銀行の貸し渋り等により中小企業やベンチャー企業の資金調達が困難になる中、平成5年(1993年)の商法改正により可能になったのが少人数私募債です。少人数私募債とは、50名未満の縁故者を対象に企業が発行する債券で、いくつかの条件を満たすことで、証券取引法で債券を発行する企業に義務図けられている有価証券届出書等の届出が不要となるといったメリットがあり、銀行融資にかわる資金調達方法として利用されています。
企業が発行する債券(社債)は、募集の方法により公募と私募に分かれます。公募とは不当的多数を対象として募集の行われるものです。一方、私募とは証券取引法上では多数の投資家を相手に行うのではない募集(多数とは50人以上を指します)、あるいは、内閣府令で定める適格機関投資家のみに対して行う募集(プロ私募と呼ばれます)などです。 (ちなみに、投資信託の公募と私募の違いも、同じ定義が使われています。)
この私募の条件に対して、少人数私募債は、@発行体が株式会社であること、A引き受け手が50人未満の縁故者であり、適格機関投資家が含まれていないこと、B50名以上に譲渡されるおそれがないこと、C発行価額の総額が1億円未満であること、D社債の一口の最低金額が1/50未満であることという条件を満たすものを指します。なお、ここで言う縁故者とは経営者個人、経営者の親族、知人、社員、取引先などのことです。
これらの条件を満たして発行される少人数私募債には企業にとって様々なメリットがあります。その代表的なものが、証券取引法で義務付けられている有価証券届出書等による開示が不要となる点にあります。また、金融機関からの借入は、借入れ後直ぐに元本と利息の返済が始めなければなりませんが、少人数私募は社債であるため、利息の支払いは半年後あるいは1年後であり、償還時まで元本の返済が行われないため、企業にとっては当面の資金繰りが楽になります。また、物的担保がなくても、信用があれば発行することが可能であり、担保設定に係る登記費用、印紙税、登録免許税が不要であり、保証会社も必要がないため、保証料もかかりません。更に、東京都文京区が区内に本社のある中小企業に対して少人数私募債の発行の利子補給制度を提供しているように、優遇策が用意されている自治体もあります。
【本で学ぶ少人数私募債】