物流リートの概要 #
物流リート(Logistics REIT)とは、物流施設(倉庫・配送センター・物流拠点など)を主な投資対象とする不動産投資信託(J-REIT)です。
REIT(リート:Real Estate Investment Trust)は、不動産を運用し、そこから得られる賃料収入や売却益を投資家に分配する仕組みですが、その中でも物流リートは物流関連施設に特化したリートを指します。
近年、EC(電子商取引)市場の拡大やサプライチェーンの再構築需要を背景に、安定した賃料収入が見込める分野として注目を集めています。
物流リートの投資対象 #
物流リートが投資する物件には、次のような種類があります。
| 施設の種類 | 主な用途・特徴 |
|---|---|
| 大型物流センター | アマゾン・楽天などのEC事業者、3PL業者(配送・倉庫管理・在庫管理など企業の物流業務)を外部から包括的に請け負う専門業者(サード・パーティ・ロジスティクス)の拠点。高天井・自動搬送設備などを備える。 |
| 都市近郊型物流施設 | 都市部への配送に便利な立地。ラストワンマイル配送の拠点。 |
| 冷凍・冷蔵倉庫 | 食品・医薬品・EC食品配送などを扱う温度管理型施設。 |
| 通関・輸出入関連施設 | 港湾・空港に隣接し、国際物流に対応する拠点。 |
これらの施設は長期契約・安定需要・立地競争力が特徴で、テナント(入居企業)の入れ替えが比較的少なく、安定した賃料収入が期待できます。
物流リートの特徴 #
① 安定した分配金
物流施設は長期の賃貸契約が多く、景気変動に左右されにくい特徴があります。そのため、物流リートは分配金の安定性が高い傾向にあります。
② 成長性への期待
EC市場の拡大、在庫拠点の増加、サプライチェーンの見直しなどにより、物流施設の新規需要が拡大しています。物流リートはこうした成長テーマと相性が良く、中長期的な拡大が見込まれる分野です。
③ 比較的低い空室リスク
物流施設は一棟全体を単一の企業が借りるケースも多く、長期契約により空室リスクが低いことが強みです。
④ インフレ対応力
賃料改定条項が盛り込まれている契約も多く、物価上昇にある程度対応できる点も評価されています。
⑤ ディフェンシブ性(景気に強い資産)
物流リートは、オフィスや住宅リートと比べて景気循環の影響を受けにくく、ディフェンシブ資産としての位置づけが強まっています。経済変動時でも安定した需要が見込める点が特徴です。
主な物流リートの例(2025年現在) #
- SOSiLA物流リート投資法人 (2979)
- 産業ファンド投資法人 (3249)
- GLP投資法人 (3281)
- 日本プロロジスリート投資法人(3283)
- ラサールロジポート投資法人 (3466)
- 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)
- 三菱地所物流リート投資法人(3481)
- CREロジスティクスファンド投資法人 (3487)
- 日本ロジスティクスファンド投資法人 (8967)
投資のメリット・デメリット #
メリット #
- 安定した賃料収入による高い分配金利回り(3〜5%程度)
- 成長分野(EC・インフラ投資)に連動
- インフレヘッジ効果
デメリット #
- 不動産市況の変動による資産価値下落リスク
- 金利上昇時のリート全体の下落リスク
- 自然災害や物流需要減退による賃料低下リスク
物流リートの投資方法 #
物流リートは、他のJ-REITと同様に東京証券取引所に上場しており、証券会社を通じて株式と同じように売買できます。
また、投資信託(J-REIT指数連動型やリートファンド)を通じて間接的に投資することも可能です。
物流リートのまとめ #
物流リートとは、物流施設(倉庫、配送センターなど)に投資する不動産投資信託(J-REIT)です。EC市場の拡大や在庫拠点の分散需要を背景に成長しており、安定した賃料収入と長期契約による安定運用が特徴です。