スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンド・ステータスとは?


2000年6月13日、スタンダード&プアーズは、日本籍の投資信託の新しい評価指標として「スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンド・ステータス」を設定すると発表した。

スタンダード&プアーズは、社団法人投資信託協会に登録された投資信託の評価会社の一つであり、これまで過去のパフォーマンスに基づくスターレーティングを中心に投資信託の評価を同社のホームページなどを通じて行ってきた。今回発表されたセレクト・ファンド・ステータスは、同社ロンドンで開発された手法を日本に導入したもので、定量・定性両面から投資信託を評価する指標である。つまり、同社独自のシステムによるパフォーマンスの定量的な分析に加え、運用者、運用チームの質などの定性的な情報を評価の対象としている。

今回のコラムでは、この「スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンド・ステータス」について説明する。

【スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンド・ステータスとは】

スタンダード&プアーズ社によると、「スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンド・ステータス」は、一貫性のある運用プロセスの堅持、およびパフォーマンスに関する現時点での見解であり、「スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンド・ステータス」に認定されたファンドは、投資目標が類似した他のファンドに比べ運用能力に優れ、長期的に一貫して平均以上のリターンを提供する能力が高いことを示している、ということである。

今回の選定は、同社のファンド分類の中で「日本株・株式一般・市場分散型」に属するファンドに対して実施されたものであり、「スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンド・ステータス」は、次の8本に対して付与された。今後、他の分類におけるセレクト・ファンドの認定も発表される見通しである。

スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンド・ステータス

ファンド名
さくら日本株オープン さくら投信投資顧問
DKA株式オープン 第一勧業アセットマネジメント
日本株・ネオグロース・オープン 東海投信投資顧問
日本グロースオープン 日本投信委託
パートナーズジャパンオープン パートナーズ投信
スーパークオリティオープン パートナーズ投信
マーキュリー・アクティブ・ジャパン・オープン メリルリンチ・マーキュリー投信投資顧問
モルガン・スタンレー・ジャパン・グロース・ファンド モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信

 

【選定プロセス】

スタンダード&プアーズ・セレクト・ファンドの選定に当り、スタンダード&プアーズは、定量的要因(パフォーマンスの推移、ポートフォリオ構成、ボラティリティなど)および定性的要因(運用、投資プロセス、運用組織など)について分析を行っている。では、具体的にどのような選定プロセスによりファンドの選定が行われるのか見てゆこう。

【ファンドの分類】

第1ステップとして、ファンドの分類が行われる。各セクター(分類)内でのファンドの相対的比較、評価を可能とするために、ファンドは投資目標とファンドの組入れ資産に基づいて分類別けされるわけである。この分類は、スタンダード&プアーズの独自分類が使われる。例えば、日本株ファンドの分類については、以下の通りである。

  • 日本株・株式一般・一部上場株型

東証一部上場銘柄がおよそ90%以上組入れられているファンド

  • 日本株・株式一般・市場分散型

東証一部上場銘柄の組入れが、およそ90%以下、二部・店頭株も組入れられているファンド

組入れ銘柄の発行済株式数が二億株以上の銘柄で構成され、東証大型株指数をベンチマークとしたファンド

  • 日本株・中小型株型

明らかに中小型・店頭株中心に運用されているファンド、またはポートフォリオの中で東証一部上場銘柄が40%以下のファンド、東証一部上場銘柄の組入れが40%以上であっても、それらの銘柄が中小型株中心であるファンド。

ここで注意が必要となるのは、この分類は、これまでスタンダード&プアーズが発表してきたスターレーティングで用いられている分類とは若干異なるという点である。例えば、これまでのスターレーティングにおける日本株型の分類は日本株・アクティブ型、日本株・システム型、日本株・大型株型、日本株・中小型株型となっている。同社によると、将来的には同じ分類方法を採用する予定だということである。

なお、今回の選定対象となった「日本株・株式一般・市場分散型」に属するファンドは選定段階で124本あったということである。

【定量的スクリーニング】

ファンドの分類が終ると、次に定量的スクリーニングが実施される。スクリ-ニングは、スタンダード&プアーズ独自のシステムにより、過去3年間のパフォーマンスをもとに行われ、同一セクター(分類)のなかで上位20%に位置するファンドが選定される。今回の選定においては、選定対象ファンド124本が、この定量的スクリーニングにより24本にまで絞り込まれた。

また、純資産10億円未満、運用期間3年未満のファンドは、スクリーニング後に選定対象からはずされる。この結果、定量スクリーニングをクリアしたファンドは14本となった。

【定性分析】

定量分析をクリアしたファンドは定性分析がなされるが、これはスタンダード&プアーズのファンドアナリストが、運用会社を訪問し、インタビューを行うことで実施される。定性分析の項目は、おおまかにいって次の4項目である。

  1. 運用会社について(組織、投資哲学、投資プロセス、人事システムなど)
  2. 運用チームについて(運用チームの規模、質、経験、実績など)
  3. ファンドマネージャーについて(投資スタイル、プロセス、ファンドマネージャーに対する仕事量、経歴など)
  4. ファンドについて(純資産総額、回転率、リスクコントロールなど)

今回発表されたセレクト・ファンドの最大の特色は、この定性評価を行っていることである。同社は米国に本社を置く評価会社であり、米国、日本のみならず、全世界的に投資信託の評価を実施しているが、定量分析だけでなく、定性分析においても共通の分析手法が採られている。なお、日本国内においては定性分析行うためのインタビューを実施するファンドアナリストは2名(2000年7月現在)であるが、実際には全世界60名のファンドアナリストがおり、彼らの一部も日本の投資信託の分析を担当している。実際、日本のファンドマネージャーをインタビューするために海外のシニアクラスのアナリストが来日することもあるという。こうして定量・定性両面から分析を行った後、海外のアナリストも含めた格付け委員会が開かれ、セレクト・ファンド・ステータスを付与できるファンドが決定される。