医療関連株式ファンドとは?


医療関連株式ファンド

医療関連株式ファンドとは、医療に関連する事業を行なっている企業の株式に的を絞って投資するファンドのことを指します。

どのような事業を医療関連と見なすかについては、運用会社やファンドにより異なりますが、一般的には、医薬品、医療機器、バイオテクノロジー、医療や健康サービスなどの分野の企業が対象となります。iPS細胞や再生医療に関わる研究開発を行なっている企業なども、医療関連株式ファンドが投資対象とする分野です。

また、医療関連株式ファンドは、ヘルスケアファンドと呼ばれることもあります。なお、このように特定のテーマ・題材に的を絞って投資するファンドをテーマ型ファンドと呼びます。

 

医療関連株式ファンドの考え方

医療関連株式ファンドは、世界的な人口増加、先進国を中心とした高齢化、健康志向の高まり、医療技術の進歩、新興国の人口増加や経済成長に伴う所得増加を背景とした医療ニーズの増加や医療へのアクセスの改善などにより、医療関連の企業の業績成長が期待されるという考えを基本としています。

 

世界的な人口増加

実際、国連によると、2013年末で71億人と推計される世界の人口は、2050年には95億人に増加すると予測されています。

世界人口の推移

 

高齢化

また、高齢化に関しては、世界の人口において65歳以上の占める割合は2010年には7.7%でしたが、2020年には9.3%、そして2050年には15.6%に増加すると予測されています。日本で現在見られている状況と同じように、高齢化は世界規模でも医薬品や医療サービスの需要の増加の大きな要因となると考えられています。

65歳以上の人口の占める割合

 

医療支出について

医療支出を見ると、先進国(OECD加盟国)においては、次のグラフのように一人当たりの医療支出が毎年増えており、2000年からの10年間で約2倍になっています。また、新興国においても経済成長による所得増加や病院・薬局等の医療インフラの整備により、医薬品や医療サービスにアクセスできる人口が増えていると言われており、この傾向も医療関連銘柄の業績向上に寄与する要因となります。

OECD加盟国の医療支出の推移

 

医療関連株式ファンドの例

医療関連株式ファンドの例としては、次の4本のファンドが挙げられます。いずれも、世界の医療関連株式に分散投資するファンドです。

 

日興ロックフェラー医療戦略ファンドは、新興国を含む世界の医療関連企業の株式などに分散投資を行なうファンドで、医薬品メーカーに限らず、医療用機器やバイオテクノロジー、医療施設などの分野の企業を幅広く投資対象としています。設定日は2010年7月30日で、信託期間は2020年7月31日までです。運用は米国のロックフェラー・アンド・カンパニー・インクの運用部門が担当しています。

 

ニッセイ次世代医療ファンドは、ニッセイ次世代医療ファンドは、世界(含む日本)の医療関連企業の株式に投資するファンドで、医療関連企業の中から、世界の医療関連ビジネス拡大の恩恵を受け、今後、利益成長が期待できる銘柄に投資を行ないます。設定日は2011年3月18日、信託期間は2016年3月17日まで。

 

一方、JPMグローバル医療関連株式ファンドは、界の医療関連企業の株式に主として投資するファンドで、ファンドにおいて、医療関連企業とはグローバル・ヘルスケア・ファンドの運用担当者がそれに該当すると判断する企業の株式であり、たとえば、医薬品(製薬・ジェネリック等)、バイオテクノロジー、ヘルスケア・サービス、医療技術(医療機器・器具等)およびライフサイエンスにかかる業務を行なう企業の株式が含まれています。JPMグローバル医療関連株式ファンドの設定日は2013年7月26日、信託期間は2023年7月25日までです。

 

医療関連銘柄の動向

医療関連銘柄の動向を知るには、MSCI World Health Care IndexやS&P Global 1200 Health Careなどの世界の医療関連銘柄の動向を示す株価指数をチェックするとよいでしょう。米国のヘルスケア関連銘柄の動向については、ニューヨーク証券取引所が算出・公表しているNYSE Healthcare Indexが便利です。

医療関連ファンドの注意点

 医療関連ファンドに限らず、特定の業種に的を絞って投資するタイプのファンドにおいては、集中投資によるリスクがあります。株式市場では、特定の業種やテーマへの関心が高まり、その業種等が全体として大きく値上がりすることがあります。その場合には、その注目されている業種に的を絞って投資する業種別選択型ファンドは大きな成長を見込めますが、反対に、特定の業種やテーマの株式への売りが集中した場合には、ファンドも大きなダメージを受けることになります。
また、世界の医療関連銘柄に投資するタイプのファンドにおいては、ファンドの基準価額は外国為替相場の変動の影響を受けます。円高が進んだ場合には、株価が上昇していても為替差損の発生により基準価額が下落することもあります。