日本版スチュワードシップ・コードとは?


日本版スチュワードシップ・コードとは

投資信託運用会社のHPなどで、「日本版スチュワードシップ・コード」に賛同するという宣言を見かけます。この日本版スチュワードシップ・コードとは何でしょうか。

スチュワードシップ(stewardship)は受託者責任と訳される英語です。また、コード(code)は行動規範のことです。つまりスチュワードシップ・コードは受託者責任を果たすための行動規範を意味します。では、なぜ、日本版かというと、英国において英国企業財務報告評議会が、2012年9月に英国企業株式を保有する機関投資家向けに策定した株主行動に関するスチュワードシップ・コード(The UK Stewardship Code)を模範としているからです。

 

日本版スチュワードシップ・コードが誕生した経緯

日本では、2013年 6月24日に公表された、アベノミクスの「第三の矢」としての成長戦略「日本再興戦略」の中で、「成長への道筋」に沿った主要施策例として、コーポレートガバナンスを見直し、公的資金等の運用の在り方を検討することが盛り込まれ、そこで機関投資家が、対話を通じて企業の中長期的な成長を促すなど、受託者責任を果たすための原則(日本版スチュワードシップコード)について検討し、取りまとめることが閣議決定されました。

これを受け、金融庁に「日本版スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会」が設置され、同検討会が2014年2月26 日に「責任ある機関投資家の諸原則 ≪日本版スチュワードシップ・コード≫」を策定・公表しました。

そして、多くの機関投資家がこれに賛同し、各々の行動方針をHPなどで表明しているというわけです。日本版スチュワードシップ・コードは、法律ではありませんから、法的拘束力はありません。しかし、同検討会は、同コードの趣旨に賛同しこれを受け入れる用意がある機関投資家に対して、その旨を表明することを期待すると言っており、また、アベノミクスでは、機関投資家が適切にスチュワードシップ責任を果たすことは、経済全体の成長にもつながると考えられています。

法律ではないものの、金融庁に置かれた検討会が策定したものですから、ほとんどの機関投資家が賛同を表明すると思われます。金融庁によると、2014年 8 月末時点で、すでに 160 の機関投資家から、日本版スチュワードシップ・コードの受入れ表明を行なっているということです。

 

日本版スチュワードシップ・コード

以下が、「責任ある機関投資家」の諸原則 ≪日本版スチュワードシップ・コード≫ として、公表されたものです。

投資先企業の持続的成長を促し、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図るために、

1. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

2. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

3. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

4. 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

5. 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

6. 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

7. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

これらの原則を果たすために、具体的にどんな行動をとるかということを、運用会社が各々検討し、それをHPなどで表明しています。