「豪ドル債券ファンド」とは、オーストラリアドル(AUD、通称:豪ドル)建ての債券を主要な投資対象とする投資信託です。「豪ドル建て債券」とは、債券の発行、購入、利息支払い、償還がすべて豪ドル(AUD)で行われる債券を指します。これらの債券は、オーストラリアの政府、地方自治体、政府系機関、または民間企業などが発行します。豪ドル債券ファンドでは、主に利息収入(インカムゲイン)が期待されますが、金利の低下や発行体の信用改善により債券価格が上昇すれば、値上がり益(キャピタルゲイン)も得られる可能性があります。
豪ドル債券ファンドの特徴 #
項目 | 内容 |
---|---|
投資対象 | 豪ドル建ての債券(オーストラリア政府債、準政府機関債、金融機関債、社債など) |
通貨 | 豪ドル建て。為替ヘッジありとなしのファンドがある。 |
収益源 | 主に利息収入(インカムゲイン)を重視。金利が相対的に高めな豪ドルの魅力を活かす。 |
為替リスク | 為替ヘッジなしのファンドでは、円安ならプラス、円高ならマイナス影響 |
金利水準 | オーストラリアは資源国であり、比較的高金利通貨とされる傾向がある(ただし経済情勢次第) |
どんな債券に投資するの? #
主な投資対象となる豪ドル建て債券の例:
- オーストラリア政府が発行する国債
- 州政府や地方自治体が発行する地方債
- 銀行や企業が発行する社債
- 政府系機関債(例:住宅金融支援機関など)
どんな利益が期待できるのか? #
- 利息収入(インカムゲイン)
- 債券から定期的に支払われる「利息」がファンドの主な収益源です。
- オーストラリアは比較的金利が高いため、利回りが日本より高いことが多く、安定した利息収入が期待されます。 - 値上がり益(キャピタルゲイン)
- 金利の低下や発行体の信用力の向上により、債券価格が上昇することがあります。
- その価格上昇を利用して債券を売却すれば、売買差益(キャピタルゲイン)を得ることができます。 - 為替差益(為替ヘッジなしの場合)
- 豪ドルが円に対して上昇すれば、円換算したファンドの評価額が上昇し、為替差益が期待できます。
- ただし、円高になると逆に為替差損が生じる可能性もあるため注意が必要です。
豪ドル債券ファンドのメリット #
- 相対的に高い利回りが期待できる(豪州の金利水準が日本の金利より高いことが多いため)。
- 資産の通貨分散・地域分散につながる
- 日本の低金利環境下では、インカム収入の選択肢として人気
豪ドル債券ファンドのデメリット・注意点 #
- 為替リスク:円高になると基準価額が下がる可能性あり(為替ヘッジなしの場合)
- 金利変動リスク:オーストラリアの金利が変わると、債券価格が変動し、基準価額(ファンドの値段)も上下します
- 信用リスク:債券によっては発行体リスクも伴う
投資家が選ぶ際のポイント #
- 為替ヘッジの有無を確認
⇒ 為替リスクを避けたいなら「為替ヘッジあり」を選択 - 投資対象の債券の種類と格付けを見る
⇒ 高利回りだけでなく組入債券の信用力もチェック - 分配方針やコスト(信託報酬)を確認
⇒ 毎月分配型のファンドは元本取り崩しに注意が必要
オーストラリア債券の主な特徴 #
① 相対的に高い金利(利回り) #
- オーストラリアは先進国の中では金利水準が高めで、利回りが日本の国債よりも高い傾向にあります。
- 政策金利の動向により上下しますが、インフレ抑制のために高金利政策を採る傾向があります。

(2025年5月8日現在、出所:bloomberg)
② 通貨:豪ドル建ての債券 #
- オーストラリアの債券は通常、豪ドル(AUD)建てです。
- 豪ドルは「資源国通貨」とも呼ばれ、資源価格(特に鉄鉱石・石炭)と連動しやすい傾向があります。
- 日本円との為替差益/差損が発生するため、為替リスクを伴います。
③ 信用力が高い #
- オーストラリア国債はAAA格付けを取得しており、先進国の中でも高い信用力を持つため、信用リスクは相対的に低いと考えられます。2025年2月末現在、S&Pの格付けはAAAと高水準です。そのため、国債の信用リスクは低めと考えられています。
④ 種類が豊富 #
- 発行主体:オーストラリア連邦政府(国債)、州政府、政府系機関、民間企業など
- 満期:2年債〜10年超まで多様
- 形式:固定金利債、変動金利債(フローティング債)、割引債など
豪ドル債券への投資 #
日本の個人投資家は、一部の証券会社が取り扱っている豪ドル建て債券を購入することができます。また、投資信託(豪ドル債券ファンド)を通じてオーストラリア国債へ間接的に投資するケースが多く見られます。
豪ドル債券ファンドの例 #
- みずほ豪ドル債券ファンド(愛称:コアラの森)(アセットマネジメントOne)毎月分配、ヘッジなし
- みずほ豪ドル債券ファンド(年1回決算型)(愛称:コアラの森)(アセットマネジメントOne)年1回、ヘッジなし
- ダイワ高格付豪ドル債オープン(毎月分配型)(大和アセットマネジメント)毎月分配、ヘッジなし
- 三井住友・豪ドル債ファンド(三井住友DSアセットマネジメント)毎月分配、ヘッジなし
- 三井住友・豪ドル債ファンド(三井住友DSアセットマネジメント)年1回分配、ヘッジなし
- 三菱UFJオーストラリアボンドファンド(毎月分配型)(三菱UFJアセットマネジメント)毎月分配、ヘッジなし
- 三菱UFJ豪ドル債券インカムオープン(愛称:夢実月)(三菱UFJアセットマネジメント)毎月分配、ヘッジなし
豪ドル債券ファンドのまとめ #
豪ドル債券ファンドは、オーストラリアドル建ての債券に投資する投資信託です。相対的に高い利回りが期待できる一方で、為替リスクや金利変動リスクがあります。為替ヘッジの有無や債券の信用格付けを確認することが重要です。資産の通貨分散やインカム収入を重視する投資家に適した選択肢です。