短期金融商品 #
投資信託の投資対象の一つに短期金融商品があります。
マネープールファンドやマネー・マネージメント・ファンド(2019年末現在残高ゼロ)などが短期金融商品を主な投資対象としており、その他の投資信託でも、株式や債券を購入するまでの間、一時的に資金を短期金融商品で運用したり、投資家からの解約に備えてある程度の資金を短期金融商品で保有したりします。
では、短期金融商品とはどのようなものでしょうか。
短期金融商品とは #
短期金融商品は、短期金融市場で取引される金融商品のことです。
短期金融市場は、主に銀行や金融機関などの間で短期的(一時的)な資金の貸し借りが行われる市場です。資金が余っている銀行が市場にお金を出し、資金が足りない銀行がお金を借り受けます。また、日本銀行による金融調節も短期金融市場で行われます。なお、短期金融市場には、金融機関だけが参加するインターバンク市場と一般企業も参加できるオープン市場があります。
短期金融市場の「短期」とは1年未満のことです。金融の世界では、短期というと、通常は1年未満の期間を指します。短期金融市場で取引される商品は満期までの期間が最長で1年、最短で翌日と短く、流動性が非常に高く、取引相手は金融機関か大手法人であるため、リスクの低い投資対象であると位置づけられています。
短期金融商品の種類 #
投資信託が投資対象とする短期金融商品にはコールローン、国庫短期証券、CPなどがあります。
コールローン #
コール市場は銀行を中心に金融機関同士が資金を貸借する市場です。ここで貸借される資金をコール・マネー(call money)と呼びます。コール・ローンは、コール市場において、資金の供給者(出し手)の側からみた資金のことを言います。投資信託の運用会社(委託会社)は、コール市場において主に資金の出し手として市場に参加することで資金を運用しています。
コール市場の残高を資金の出し手の業態別に見ると、2020年2月末現在の残高が全体で約11.5兆円であるのに対して、投資信託はこのうち約6割を占めています。コール市場の資金の出し手として投資信託が大きな役割を果たしていることがわかります。
投資信託は、解約に備えた資金の運用や、投資家から預けいれられた資金を株式や債券などの投資に回す前の一時的な資金の運用手段としてコール市場を利用しています。
資料(日本銀行金融市場局コール市場残高2020年2月)
国庫短期証券 #
国庫の資金不足の際、政府が一時的なつなぎ資金を調達するために発行する証券です。財務省証券、財政融資資金証券、外国為替資金証券、石油証券、原子力損害賠償支援証券、食糧証券などがあります。償還までの期間は2カ月、3カ月、6カ月、1年の4種類があります。Treasury Discount Bills=T-Billとも呼ばれています。財務省の「政府短期証券(FB)の概要」によると、2018年3月末現在の残高は約73.3兆円です。
コマーシャルペーパー(CP) #
企業が短期の資金を調達するために、オープン市場において割引形式で発行する無担保の約束手形です。
短資会社 #
短資会社は短期金融市場のインターバンク市場とオープン市場において商品の仲介等を専門に行う会社で、国内にはこの3社しかありません(2024年10月現在)。短期金融市場の動向についてはこれらの会社のHPなどで知ることができます。
短期金融商品のまとめ #
短期金融商品は、投資信託の効率的な資金運用や短期資金需要の調整に重要な役割を果たします。これらの商品は流動性が高く、金融機関や大手法人との取引が中心で、リスクが抑えられています。また、投資信託が短期金融市場の大きなプレーヤーであり、特にコール市場では資金の出し手として重要な地位を占めています。