「インデックスファンドには、マーケットリスクしかない」と言われますが、これは、どういう意味なのか考えてみましょう。
前提 #
前提として、金融商品のリスクについては、唯一絶対の分類方法があるわけではありません。したがって、上記の「マーケットリスク」も、あくまでも、ある観点からのリスクの捉え方であり、他の見方では、複数のリスクがあると理解することも可能です。
それを踏まえた上で、では、ここで言う「インデックスファンドには、マーケットリスクしかない。」とは具体的にどのようなことを意味し、それ以外のどんなリスクが「ない」と言っているのでしょう。
マーケットリスクとは #
マーケットリスクとは、一言でいうと「市場全体のリスク」ということです。
逆に、「個別の銘柄」「個別のセクター(業種)」のリスクや、ファンドマネージャーの銘柄選択の巧拙といったリスクは、インデックスファンドにはありません。
具体的な例を挙げると、株式市場全体を表すようなインデックスに投資をしていた場合、A自動車の株価が上昇し、同規模のライバルB自動車の株価が下落したとすると、他の条件が変わらなければ、ファンドは、どちらも少しずつ保有しているので、値上がりと値下がりが相殺されて、大きく値動きをすることはありません。
また、自動車セクターが大きく値上がりして、電器セクターが大きく値下がりした場合も、同様に、前者の値上がりと後者の値下がりが相殺されます。
一方、ファンドマネージャーが銘柄を選ぶアクティブファンドでは、A自動車だけに投資をするケースも、B自動車だけに投資をするケースも考えられます。
この場合、そのどちらになるかで、大きな利益を得る可能性も、大きな損失を被る可能性もあり、これが、インデックスファンドにはない、アクティブファンドのリスクです。(リスク=損失ではないので、結果的にそのリスクをとることがリターンとして報いられることもあります。)
学校のテストに例えるならば、特定の誰かが良い成績をとることを当てようとするのではなく、あくまでも、『クラスの平均点』が上昇するときにのみ、それに応じた投資成果を得ようとするのがインデックスファンドです。
この場合の「クラスの平均点の変動リスク」のことが、「マーケットリスク」と呼ばれるものなのです。
まとめ #
「インデックスファンドにはマーケットリスクしかない」とは、インデックスファンドが市場全体の動きに連動するため、個別銘柄や特定業種のリスク、ファンドマネージャーの選択の巧拙によるリスクが存在しないことを意味します。市場全体のリスク(マーケットリスク)だけを受ける一方、個別要因によるリターンや損失は限定され、安定的な運用が期待できます。この特徴により、インデックスファンドは市場全体の成長を享受するシンプルな投資手法として選ばれることが多いです。