バンクローンとは?


バンクローンとは

2013年頃からバンクローンに投資するファンド「ローンファンド」「バンクローンファンド」の設定が増えています。今回は、そもそもバンクローンとは何か、その市場とはどういうものなのかを見てゆきたいと思います。

バンクローンとは、銀行が企業に提供する融資のことです。企業にとっては銀行からの借り入れですから、決められた期日までに金利と合わせて返済する義務が生じます。銀行にとっては、借金を返してもらう権利が発生し、これを貸付債権とも呼びます。

一般に、銀行融資は一つの銀行と一つの企業の間で行なわれますが、複数の金融機関が協調して、一つの融資契約書に基づいて同一条件で一つの企業に対して提供する融資があります。これをシンジケート・ローン(協調融資)といいます。

このシンジケート・ローンの中でも、信用度の低い企業向けのものをレバレッジド・ローンといいます。レバレッジド(leveraged)とは、「借入によって資金調達をしている、借入比率の高い」という意味の英語です。信用度の低い企業(=低格付けの企業)向け融資であるので、金利は信用度の高い企業向けの融資に比べて高く設定されます。このレバレッジド・ローンによる貸付債権を取引する市場がバンクローンの流通市場です。

 

バンクローン市場について

このバンクローンの流通市場は、金融機関や機関投資家が売買を行なう市場であり、個人投資家が参加できる市場ではありません。そのために、個人投資家は、投資信託などを通じて、バンクローンに投資することになります。

投資信託が組み入れているバンクローンの特徴としては、その多くは優先担保付きローン(senior secured loan)と呼ばれる、担保付きで、弁済の優先順位が上位のローンであることが挙げられます。そのため無担保の社債などよりも保全性が高いと考えられています。また、金利が変動金利であるため金利変動リスクが抑えられていること、信用度が低い企業向けローンであるので相対的に高い利回りが獲得できる点も特徴として挙げられます。

米国の証券取引委員会(SEC)のホームページによると、米国における弁済順位は、①担保を持つ債権者(通常、担保を持つ銀行が最初に弁済を受ける)、②無担保債権者(次に担保を持たない銀行、納入業者、社債権者が弁済を受ける)、③株主(企業のオーナーである株主の弁済順位が一番低い。担保を持つ債権者と無担保債権者の弁済が完了していない場合には、株主は弁済を受けることはできない)とされています。

 

 

バンクローンを投資対象とする投資信託の例

  • USバンクローンファンド・為替ヘッジあり(毎月分配型)
  • USバンクローンファンド・為替ヘッジなし(毎月分配型
  • 米国バンクローン・オープン<為替ヘッジあり>(毎月決算型)
  • 米国バンクローンファンド<為替ヘッジあり>(毎月分配型)
  • バンクローン・ファンド(ヘッジなし/年1回決算型)
  • バンクローン・オープン(為替ヘッジあり)

更に詳しくバンクローンに投資する投資信託について知りたい方は、投信協会の投信総合検索ライブラリーが便利です。

 

バンクローンのリスクについて

保全性の高さや金利変動リスクが抑えられている点、相対的に高い利回りといったメリットが注目されるレバレッジド・ローンですが、一方で、リスクも一般のローンに比べて高い傾向にあります。

前述のように、レバレッジド・ローンは、信用度の低い企業向けのローンですから、信用度の高い企業向けのローンや投資適格債券よりも返済が滞ったり、デフォルト(債務不履行)に陥るリスクが高い傾向にあります。つまりリスクが高い分、利回りが高くなっているわけです。

また、レバレッジド・ローンは、一般のバンクローンに比べ、価格が大きく変動する可能性も高いと言われています。更に、市場の流動性についても、レバレッジド・ローンの流動性は債券市場などと比較して、流動性が低く、機動的な売買が困難になるリスクが高いと考えられています。

また、投資信託が組み入れているレバレッジド・ローンはほとんどが米国市場で売買されているものであるため、ファンドには為替リスクが伴います。為替ヘッジの行なわれないファンドにおいては、円高により為替差損が生じることもあります。

 

バンクローン市場の動向

バンクローン市場の動向については、代表的な指数であるS&P/LSTA米国レバレッジド・ローン100指数(S&P/LSTA U.S. Leveraged Loan 100 Index )で知ることができます。

同指数は米国のスタンダード・アンド・プアーズ社と米国の事業会社向けローン市場を対象とする業界団体Loan Syndications and Trading Association(LSTA)が共同で算出・公表する指数で、レバレッジド・ローン市場において最大級の融資(枠)100件のパフォーマンスを反映するよう設計されています。

2011年3月には、このS&P/LSTA Loan 100 Indexへの連動を目指すETF「PowerShares Senior Loan Portfolio(パワーシェアーズ シニア・ローン・ポートフォリオ (BKLN)」がニューヨーク証券取引所ARCAに上場し、その後も多くのローンETFがニューヨーク証券取引所ARCAに上場しています。

米国レバレッジド・ローン100指数

米国レバレッジド・ローン100指数