ロンバー・オディエ、 2021年個人の富裕層を対象にした調査結果を公表


ロンバー・オディエは、 2021年個人の富裕層を対象にした調査の結果を2021年12月15日に公表した。同調査は、 富裕層が足元のパンデミック(世界的大流行)環境において、 どのように周囲の状況をとらえているのか、 新型コロナウイルス感染症が彼ら自身の生活、 家族、 そしてビジネスにどのような影響を与えたのか、 コロナ禍後の将来をどのようにみているかについての理解を深めるために実施された。

ロンバー・オディエによると、アジア太平洋地域(APAC)の富裕層 [1] (HNW)の投資家は、 投資、 持続可能性、 家族問題に関して、 警戒感を強めており、 個々の市場を乗り切れるように、 プライ ベート・バンクの助言と専門知識を一層頼りにしている。

[1]ここでは、 アジア太平洋地域に居住し、 100万米ドル以上の投資可能資産を保有する投資家と定義している。

同調査は、 ロンバー・オディエが2020年に実施した超富裕層を対象とした調査に続く追跡調査[2] であり、 ロンバー・オディエはアジア太平洋地域内のウェルスマネジメントの展望を方向づける名家や起業家から得られた洞察を提供したいと考えている。

[2]2020年において、 ロンバー・オディエは、 香港、 インドネシア、 日本、 シンガポール、 フィリピン、 台湾、 タイの 150名以上の超富裕層を対象に調査を実施した。 その調査結果については、 2020年度超富裕層に対する調査ホワイトペーパーに公表している。

調査では、 シンガポール、 香港、 日本、 タイ、 フィリピン、 インドネシア、 台湾、 オーストラリアに居住する620名の富裕層にインタビューし、 アジア太平洋地域 におけるロンバー・オディエの戦略的提携先や緊密なパートナーのネットワークを活用して、 追跡調査を実施した。

調査結果は、 (i)投資とグローバル経済、 (ii)持続可能性、 (iii)家族問題の3本の柱で構成されており、 投資家がコロナ禍後の地域の再構築をどのように見ているか、 主な懸念事項は何か、 そして彼らの投資の意思決定の際のマクロ経済の重要性と影響について示されている。

ロンバー・オディエのアジア太平洋地域リミテッド・パートナー兼アジア最高経営責任者 ヴィンセント・マニエナ氏は、 次のように述べている。

不透明な状況が続くニューノーマル(新常態)において前に進まざるを得ない状況の下、 富裕層は、 激動の環境を乗り切るために、 金融機関の専門知識を非常に頼りにしていることが、 今回の調査で明らかになりました。 分散は、 ボラティリティの高まりをみせる環境下で極めて重要であります。 投資家は、 質の高い助言に加え、 自国にいながらアクセスできるグローバルなサービスを模索しています。 ロンバー・オディエは、 投資家が今後も自国で馴染みのある評判の高い金融機関と戦略的提携を行い、 プライベート・バンキング・サービスとグローバルな投資運用機会を利用していただくことで、 さまざまな市場においてお客様のニーズを満たせるように支援していきます。

ロンバー・オディエの日本のプライベート・バンキング部門責任者であるシーマ・バヤット氏は次のように述べている。

日本では、 洗練された成熟した投資家が対象で、 積極的に顧客と関わり、 彼らの声に耳を傾け、 ニーズに応えることが不可欠であると考えています。 今回の調査からわかったことは、 日本の投資家のポートフォリオに対する長期的な姿勢です。 変動の激しい時代を乗り切るために強固なバランスシートと資本を備えた金融機関や、 投資一任運用による質の高い運用戦略の提供を求めていることです。

また、 日本の富裕層は、 とりわけ個々の市場において、 金融機関に助言を求める傾向が強まっています。 ロンバー・オディエは、 7代続くファミリー企業として確固たる実績を誇り、 Bコープの認証を受けております。 日本の富裕層のニーズに沿った適切な助言と専門知識に基づいた、 事業承継や持続可能性に重点を置いた投資を含む全体的なサービスを提供し、 不確実性を乗り越えることを支援していきます。

以下は同調査の一部として、 アジア太平洋地域 の富裕層から得られた洞察の抜粋。

i. 投資とグローバル経済

  • 各国のパンデミック危機管理の大きな違いにより、 市場の乖離が生じました。 オーストラリア、 香港、 シンガポールでは、 「世界はローカル化が進み、 グローバル化が後退」との見方が大勢を占めていますが、 調査対象のその他市場ではグローバル経済に対する信頼に変わりありません。 ボラティリティが高まり格差が広がる状況の中で、 各国の現地投資家が 保有ポートフォリオをグローバルに分散できるかは極めて重要です。
  • 回答者が居住する国とその他の国で、 市場間格差が生じたことにより、 金融機関が顧客のニーズを十分に理解して対応することの重要性が高まっています。 日本のような市場では、 投資家が大きなリスクを取ることに保守的ですが、 タイ やフィリピンなどの市場では投資家は保有ポートフォリオの調整に積極的になっています。 それぞれ見解とリスク選好度は異なりますが、 投資家が投資したいと考えている点に留意することが重要です。
  • 回答者が居住するほぼすべての市場は、 インフレ率の上昇を懸念しています。 回答者の 61%は、 今後、 インフレ率が上昇する環境になると考えており、 今後も低金利が長期的に維持されると考える回答者は少数でした(2021年は56%と前年の78%から低下)。 金融機関には、 金利とインフレ率の正常化に向かいそうな環境への移行と、 それに応じたポートフォリオの調整の両方に対し、 投資家を支援するという明確な責任があります。
  • 富裕層のかなりの割合(44%)は、 株式相場は過熱しており、 調整が生じる と予想しており、 市場が上昇を続けると考えている人は平均で31%にとどまりました。 株式市場の調整について最も懸念しているのはシンガポールとタイの投資家であり、 それぞれ52%を占めています。 同様の懸念においては、 インドネシアの投資家は20%にとどまっています。
  • 富裕層の10名中2名は、 喪失感を感じており、 困難な時期への対応において多くの助言があれば助かると指摘しています。 こうした状況下で、 当調査からは、 投資家の警戒感の高まりが浮き彫りになっており、 投資家の間では、 道標として金融機関の助言と専門知識を頼りにしながら、 ポートフォリオ運用を委託したい気持ちが高まっています。 投資家の間では明確なコンセンサスが得られず、 慎重になっていることから、 金融機関の役割には、 投資家が国内市場以外に分散投資するように導くことも含まれており、 特に回答者の大半がポートフォリオの再調整を意図していることが分かりました。
  • 保有ポートフォリオの流動性を変更予定である回答者は、 18~24歳が55%に達し、 35~50歳は48%、 51~70歳は42%、 70歳超は23%となりました。 これは、 若い層の投資家は、 保有ポートフォリオの変更に意欲的である ことを示しています。 したがって、 金融機関は、 次世代の富裕層とも積極的に対話を行っていく必要があり、 こうした層は保有ポートフォリオの見直しの際の助言拡大を求めています。

ii. サステナビリティ(持続可能性)

  • 持続可能性に関する認識は、 単なる「価値ある大義」から正当な投資機会に変化しつつあります。 回答者の59%は、 「持続可能性は高いリターンを生む」と考えており、 この比率は前年の54%から上昇しました。 その結果、 回答者の40%はコロナ禍が始まって以来、 ポートフォリオにおける持続可能性の要因の割合を既に引き上げています(前年の34%から上昇)。 まだ行動していない投資家の51%も、 その割合を引き上げる予定です(前年は44%)。
  • アジアの投資家は、 前年以上に持続可能性に対して行動を起こしており、 この傾向は今後も続くでしょう。 投資家は既に、 新型コロナウイルス感染症によりトレンドが加速した、 企業の環境、 社会、 企業統治(ESG)スコアなどを通じて企業の環境フットプリント(製品や企業活動が環境に与えている負荷を評価するための指標)、 ポリシー、 慣習を精査し始めました。 回答者の72%は現在、 気候変動への対応が加速すると予想 しており、 この比率は前年の52%から上昇しました。
  • とはいえ、 確信度と行動には依然としてギャップがあります。 回答者の60%は、 保有ポートフォリオにおいて持続可能性の要素の割合を積極的に引き上げていないと回答し、 49%はその予定はない、 または引き上げるかわからないと回答しました。 こうしたギャップは、 金融機関にとって、 投資家教育、 助言の提供、 行動の促進に向けて案内する機会でもあり責任でもあります。
  • 金融機関は、 ネットゼロに向けた競争において、 顧客とともに極めて重要な役割を果たしています。 金融機関は、 持続可能性を重視したあらゆる投資機会を提供し、 ポートフォリオを調整する必要性をまだあまり確信していない顧客に対してその案内を行っています。 投資家間では、 金融機関は持続可能なポートフォリオの構築、 実施、 モニタリングを支援し、 ESGやその他の持続可能性に関する指標を提供する責任があるというのが共通認識です。
  • 当調査では、 性別と年齢層で見解が異なることが明らかになりました。 女性の方が男性よりも、 持続可能性を考慮に入れると優れたリターンが生じる可能性がある、 と強く確信しています(女性68%、 男性54%)。 同様に、 年齢と持続可能性への関心度には強い相関関係があります。 持続可能性を支持し、 その原則を適用する必要性を最も確信しているのは18~34歳の年齢層でありそれに続くのが35~50歳の年齢層です。

 

iii. 家族問題

  • 8市場における回答者の60%は、 コロナ禍が家族に関する問題を再考するきっかけになったと述べ、 そのうちの半分はまだ行動に移していないと回答しました。 家族問題については、 金融機関が顧客に対し更に積極的に情報を提供することが不可欠です。 金融機関はアジア太平洋地域の投資家が適切なソリューションを見つけられるように、 現地で培った専門知識を活用し、 投資家に知識を与えながら彼らをサポートする必要があることを示唆しています。
  • コロナ禍が始まって以降、 移住した投資家は多くありませんが、 検討中の投資家は「大勢」存在し、 シンガポールの回答者の40%、 タイの回答者の34%、 フィリピンの回答者の32%が該当しました。 顧客の所在地に関係なく、 本国から顧客への助言を続けることができる金融機関は、 国内専門の金融機関と比較して、 競争上かなり有利になります。 金融機関は、 顧客の選択肢や行動のタイミングにおいて安心感を与える重要な役割を果たしています。

 

2021年富裕層(HNWs)を対象とした調査白書→https://asia.lombardodier.com/en/home/private-clients/uhnw/high-net-worth-study.html

 

【ロンバー・オディエについて】

ロンバー・オディエは世界でトップクラスの、 富裕層および機関投資家向けの資産運用・管理サービスを提供する金融機関。 225年にわたり、 40回以上の金融危機を経験するなかで、 ロンバー・オディエ・グループは、 革新的でかつ慎重に、 個人および機関投資家の顧客に長期的な利益となるようサービスを提供してきた。 グループは、 マネージング・パートナーにのみ保有されており、 強靭で、 流動性に富み、 それでいて保守的な財務状況を保持しており、 ティア1比率は29.7%、 フィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得している。

ロンバー・オディエは事業・資産承継、 投資一任、 投資助言およびカストディ等のさまざまなウェルスマネジメント・サービスを提供しており、 機関投資家向けの資産運用は、 ロンバー・オディエ・アセット・マネージャーズ(LOIM)から提供されている。 グループは金融機関として最先端のシステムを構築しており、 スイスや欧州のプライベートバンクや金融機関も利用している。

グループ全体の預り資産は2021年6月30日現在、 3520億スイスフランです。 1796年以来、 ジュネーブに本社をおき、 昨年12月末現在、 グルーブは24の国および地域において30の事務所を構えており、 従業員は2,560人。