インフレリスク とは #
インフレ(=インフレーション)とは、継続的に物価上昇がおこり、お金(貨幣)のものを購入する力(購買力)が低下する現象のことです。そして、物価上昇率(インフレ率)が高くなり、金融商品などの利率を上回ると、この金融商品に投資した人は、実質的な損失を被ることになります。このような損失のリスクをインフレリスクといいます。
インフレリスクの考え方 #
たとえば、期間1年、2%の利回りが保証された金融商品に100万円投資したとします。このとき、1年後には、確実に102万円を得ることができます。ただし、この1年のインフレ率が5%だったとしましょう。
その場合、1年前100万円で買えたものの値段は、現時点において、105万円になってしまっています。
ということは、1年前、100万円を使えば買えたはずの「もの」は、現在、2%でしっかりと運用した結果の102万円で購入しようとしても、105万円に値上がりしてしまっていますから、買うことができません。
つまり、実質的には、運用した結果、損をしてしまっていることになります。 これが、インフレによって被る「実質的な損失」の意味するところです。
したがって、例えば、固定利率が予め決められている定期預金などは、価格変動のリスクは小さいものの、インフレリスクに弱い商品であるということができます。
世界のインフレ率 #
日本を含む先進国では物価が安定し、低金利が継続していますが、世界を見回すとインフレリスクに苦しんでいる国が多く見られます。次のチャートは、2022年1月と2024年4月のインフレ率を比較したものです。英国や米国ではインフレ率が低下している一方で、日本ではインフレ率が上昇しています。
(データ出所:Statista)
インフレリスクに弱い金融商品 #
インフレリスクに特に弱い商品として、定期預金や固定利率の債券などが挙げられます。これらの商品は元本や利回りが確定しており、価格変動リスクが小さい一方で、物価の急上昇(インフレ)には対応できません。そのため、インフレ率が想定以上に高くなると、運用成果が実質的に目減りしてしまいます。
インフレリスクへの対応策
インフレリスクを回避または軽減するためには、次のような対応策が考えられます:
- インフレ連動債の活用
インフレ連動債(物価連動国債など)は物価指数に応じて元本や利息が調整されるため、インフレリスクに強い商品です。 - 実物資産への投資
不動産や金などの実物資産は、インフレ時に価値が上昇する傾向があり、リスクヘッジとして有効です。 - 分散投資の実施
株式や不動産など、インフレに強い資産を含めたポートフォリオを構築することで、リスクを分散させます。 - 物価上昇に対応する運用戦略の採用
インフレを見越した商品(インフレ連動型ETFなど)や運用戦略を活用することも検討できます。
インフレリスクのまとめ #
インフレリスクは、物価の上昇によりお金の購買力が低下することで、金融資産の実質価値が損なわれるリスクです。特に固定利率商品に影響が大きく、物価変動が激しい環境下では慎重な資産運用が求められます。インフレリスクを軽減するためには、インフレ連動型商品や分散投資などを活用し、変化する経済環境に対応することが重要です。