことになり、最終的にそのファンドを持つ投資家が損失を受ける(そして、証券会社が不正に利益を得る)可能性があるのです。

 

この問題は投資家にとって由々しきことですが、私が唖然としたのは、投資信託協会の事業報告書にある「引値保証取引に関するルールの策定」という、これについての対策の経緯を説明した文書でした。それによると、「平成13年6月の一部の新聞で批判的な報道があったことから、当時、金融庁より『(中略)業界として何か検討してはどうか』との要請があった」ので検討を行ったが、そのときは、ブローカーサイド(証券会社側)の問題であるとして、投信業界としての対応はとらなかった――。

 

「しかし、金融庁から平成14年10月に再度、検討を要請されたことから」検討ワーキングを設置して、考え方の取りまとめを行った。そして、「その後、金融庁より、とりまとめたものの中で“対応策”として掲げた事項を部会の申し合わせに規定してもらいたいとの要請」があった――。ここまで読んで違和感を感じたと思いますが、その後も“きっかけは金融庁”が続き、この項目に「投資家」「受益者」という言葉は登場しません。問題は、「不公正な取引によって投資家が損失を被るかもしれない」という点にあるにもかかわらずです。「運用者」としての気概・責任感は感じられません。

投資信託が私たち投資家にとって信頼できるものになるためには、この現状は大いに改善されなくてはならないものではないでしょうか。

 

★タカハシくんの11月4日現在の運用評価損益

購入ファンド
基準価額
評価損益
ノムラ外貨MMF  USマネー・マーケット・ファンド
47,583円
(−2,417円)
ノムラ外貨MMF  ユーロマネー・マーケット・ファンド
 60,322円
(+10,322円)
ノムラ外貨MMF 豪ドル・マネー・マーケット・ファンド
70,355円
(+20,355円)
トピックス・インデックス・オープン
45,027円
(+5,027円)
PRU国内株式マーケットパフォーマー
10,351円
(+351円)
野村MMF
364円
(+364円)
残り現金    
800,000円

合計
1,034,002円
(+34,002円)

(updated 11/10/03)

 

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