IFA法人は、特定の銀行や保険会社などの金融機関に属さず、独立した立場から顧客に対して財務アドバイスを提供し、投資信託などの金融商品の説明とその販売仲介を行う法人のことです。特定の金融機関や金融商品に縛られず、顧客に対して広範な資産運用などに関する助言を提供します。
IFAは「Independent Financial Adviser」の略称です。日本語に直訳すると独立した金融アドバイザーとなりますが、法律上は「金融商品仲介業者」といいます。金融商品仲介業者は、金融商品取引法に基づいて設立された法人(IFA法人)だけでなく、金融商品仲介業を行う個人も含まれます。
金融商品取引法では、「金融商品仲介業」とは、金融商品取引業者又は登録金融機関の委託を受けて、有価証券の売買の媒介、市場デリバティブ取引又は外国市場デリバティブ取引の媒介、有価証券の募集若しくは売出しの取扱い、投資顧問契約又は投資一任契約の締結の媒介などを業として行うことと定義されています。証券会社のような有価証券の売買を行うことはできません。
IFA法人は、金融アドバイス業務の専門家集団であり、顧客の資産形成や運用、リスク管理に関する総合的なサポートを提供します。そのために、IFA法人には、FP資格、証券取引などの勧誘等の行為を行うために必要な外務員資格、保険に関する様々な資格などを保有するIFAが所属しています。
金融商品取引業者は金融庁(内閣総理大臣)への登録が必要で、2023年12月末日現在、679のIFA法人・IFA(個人)が金融商品仲介業者として金融庁に登録されています。
金融庁 金融商品仲介業者の一覧 →https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/chuukai.pdf
IFA法人の特徴 #
IFA法人には以下の特徴があります:
独立性・・・IFA法人は、金融機関や特定の金融商品の提供会社に属さず、独立して運営されています。そのため、顧客の利益を最優先に考えた客観的な助言が可能であると考えられています。
幅広い商品選択・・・IFA法人は様々な金融商品から顧客にとって最適なものを選択し、提案することができます。これにより、顧客のニーズや運用目標に合った多様な金融ソリューションを提供することができます。
カスタマイズされたアドバイス・・・顧客の個々の財務状況、リスク許容度、投資目標に基づいたパーソナライズされた助言を提供します。
透明性・・・IFA法人は手数料構造や報酬に関して透明性を持っており、利益相反の可能性を最小限に抑えられています。IFA法人の料金体系は、株式や投資信託の売買ごとに手数料を支払うコミッション・ベースから顧客から預かった資産の残高に応じて毎年一定額の手数料を徴収するフィー・ベースに移行しつつあります。これにより、顧客の利益を最優先に考えたアドバイスを提供することが期待されています。
総合的な財務計画・・・IFA法人は、投資だけでなく、退職計画、税務計画、相続計画など、顧客の総合的な財務状況を考慮した計画を提供します。
これらの特徴により、IFA法人は個人や企業が複雑な金融市場において最適な決定を下すための信頼できるパートナーとなり得ます。ただし、IFA法人を選ぶ際は、その資質、経験、提供するサービスの範囲などを慎重に検討することが重要です。
IFA法人の業務 #
具体的には、IFA法人(金融商品仲介業者)の業務には以下のようなものがあります。
- 資産運用についての助言:顧客に対して資産運用に関する助言を提供します。IFA(法人)は、顧客の投資目標やリスク許容度を考慮し、適切な金融商品やポートフォリオの構築に関する助言を行います。不動産運用、保険、相続などの相談に対応しているIFA法人もあります。
- 金融商品の売買仲介:顧客の要望に基づいて株式、債券、投資信託などの金融商品の売買を仲介します。IFA法人(金融商品仲介業者)が顧客から直接売買代金を受け取ったり、株式などの有価証券の受け渡しを行ったりすることはありません。口座の管理や有価証券の受け渡しは証券会社と顧客の間で行うことになります。
- 市場情報の提供:市場の最新情報やトレンド、経済指標、企業の業績、金融商品の動向などの情報を収集し、顧客に対して様々な情報を提供します。
- 法的・規制上のサポート:金融商品取引に関する法的・規制上の要件についても顧客をサポートします。IFA法人は適切な手続きや規制の遵守に関する助言を提供し、顧客の取引が法的に正当であることを確保します。
上記の業務を遂行する上で、金融商品仲介業者は顧客の利益を最優先に考えなければならず、適切な説明と助言を提供する責任があります。また、金融商品の取引にはリスクが伴いますので、顧客に対して適切なリスク説明も行う責任もあります。
IFAへの相談の仕組み #
IFA法人は証券会社や銀行などの金融機関と業務委託契約を締結しています。顧客は、IFA法人に所属するIFA(又は、個人のIFA事業者)に資産運用等に関する相談をし、IFAは顧客に対して助言を提供します。助言に則って投資信託、株式、債券などの金融商品を購入する際には、顧客は、IFA法人が業務委託契約を締結している証券会社などの金融機関に口座を開設し、そこに資金を預け入れ、その口座においてIFAのアドバイスに基づいた金融商品を購入します。
顧客の口座管理は、証券会社などの金融機関が行うので、万一IFA法人が倒産しても、顧客の資産は守られます。なお、IFA(法人)は、複数の金融機関と業務委託契約を締結することが可能です。一方の金融機関も複数のIFA法人と業務委託契約を締結しています。
IFAの探し方 #
IFAに相談したい場合、信頼のおける人からの紹介が最適かもしれませんが、オンラインでIFAを検索できるサイトを利用する、あるいは証券会社経由でIFAを紹介してもらうという方法もあります。また、IFA法人では、各種セミナーを開催しているので、個別の相談をする前にセミナーに参加してみるとよいでしょう。
- IFAを検索できるサイトを利用する
IFAナビ(https://www.a-ifa.jp)は株式会社想研が提供するオンラインサービスで、全国のIFA企業から、条件に合う相談窓口を検索できます。地域、相談内容、キーワードなどを入力すると、条件に合ったIFAが表示される仕組みです。IFAについて、簡単な会社案内、提携証券会社、取扱分野が記載されています。
わたしのIFAhttps://adviser-navi.co.jp/watashi-ifa/は、アドバイザーナビ株式会社が提供する投資家とIFAのマッチングサイト。地域と相談分野を選択することで、該当するIFAのリストが表示され、IFAのプロフィールを確認できたり、年齢と地域や相談内容、相談方法などを選択すると、適したIFAを紹介したりするサービスを提供しています。
日本IFA協会(https://ja-ifa.org/ifa_member/)は、IFAの業界団体で、サイト上で、地域や相談分野等を入力することでIFAを検索できるサービスを準備しています。
- 証券会社経由で探す
証券会社では、自社が業務委託契約を締結しているIFAを紹介するサービスを提供しているところがあります。例えば、楽天証券では、問い合わせを行うと、楽天証券が顧客からヒアリングを行い、顧客のニーズなどを把握した上で、希望に合うIFAを紹介し、顧客はIFAと面談します。面談の結果として、紹介されたIFAとの契約を希望する場合は、IFAと契約することになります。
- IFA主催のセミナーに参加してみる
IFAの多くが資産形成、NISA、投資信託などをテーマにしたセミナーを開催しています。これらのセミナーにいくつか参加して、信頼できるIFA法人をじっくり探すのも一つの手段です。
IFA法人(金融商品仲介業者)の禁止事項 #
IFA法人(金融商品仲介業者)は金融市場の健全性と公正性を保ち、投資者を保護するために、顧客に対して誠実かつ公正に、その業務を遂行しなければならないと法律で定められています。また、法律により次の行為が禁止されています。
- 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
- 顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
- 顧客に対し、信用格付業者以外の信用格付業を行う者の付与した信用格付について、当該信用格付を付与した者が内閣総理大臣の登録を受けていない者である旨及び当該登録の意義等を告げることなく提供して、金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
- 投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定める金融商品取引契約について、金融商品取引契約の締結の勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問し又は電話をかけて、金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為
- 投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定める金融商品取引契約について、金融商品取引契約の締結の勧誘に先立つて、顧客に対し、その勧誘を受ける意思の有無を確認することをしないで勧誘をする行為
- 投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定める金融商品取引契約について、金融商品取引契約の締結の勧誘を受けた顧客が当該金融商品取引契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続する行為
- 自己又は第三者の利益を図る目的をもつて、特定金融指標算出者に対し、特定金融指標の算出に関し、正当な根拠を有しない算出基礎情報を提供する行為
- 投資助言業務を行う場合にはその投資助言業務に係る助言に基づいて顧客が行う有価証券の売買その他の取引等又は投資運用業を行う場合には当該投資運用業に係る運用として行う有価証券の売買その他の取引等に関する情報を利用してこれらの顧客以外の顧客に対して勧誘する行為
- 金融商品仲介業以外の業務を行う場合にはその業務により知り得た有価証券の発行者に関する情報を利用して勧誘する行為
- 金銭の貸付けその他信用の供与をすることを条件として勧誘する行為
- 金融商品仲介業により知り得た金融商品仲介業に係る顧客の有価証券の売買その他の取引等に係る注文の動向その他特別の情報を利用して、自己の計算において有価証券の売買その他の取引等を行う行為
- このほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品仲介業の信用を失墜させるものとして政令で定める行為