投資信託における「スイッチング」とは、同じファンドグループに属する複数の「スイッチング可能ファンド」間で、保有している投資信託を解約し、その資金を使って別の投資信託を購入する仕組みのことです。
スイッチングの仕組みとは? #
運用会社は業種別・地域別・株式/債券別・投資テーマ別・為替ヘッジの有無別などで複数のファンドをグループ化して提供することがあります。スイッチングは、そのグループに属するファンド間でのみ認められる制度です。
例
建設・不動産・食品・医薬品・金融を投資対象とする5本のファンドで構成されたファンドグループがある場合、保有していた「建設ファンド」を売却して、その資金で「金融ファンド」を購入するのがスイッチングです。
👉 単純に「Aファンドを解約してBファンドを購入する」だけではスイッチングとは呼ばれません。それは通常の乗換であり、スイッチング特有の手数料優遇はありません。
スイッチングのメリット #
1. 購入手数料が優遇される #
スイッチングの際の手数料優遇サービスはファンドグループによって異なります。手数料なしでスイッチングを行なえるもの、手数料を徴収されるもの、年間一定の回数までは無手数料でスイッチングが可能なものなどがあります。スイッチングを行なう際に手数料が必要な場合でも、通常の購入時に支払う手数料よりも低い手数料が設定されていることが一般的です。
- 無手数料でスイッチングできるファンドグループ
- 年間一定回数まで無料でスイッチングできるグループ
- 通常の購入手数料より低く設定されているケース
ただし、スイッチングはあくまで「解約を伴う」ため、以下の点に注意が必要です。
- 解約時に 信託財産留保額 が差し引かれる場合がある
- 売却益があれば 課税対象 になる
2. 機動的な資産配分が可能 #
- 市場の見通しが変化したときに「マネープールファンド」に一時的に資金を移す
- 有望な業種ファンドへ資金を振り替える
といったように、柔軟に資産配分を変更できます。
スイッチングの具体例 #
野村アセットマネジメントの「野村世界業種別投資シリーズ」を例に見てみましょう。このファンドグループ(シリーズ)では、次の5本のファンド間でスイッチングが可能です(2024年10月現在)。
- 野村世界業種別投資シリーズ(世界金融株投資)
- 野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)
- 野村世界業種別投資シリーズ(世界資源株投資)
- 野村世界業種別投資シリーズ(世界ヘルスケア株投資)
- 野村世界業種別投資シリーズ(マネープール・ファンド)
例えば「世界金融株投資」を保有していて、それを売却し「世界半導体株投資」を購入する場合、これがスイッチングです。
このシリーズでは、通常購入の場合(1億円未満)は 3.3%(税込) の購入手数料がかかりますが、スイッチングでは 1.65%(税込) に優遇されています。
ただし、このシリーズ以外のファンドに資金を移す場合には、こうした優遇手数料は適用されません。
スイッチングのまとめ #
投資信託におけるスイッチングとは、同じファンドグループ内で保有しているファンドを解約し、その資金で別のファンドを購入する仕組みを指します。単なる解約と新規購入による乗り換えとは異なり、スイッチングには手数料の優遇が設けられていることが多く、また市場環境の変化に応じて柔軟に資産配分を調整できるという利点があります。ただし、スイッチングも一度は解約を伴うため、解約時の信託財産留保額や課税が発生する可能性がある点には注意が必要です。