フルインベストメント #
投資信託の目論見書のファンドの特色などに「フルインベストメント」を基本とします、という記載がされていることがあります。これは、組入比率を高位に維持することを意味しています。ファンドの資産(資金)をフル(full)に投資する。つまり、現金で持っていないで(現金比率をできるだけ抑え)、ファンド資産の100%近くまで証券を組み入れるということです。
なぜフルインベストメントするのか #
ファンドがフルインベストメントをするのは、投資可能な資金をできる限りフルインベストメントに近く投資対象に投資した方が、効率的な投資ができるからです。もし、100億円の資金を持つファンドがそのうち70億円しか運用していなければ、残りの30億円は現金として保有されていることになり、30億円はマネーマーケットなどから得られるわずかな金利収入しか期待できないことになります。ただし、現金比率が0%ということはありません。それは、ファンドは常に設定(購入)と解約(売却)があるためです。
フルインベストメントしていないケース #
株式投資信託において、株式の組入に制限を設定していないファンドなどの場合は、通常100%近くまで株式を組み入れています。もし、フルインベストメントを基本にしているファンドなのに、組入比率が70%や80%程度と低い場合には、何か理由があってそういう状態にしてあると考えられます。
その理由で最も一般に考えられるのが、ファンドの解約が多く、解約に対応するために組入証券を売却して現金で保有している場合です。急激な解約の増加には理由があるはずです。自分が保有するファンドの現金比率が増えている場合には、理由を確認してみましょう。
また、投資している市場に突発的な暴落が起きた場合など、一部のファンドでは、現金比率を増やして、状況が見極められるまで現金を保有し、状況が落ち着き、見通しがクリアになった段階で、現金を再び投資に回すといった機動的な行動をとることもあります。
フルインベストメントのまとめ #
「フルインベストメント」とは、ファンド資産を可能な限り投資対象に充て、現金比率を低く抑える運用方針のことです。この方法は資金効率を高めるために採用されますが、解約対応や市場の急変時には一時的に現金比率が高まる場合があります。ファンドの運用状況や現金比率が大きく変化した場合は、その背景を確認することが重要です。