MMFの元本割れはどんなときに生じるのか (by P太郎)
4 なにが起こったのか
さて、三洋投信委託のMMFの場合、このころの短期金利が年率で大体0.25〜0.30%程度であったことを考えると、一日で−0.16%という数字はかなり大きいであるといわざるを得ません。なぜこのようなことに到ったのかを、三洋投信委託自身の発表を元に推測すると、b)に関連する問題が発生し、取れる最善の対策を取った結果a)の問題を伴って1日で元本1円あたり0.9984円まで基準価額が下落するという事態に到った、という事のようです。詳しく説明すると次のようになると思います。
- 2000年8月11日、日本銀行がオーバーナイト無担コールの誘導レートを0.25%に引き上げた結果、円金利は全般に0.2%前後上昇した。
- 金利が上昇したので三洋投信委託の運用するMMFを含む、多くの債券ファンドの時価は下落した。
- MMFは基本的に全資産が時価(それがどのような「時価」であるかはともかく)評価されているが、前述の通り、満期保有債券及び残存1年以内の債券は時価評価しないので時価の下落は評価価格の下落にはならない。投信各社のMMFは、@とAの結果この満期保有債券ポートフォリオ及び残存1年以内のポートフォリオの含み益が減少するか、場合によっては含み損を抱える状態になった。三洋投信委託の運用するMMFは、不運にも含み損の状態になった。
- さらに不運なことに、8月28日、三洋投信委託のオーナー(当時)であるクレアモントキャピタルが詐欺疑いで強制捜査を受け、三洋投信委託の運用するファンドの資産内容に対する懸念が受益者の間に広まり(結局これは根拠のない不安であったことがその後判明しますが、この段階では三洋投信委託のプレスリリース以外にこのときの資産内容に関する情報はあまり広まってはいませんでした)、それが同社のファンドの大量解約に繋がった。
- 解約に応じるためには、ファンドは保有する資産を売却して現金を作らなければならない。ある程度ならば、オーバーナイトコールや日々時価評価している資産の売却で対応できるが、それが足りなくなると時価評価していない資産をも売却せざるを得なくなる。こうした資産の時価が簿価を下回っていれば、実現損失が発生し、その額が大きければMMFの基準価額は1円を割る。三洋投信委託のMMFの場合も、これが発生したか、しそうになったと思われる。
- 三洋投信委託では、元本割れが発生した場合に更なる大量解約が起きると予想した。こうした事態に備え、また先に解約した受益者と後になって解約した受益者間の損失の大きさに関する不公平を避けるため、一旦ほとんどの資産を売却し、極めて現金に近いオーバーナイトコールなどのみを保有することにした。その結果、8月29日に一日で元本10,000円当たり16円というMMFのような「安全な」ファンドにしては比較的大きな損失となった。
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