自分のリスク許容度はどのように測ることができますか?


1.Introduction

資産運用を考えるときの基本は

●資産全体のリスクとリターンを分析し、
●自分に合ったリスクとリターンをもたらす資産構成を作る

です。

リスクとリターンの推定は難しい作業ですが、過去のデータを使ったりシナリオ分析を行ったり、といったように、ある程度確立された手法があります。本などを読んでも、それぞれの投資対象がどれぐらいリスキーで、どれぐらい儲かりそうかについては、よく説明してあります。では、どんなリスクとリターンが自分に合っているのか、の方はどうかというと、「自分に合ったリスクとリターンを測りましょう」と書いてあるだけで、どうやれば自分に合ったリスクとリターンが計れるかについてはあまり説明していない様に思います。

これはある意味当然のことです。というのは、リスクとリターンのどのような組み合わせが人に合っているかは基本的に好みの問題で、英語でthere’s no accounting for taste(好みに理由はない)というように、説明が非常に難しいからです。説明できないものを測る方法というのはなかなかありません。しかし、推定と試算をすることはできます。実際、証券会社や投資顧問会社、さらにプライベートバンクの中には顧客のカウンセリングを元に独自のツールを使用して顧客のリスクとリターンに関する好みを測定し、それに基づいてアセットアロケーションや投資対象を決めるという枠組みを持っている会社もあります。こうした考え方が発達しているのはやはりアメリカで、インターネット上でそうしたサービスを行っている会社もあります。

今回は、どれぐらいのリスクとリターンが自分に合っているかを考えるための枠組みを説明します。なお、上記でも書いたとおり、人の好みを理論的に分析したり、また数量化したりするのは非常に難しい作業です。以下で説明する枠組みや方法も、あくまでも目安にすぎません。また、多くの投資はリスクを伴います。価格が下がって損をすることなどがありえます。また価格が下がらなくともインフレによって価値が下がることもあります。したがいまして、ここで説明する方法を使って投資判断をし、それで満足が行かないことや好みに合わない結果に終わることは多々ありえますが、かかる投資判断はすべてご自分の判断と責任で行うものであります。

 

2.リスク許容度

投資家がほしいのはより大きなリターンやより大きな資産です。しかし、リスクとリターンが強く結びついていており、ハイリスクハイリターンな投資対象とローリスクローリターンな投資対象しか存在しない実際の金融市場では、投資家は、大きなリターンを求めるために、どれだけのリスクを許容できるか、ということを考えなければなりません。

この、どれだけのリスクを許容できるかを、投資家の「リスク許容度」といいます。リスク許容度が大きい人は、そのリスク許容度に合わせた大きなリスクをとり、その代償としてより高いリターンが期待できる資産が持てます。一方、リスク許容度が小さい人は、低いリターンで満足でき、その代償としてより低いリスクの資産を保有できるでしょう。

こうしたリスク許容度は、大きい方が良い、あるいは小さい方がよい、という性質のものではありません。リスク許容度は、本来的には選ぶことができるものでもありません。リスク許容度は、投資家の、将来のプランや、普段の生活や、職業や、そして好みなど、いろいろな特徴によって決まるものなのです。

 

3.リスク許容度に影響を与える要因

次に、1.で説明したリスク許容度はどんな要因にどのような影響を受けるかについて説明します。

 

a) 将来の支払い

将来必ず支払わなければならない負債が大きい場合、その支払いに当てるための資産が大きく目減りする可能性のある運用はできません。また、ローンのような、実際の負債でなくとも、お子さんの学費や老後の生活費のような、「将来、ほぼ必ず必要になるお金」も、将来、必ずそれだけのお金を支払えなければならないという意味では負債と同じような役割をします。

こうした広い意味での「負債」と現在の資産を比較して、資産が十分に大きければ、資産のある程度の目減りしても大丈夫でしょうし、逆に資産の方が小さければ今後の生活を控えめにしたり、収入を増やすことを検討してみたりして上で、現在の資産があまり目減りするようなことのない運用を考えなければなりません。つまり、将来の支払いが現在の資産に比べて大きいほど、リスク許容度は小さくなると言えます。

 

b) 他の資産や収入

a)では運用資産と「広い意味での負債」つまり将来必ず満たさなければならない支払いを比べましたが、多くの人は、運用資産だけで暮らしているわけではありません。働いておられる人はその収入を少なくともある程度は当てにできますし、また住宅や「お宝」など、運用資産以外の資産を持っておられる人も多いはずです。これらも、最悪の場合、売却してそのお金を支払いに当てることができます。つまり、収入や、他の資産が大きければ大きいほど、運用資産で取れるリスクの大きさ、つまりリスク許容度は大きくなります。

 

c) 知識

知識があっても明日の相場を当てることは非常に難しいですが、少なくとも不確かさを少しだけ減らすことはできます。例えば、株式は所詮ギャンブルだ(そうではない、と言いきることはできないかもしれませんが…)と考えている人ならば、1000万円株式に投資して、10年後に1000万円を下回っている確率と上回っている確率は、五分五分だ、と考えるかもしれません。

しかし、前述のリスクリターントレードオフという考え方を知っている人は、株式にはリスクがあってもそれに見合うだけの期待リターンがあり、10年後に利益が出ている確率は損失が出ている確率よりも大きい、と知っています。また、投資信託の仕組みや運用のされ方を知っていれば、より自分に合った投資信託を選ぶことも可能でしょう。

こうした金融の知識に限らず、経済や政治や、場合によっては自然科学(例えば生物学を知っている人ならばバイオテクノロジーへの投資は勝手知ったる自分の庭かもしれません)や文学(グリンスパン議長の発言を読み解くには文学の素養が必要ではないかと思います)でも、投資を考えるときに役に立つことがあります。これらは不確かな将来を考えるときの指針として役に立つでしょう。つまり、知識があれば人は、(他の人から見れば)より思いきった行動が取り易くなり、リスク許容度は高くなります。

 

d) 純粋な好み

純粋に好みの問題は、依然として残ります。他の条件がすべて同じでも、より手堅い戦略を取りがちな人と、より大胆な戦略を取りがちなひとがいることは、全く不思議ではありませんし、またどちらが良いとか偉いとかいうものでもありません。好みは好みなのです。林檎とヒカルのどちらが好きか、と聞けば双方に言い分があり、それぞれ自分の趣味の方が良いと、それぞれの側が考えるでしょうが、客観的に見れば、人それぞれ、ということになります。

 

e) 補足: 影響があるかないかよく分からない要因 = 投資期間

よく、投資期間が長ければリスクが小さくなる、あるいは長期投資をするならリスキーな投資をしても大丈夫だ、さらに長い目で見ることができるならば、リスク許容度は高くなる、といった説明をみることがありますが、これは間違いです。たいてい、こうした考え方には、「株式のようなリスキーな投資は、短期的には上下があるけれども、長い目で見れば儲かるものだ」という説明がされていますが、リスクリターントレードオフを考えると、リスキーな投資をした場合には単に儲かるだけでなく、よりたくさん儲からなければ割が合っていないことが分かります。これを考慮すると、長期投資をしたからといってリスクが低下したり、リスク許容度が高くなったりすることはありません。

しかし、「若い人はリスキーな投資をしても大丈夫だが、若くない人はあまりリスキーな投資はしないほうがいい」というのは、そのとおりかもしれないと思わせるものがあります。これは投資期間が問題なのではなく、将来の収入の問題ではないかと思います。若い人は、金融資産の運用がうまくいかずに、仮にそういう資産をすべて失い、借金を背負うことになったとしても、将来があります。必要ならたくさん働いて、借金を返したり、また金融資産を蓄積したりすることは可能です。一方、近く引退を考えている人は、定義によって働く期間はさほど長くなく、資産をすべて失ったとすると、生活の糧を失ったことになります。そして多くの場合、引退は若くなくなってからすることが多いようです。こうした、金融資産以外の事情が働いているのを、金融資産だけピックアップしてみると、投資期間が長い場合はリスキーな投資をしやすく、短い場合はリスキーな投資はしにくいように見えるのでしょう。上記のように、これは正しいとは言えません。

 

4.まとめとリスク許容度の使い方

このように、リスク許容度は、必要なリターンや資産額を達成するために、投資家が取れるリスクの大きさのことです。リスク許容度は、投資家の将来の支出予定、現在の収入と資産、知識、好みなどを考えることで、測ることができます。将来の支出が小さく、現在の収入や資産が大きく、知識が豊富で、思い切ったことをやりたがる人は、リスク許容度が大きいといえるでしょう。

最後に、リスク許容度が何らかの形で計測できたら、それに基づいて決まるのはアセットアロケーションです。具体的には、リスクを伴う投資とリスクのほとんどない、MMFや預金などのアロケーションを決めるのです。よく用いられる数字は、株式などのリスクの高い資産合計で60%、債券などリスクの小さい資産合計で40%をスタートラインとする方法です。これは、平均的なリスク許容度の持ち主の資産構成は、大体この比率になっているという説に基づいています。リスク許容度が大きいならば、前者80~90%、後者10%~20%、あるいはリスク資産の構成が、特にリスクの高いもので占められてるならば前者を70%、後者を30%、といったように、微調整が必要な場合もあります。

 

サンプル

2.ではだいたいどのような要因がリスク許容度に影響を与えるかを説明しましたので、最後にプライベートバンクや投資顧問会社などがやっているカウンセリングによる顧客のリスク許容度測定を試しにやってみましょう。以下、20個の質問をします。選択肢の中から、一番ご自分の実際の姿に近いと思うものを選び、記録しておいてください。ではスタート。

1) 金融投資には常にリスクが伴いますが、その上で、次のコメントのうち、どれがあなたの考え方に一番近いでしょうか。

A. 投資元本の安全性が一番大事である。元本をまず確保した上で、資産の成長やインカムゲインはそれに比べると二次的な問題だ。

B. 投資の安全性と定期的な収入が得られること、これを目標にしている。

C. ある程度の収入を得るために、必要なリスクは取れる。キャピタルゲインは、それを確保した上でなら考えても良い。

D. 自分はリスクをとってキャピタルゲインを狙いたいが、ある程度の収入も必要である。

E. 長期的なキャピタルゲインを得るために投資している。そのためにはリスクを取ることもいとわない。また、資産運用からの収入は当分なくても良い。

2)一般に、リスクの高い投資の結果は不確実ですが、安全な投資を上回る成長力が期待できます。しかし同時に、リスクの高い投資は安全な投資に比べて大きな損をすることがあります。投資目的から考えて、あなたはどれぐらいのリスクに耐えられるでしょうか?

A. 最小限のリスク: 全体として、投資結果が予測できるようでなければいけない。収益はインカムゲインを中心にしたい。その結果、投資収益が比較的低いものであったとしても、安全な投資をしたい。

B. 若干のリスク: 投資期間中にポートフォリオの価値が下落するのは、ポートフォリオがインカムを生み出し、最終的にある程度のキャピタルゲインがあればかまわない。

C. 中程度のリスク: 長期的なキャピタルゲインを得るためには、資産価値の変動は気にしない。

D. かなりのリスク: より大きな資産の成長を得るために、大きなリスクを取ることをいとわない。

3) 安全性を重視した投資を行なうと、その収益率はインフレ率を下回ることがしばしばあります。そうした場合、金額ベースでは損失は出なかったとしても、資産の購買力は低下します。例えば、50年前には10円で随分たくさんのものが買えましたが、同じ10円で今日買えるものはあまりありません。これはインフレのせいで物価が50年前に比べて上昇しているからです。さて、あなたの投資目的から考えて、次のうち最も当たっていると思うのはどのコメントでしょうか。

A. 資産価値がインフレ率と同程度には上昇してほしい。最終的にそれを達成するためには、一時的な損失が出ることも仕方がないと思う。

B. インフレ率を上回る資産価値の成長を目指している。そのために取るべきリスクは取るつもりである。

C. インフレ率を大きく上回る資産価値の成長を目指している。そのためには大きなリスクを取るつもりである。

4) 「自分の現在の環境から考えて、投資期間中、1年の損失が___%までならば、とり返しがつく範囲だ。」次の数字のなかから、ご自分の感覚にあっている数字を選んで空欄に入れてください。

A. 5%

B. 10%

C. 15%

D. 20%

5) 次のような投資を考えましょう。資産Xは、期待できる収益率が年率1%で、元本の安全性が比較的高い投資です。一方資産Yの期待収益率は10%と高いですが、場合によっては年率で40%を上回る損失の可能性があります。この2つに投資するとすれば、次のうちどのような組み合わせを選びますか。

A. Xに100%、Yに0%。
B. Xに80%、Yに20%。
C. Xに50%、Yに50%。
D. Xに20%、Yに80%。
E. Xに0%、Yに100%。

6) 次のデータは、ある国の過去50年データを使って行なったシミュレーションの結果です。4つのアセットアロケーション戦略に基づいて1年間、及び5年間の投資を行なっていたら、どのような結果になったかを示しています。

戦略1: 短期債・長期債による安定運用
戦略2: 債券6割、株式4割のバランス運用
戦略3: 大型株を中心とする株式6割、債券4割の安定成長運用
戦略4: 大型株と小型株による積極運用

 

投資期間=1年
投資期間=5年
平均収益率
最高
最低
平均収益率
最高
最低
戦略1
6%
40%
-11%
36%
172%
-2%
戦略2
8%
50%
-15%
42%
192%
-11%
戦略3
10%
54%
-32%
61%
228%
-9%
戦略4
13%
79%
-36%
83%
237%
-33%

 

例えば、戦略2の5年間の結果は、戦略2で5年間投資していた場合、過去のデータによれば平均で42%、最高で192%、最悪で-11%の収益率になっていることを示しています。言い換えると、戦略2で1000万円を5年間運用すると、最高で2920万円、最低で990万円、平均で1420万円になっている、ということです。1データを見て、この4つの戦略の中では、どれが一番ご自分に合っていると思いますか。

A. 戦略1
B. 戦略2
C. 戦略3
D. 戦略4

7) 2年間運用した結果、目標としていたよりもリターンが低く、資産は目標額に達しなかったとします。2年前と、仕事や収入、将来の予定などが変っていなかったとすれば、あなたは運用資産の投資戦略を、次のうちどれにしますか。

A. これまでよりもより手堅い、安全な運用に変更する。
B. これまでの戦略を変更せず、そのままの運用を継続する。
C. 目標を達成するために、より高いリターンを期待できる戦略にする。

8) ご自分が「運用」しておられる資産は、時価で測ると、大体全資産の何%ぐらいになりますか。

A. 80%以上
B. 60%以上80%未満
C. 40%以上60%未満
D. 20%以上40%未満
E. 20%未満

9) 将来の支出を考えてください。今後5年間の間に発生するであろう支出について、次のうちどれがもっともご自分の状況に近いと思いますか。

A. 現在の運用資産のほぼ全額をその支払いに当てる予定である。
B. 現在の運用資産の一部をその支払いに当てる予定である。
C. 他の資産を取り崩して支払いに当てる予定である。
D. 運用資産を含めた資産に手をつけなくても、収入で十分賄える。

10) 投資を考える際、リスクとリターンに加えて、流動性についても考える必要があります。流動性とは、ある資産が、必要なときにどれぐらい現金化しやすいか、ということです。また同時に、ご自分が、売却損を出したり、売却益を出してキャピタルゲインに課税されることにどれぐらい耐えられるか、ということでもあります。今考えている運用資産以外の資産の流動性について、次のうちどれが、ご自分の状態に近いと思いますか。

A. 流動性はとても低い。
B. 流動性は高いとは言えない。
C. 流動性は、まあまあである。
D. 流動性はある程度確保している。
E. 高い流動性がある。

11) 現在の収入はいくらぐらいですか。

A. 400万円未満
B. 400万円以上550万円未満
C. 550万円以上700万円未満
D. 700万円以上1000万円未満
E. 1000万円以上

12) あなたの収入に頼っているひとは、

A. 配偶者と子供を扶養している。
B. 両親
C. ご自分だけ
D. 共働きで、子供を扶養している。
E. 共働きで、扶養している子供はいない。

13) 現在のお仕事は

A. 安定しているとはいえない。
B. 安定していて昇給も期待できる。
C. そのうち大きなお金が転がり込むのであまり仕事のことは気にしていない。
D. そのうち自分の事業を立ちあげる予定なので、いまの仕事のことはあまり気にしていない。

14) 毎年の収入と支出について、次のうちどれが一番ご自分の状況に近いでしょうか。

A. 貯金なんてしても仕方がない。収入はほとんど使い切っている。
B. 収入のうちからいくらかは置いておきたいが、実際に残ることはあまりない。
C. 余裕がある時には必ず貯金している。
D. 毎月の収入の5%以上は必ず貯蓄や投資にまわしている。
E. 毎月の収入の20%以上は必ず貯金や投資にまわしている。

15) ご自分の金融知識について、どう思われますか。次のうち一番近いと思うものを選んでください。

A. よくわからない。投資なんてしたことがない。または、金融機関の方が薦めてくださるものを買っている。
B. 金融用語をいくつか知っている。
C. 株式や債券、短期金融商品があることなど、投資や市場の基本的な仕組みを知っている。
D. 投資信託の仕組みについて知っている。例えば投資関連のフォーラムで投稿者の皆さんが真剣に議論しておられる内容を、自分は理解できるし、自分なりの考えも持っている。
E. 非常に高い。リターンの標準偏差や平均値について説明できるし、投資信託のパフォーマンス評価もできる。

16) 投資に関する情報は、どの程度入手しておられますか。次のうち一番近いと思うものを選んでください。

A. お金とか商売とか、ああいう意地汚い世界は嫌いだ。
B. テレビでビジネスニュースをみるけれども、あまりよくわからない。
C. 毎日、大体20分ぐらいは新聞の金融面を読むのに使っている。
D. 朝読む新聞は日経新聞で、またビジネス雑誌を最低1つは購読している。
E. ビジネスニュース中毒である。毎日新聞、テレビ、ラジオ、インタネット、書籍、その他その他、ありとあらゆるところから情報を集め、毎日何時間かはこうした情報の収集と分析に費やしている。

17) 大きな投資をするとき、どうやって決定しますか。

A. 運を天に任せてコインの裏表できめる。
B. 悩みぬく。
C. 友達に相談して決める。
D. 自分の勘を信じる。
E. まず調査する。

18) 失敗をしたり、損をしたりしたとき、どのように感じますか。

A. なにか、悪いことをしたような気分になる。
B. 自分は負け犬だと感じる。
C. 挑戦と感じる。

19) 年金や年金型生命保険も含めて、いま貯金はどれぐらいありますか。

A. ない。
B. 最近始めたところだ。
C. 収入でいえば、平均で6ヵ月分以下だ。
D. 収入でいえば、平均で1年分以下だ。
E. 収入でいえば、平均で2年分以上だ。

20) 現在の収入と支出について、どれが一番近いですか。

A. なんとか食いつないでいる。
B. 少しだけ貯金がある。
C. 年収は800万円ぐらいで、退職金と年金がもらえると思う。いくらか貯金や運用資産がある。
D. 年収は1500万円以上で、退職金と年金がもらえると思う。さらに貯金や運用資産がある。
E. 貯金や投資信託、有価証券などの金融資産、生命保険など、いろいろな資産を持っている。

6.リスク許容度スコアとポートフォリオの方針例

 

リスク許容度スコア

A: 0点、B: 1点、C: 2点、D: 3点、E: 4点として、合計スコアを計算してください。点が高い人ほどリスク許容度が高いという推定結果になっています。

ポートフォリオの方針例

スコアに基づくだいたいのリスク許容度は、次のように表現できるとおもいます。繰り返しますが、これはあくまでも参考例です。投資家にはそれぞれの個別事情や考え方がありますから、これが最適だというリスク許容度の測り方や数量化の方法はありません。

 

11点未満: リスク許容度は非常に小さい方です。資産の成長をねらうよりも、むしろ安定性を重視した運用を考えるべきだと思います。
11点以上21点未満: 若干のリスクを取ることをいとわない方ですが、リスク許容度は小さい方に属します。リスク資産のウェイトは低めに抑えるべきでしょう。
21点以上51点未満: 平均的なリスク許容度であると思われます。リスク資産6割、安全資産4割を基本に、ご自分に合ったポートフォリオをご検討ください。
51点以上61点未満: 平均を上回るリスク許容度をお持ちであると思われます。ご自分の最終的な目標資産額と、最低必要な資産額や我慢できる最大の損失について十分に検討いただいた上で、積極的な運用を検討していただけると思います。
61点以上: 非常に大きなリスク許容度をお持ちです。可能ならばヘッジファンドやエマージングマーケット、あるいはベンチャーなどへの投資も資産の一部で検討してよいのではないでしょうか。

 

 

筆者:P太郎(某大手運用会社勤務。専門はリスクマネジメント)