マネックス証券、「ART IN THE OFFICE 2015」受賞アーティストを選出


マネックス証券株式会社は、 社会文化活動の一環として毎年度実施している「ART IN THE OFFICE」プログラムを本年度も開催しており、 88点の応募作品案の中から、 マネックス証券のプレスルーム(会議室)壁面の展示作品を制作する「ART IN THE OFFICE 2015」受賞アーティストとして蓮沼昌宏氏を選出した。 なお、 「ART IN THE OFFICE」プログラムは2008年にマネックス証券の持株会社であるマネックスグループ株式会社が開始したもので、 2010年よりマネックス証券主催で開催しているもの。また、 本年度は僅差で次点となった田中奈津子氏に対し審査員特別賞を贈った。

 

審査員一同(左より:塩見氏、 森川氏、 長瀬氏、 住友氏、 松本氏)と選出された作品案(中央 長瀬氏が掲示)

審査員一同(左より:塩見氏、 森川氏、 長瀬氏、 住友氏、 松本氏)と選出された作品案(中央 長瀬氏が掲示)

■「ART IN THE OFFICE」プログラム

1. 概要および目的

本プログラムは、 現代アートの分野で活動する新進アーティストの支援を目的として、 NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]の運営協力を得て、 マネックス証券が企画・主催している。 公募により選出された1名(1組)のアーティストに対し、 社内のプレスルーム(会議室)を応募作品の発表の場として約1年間提供する。 選出されたアーティストには30万円の賞金および10万円の制作費が支払われる。 また、 本プログラムによる作品は、 マネックスグループ株式会社のアニュアルレポートなどに掲載される予定。

2. 募集内容

対象:現代アートの分野で活動するアーティスト
作品:プレスルーム(会議室)の壁に展示する平面作品案(油彩、 水彩、 写真など)
募集期間:2015年2月13日(金)~2015年4月7日(火)(終了)

3. 審査員(50音順、 敬称略)

塩見 有子 (しおみゆうこ)   NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長
住友 文彦 (すみともふみひこ) キュレーター
長瀬 夕子 (ながせゆうこ)   小山登美夫ギャラリー ディレクター
松本 大  (まつもとおおき)  マネックス証券代表取締役社長CEO
森川 亮  (もりかわあきら)  C Channel株式会社 代表取締役

 

「ART IN THE OFFICE 2015」受賞アーティスト

1. 蓮沼昌宏(はすぬままさひろ)氏プロフィール

1981年東京都生まれ、 千葉県育ち。 美術作家。 2010年東京芸術大学大学院博士課程修了。 絵画やアニメーション、 写真を表現手段とし、 物語やイメージの自律性、 夢の不思議さへの関心を作品化している。 これまで越後妻有里山現代美術館[キナーレ] 2014夏企画展「全ての場所が世界の真ん中-1/100,000の妻有」展(新潟県)、 「原始感覚美術祭2014」(長野県)等に参加。 2015年7月新潟県で開催される「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」に出展予定。

2. 応募作品案
タイトル:「新しい昔話」

展示作品イメージ

展示作品イメージは、 蓮沼氏の完成作品のイメージとして掲載するもの。 受賞作品は2015年6月以降に制作予定。

蓮沼 昌宏氏コメントおよび作品コンセプト

のべつまくなしに、 あちらこちらに興味を抱いていた二十代が嘘のように、 今やほとんどのことに関心を持たなくなりました。 しかし、 ただ一つ、 必要性を感じているのが「物語」であり、 物語をつくりたいと思っています。 それを表すのは小説ではなく、 絵を描くための“よすが”としての、 物語づくりです。 今回の制作では、 小笠原諸島に産まれつつある新島と、 気流にのってそこへ入り込んでしまったアリさん、 という話を入口にしています。 物語の続きは、 マネックスの社員との対話を通して、 そして絵筆を通して、 つくられていきます。 僕にとってはもちろん、 プレスルームを訪れる方々にとっても縁のある表現を目指して。
この機会を嬉しく思います。

 

3. 審査員コメント(50音順、 敬称略)

塩見 有子(NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT/エイト]理事長)
今年の審査会では、 提案作品の内容やアプローチ、 素材、 技法に広がりがみられ、 積極的な議論が繰り広げられました。 作家活動を始めたばかりの方から、 すでに展覧会での発表経験の豊富な方までが応募してくれたのもその理由のひとつかもしれません。
実は、 絵画作品1点での受賞はこれが初めてではないでしょうか。 作品は、 社員の方を招いての物語作りから始まり、 完成をみるということなので、 そうした意味でもマネックスにしかない特別な作品になることを期待します。 また、 過去に数回応募した上での受賞と聞いています。 アワードとは、 ART IN THE OFFICEに限らず、 作家にとっては長い活動の通過点でしかないと思いますが、 さらなるステップアップにつながれば嬉しく思います。

住友 文彦(キュレーター)

かなりの接戦で最後まで誰が選ばれるかなかなかみえない展開だった。 ひとつだけ選ぶ審査ではよくあるが、 それだけ真剣な議論が交わされたのではないだろうか。 そのプロセスも含めて楽しませていただいた。
受賞作家については彼のキャリアを考えると、 このタイミングでの受賞は良い後押しになるように思う。 現場で起きるコミュニケーションによって作品が作られるので、 実際どのような作品ができるか、 なにが起きるかわからない。 そうしたプランが採用されたことにも意味があるのではないか。 完成作品を楽しみにしている。

長瀬 夕子(小山登美夫ギャラリー ディレクター)

初めて公募の審査に参加させていただいたがとても楽しかった。 応募者がアーティストという以前に、 本当に多種多様な提案があったのが面白かった。
受賞作品は、 マネックスが求めている、 「アーティストが社員とともに作品を作っていく」という点を評価した。 また、 この公募のテーマがART IN THE OFFICEなので、 イラストやインテリアデザイン的なものではなく、 これまでの受賞作とは違ったアプローチや表現を行っていると思える作品、 というのが審査のポイントとなった。

松本 大(マネックス証券代表取締役社長CEO)

ART IN THE OFFICEも今年で8回目。 毎回、 審査を進めるうちにだんだんとおもしろくなってきます。 他の審査員の方の視点から気づく点も大変多く、 審査の過程自体が実におもしろい。 今までの受賞作品はある程度できあがりのイメージが湧くものが多かったのですが、 今回の受賞作品は構成も色もまだ見当がつきません。 少し冒険をしてみました。 「未来の金融を創る」という理念を持つマネックス証券も海路のない冒険をしているようなもの。 作品の持つコンセプトとマネックス証券のビジョンの重なり。 今回の作品は私たちをどこに連れて行ってくれるのか、 完成を期待して待ちたいと思います。

森川 亮(C Channel株式会社 代表取締役)

これまでも企業イベント等での選考にかかわることも多く審査には慣れていましたが、 アート系の審査を行うのは初めての経験でした。 徐々に候補が絞りこまれていくと審査員によっての見解が偏ることがありますが、 様々な視点からの意見を聞くことができ、 難しくもあり楽しくもありました。
今回選ばれた作品は、 これまでの受賞作品よりもオーソドックスにアートという面で真正面からぶつかっている作品だと思います。 マネックス証券の社員にこれまで以上にエネルギーを与える作品になるのではないかと楽しみです。