ラッセル2000指数の概要 #
ラッセル2000指数(Russell 2000 Index)は、米国株式市場における小型株(スモールキャップ)の動向を示す代表的な株価指数です。
米ロンドン証券取引所グループ(LSEG)の子会社である FTSE Russell が算出・公表しており、米国小型株市場の把握に広く利用されています。
対象銘柄 #
ラッセル2000指数は、FTSE Russell が毎年作成する「ラッセル3000指数」から抽出されます。
ラッセル3000指数は米国株式市場の上位3,000銘柄で構成されており、そのうち時価総額順位で1,001位から3,000位までの2,000銘柄がラッセル2000指数の構成銘柄となります。つまり、ラッセル2000指数は米国株の中でも、比較的小型で成長余地の大きい企業群の値動きを示す指数といえます。
ラッセル2000指数の特徴 #
① 小型株の値動きを反映 #
中型・大型株が中心のS&P500やナスダック100とは異なり、小型株ならではの値動きの大きさが特徴です。
小型株は成長期待が大きい一方、景気環境の影響を受けやすく、株価が上下しやすい傾向があります。
② 年1回の構成銘柄の見直し(年次リバランス) #
FTSE Russell は毎年6月に、ラッセル2000指数の構成銘柄を見直す年次リバランスを行います。
企業の時価総額の変化に応じて構成銘柄が入れ替わり、常に最新の小型株市場の動きを反映する仕組みになっています。
ラッセル2000指数とラッセル1000指数・ラッセル3000指数の関係 #
ラッセル2000指数を理解するうえで、同じラッセルシリーズの**ラッセル1000指数(大型株・中型株)やラッセル3000指数(米国株式市場の総合指数)**との関係を押さえておくと、理解がより深まります。
ラッセルシリーズは、企業の時価総額順位をもとに「上位1,000銘柄(ラッセル1000)」と「残り2,000銘柄(ラッセル2000)」に分類し、それらを合わせて3,000銘柄(ラッセル3000)」とするシンプルな構造になっています。
以下に、3つの指数の違いを表にまとめました。
| 項目 | ラッセル1000指数 | ラッセル2000指数 | ラッセル3000指数 |
|---|---|---|---|
| 構成銘柄数 | 約1,000銘柄 | 約2,000銘柄 | 約3,000銘柄 |
| 対象範囲(時価総額順位) | 米国株の時価総額上位1〜1,000位 | 1,001〜3,000位 | 上位1〜3,000位 |
| 主な対象 | 大型株・中型株 | 小型株 | 大型+中型+小型(米国株全体) |
| 市場全体に占める比率 | 約92% | 約8% | 約98% |
| 特徴 | 米国株式市場の大部分をカバーする、大型・中型株の代表指数 | 小型株セグメントを代表する指数。値動きが大きいが成長余地も大きい | 米国株式市場全体の動きを捉える「総合指数」。ラッセル1000とラッセル2000で構成 |
ラッセル2000指数連動商品の「投資対象としての位置づけ」 #
ラッセル2000指数は米国の小型株市場の値動きを示す株価指数であり、投資家が指数そのものを購入することはできません。
実際に投資対象となるのは、この指数に連動して運用されるETFや投資信託です。
ラッセル2000指数に連動する商品は、次のような位置づけを持つ投資対象として利用されています。
① 米国小型株に効率よく分散投資するための基本手段 #
小型株は銘柄数が極めて多く、個別に選別するのは困難です。
ラッセル2000指数に連動する商品を利用することで、2,000銘柄へ一度に分散投資でき、小型株市場全体の動きを効率的に取り込めます。
② 大型株中心のポートフォリオに“企業規模の分散”を加える調整資産 #
S&P500など大型株中心の構成では、大企業への偏りが生じやすくなります。
ラッセル2000指数連動商品を組み合わせることで、大型株と小型株のバランスが整い、ポートフォリオの分散効果が高まります。
小型株は大型株とは異なる値動きの要因を持っており、ポートフォリオ全体の安定性や多様性を補う役割を果たします。
ラッセル2000指数に連動する主なETF #
米国ETFには、ラッセル2000指数に連動する代表的な商品があります。一部は日本の証券会社で取り扱われています。
| ETF名 | ティッカー | 運用会社 |
| iShares Russell 2000 ETF | IWM | ブラックロック |
| Vanguard Russell 2000 ETF | VTWO | バンガード |
| SPDR Russell 2000 ETF | TWOK | SSGA |
また、日本の投資信託では、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「My SMT ラッセル2000米国中小型株式インデックス(ノーロード)」が同指数をベンチマークとして採用しています。
ラッセル2000指数に連動するETFや投資信託に投資する際の注意点 #
ラッセル2000指数に連動する商品は、米国小型株に幅広く投資できる一方で、次のような点には注意が必要です。
- 値動きが大きい(ボラティリティが高い)
小型株は景気や金利動向の影響を受けやすく、大型株に比べて株価の上下が大きくなる傾向があります。
短期的な値動きに一喜一憂せず、長期の資産形成の一部として位置づけることが大切です。 - 為替リスクがある
ラッセル2000指数は米ドル建ての指数であり、円から投資する場合は円とドルの為替変動の影響を受けます。
円高になると、ドル建ての資産価値が目減りする点にも注意が必要です。 - コストの確認が必要
同じラッセル2000指数に連動するとしても、ETFや投資信託ごとに信託報酬などのコストが異なります。
長期投資を前提とする場合、コストの違いがリターンに与える影響も無視できないため、運用会社や商品ごとの経費率を確認しておくとよいでしょう。
ラッセル2000指数のまとめ #
ラッセル2000指数は、米国株式市場の小型株の動向を示す代表的指数で、成長性の高い企業群のパフォーマンスを捉えることができます。小型株は景気の影響を受けやすく値動きが大きい一方、経済成長期には高いリターンが期待でき、分散投資の観点でも重要な役割を果たす指数です。
米国株投資において、S&P500だけでは捉えきれない小型株の動きを知りたい、大型株と小型株をバランスよく組み合わせたいという場合に、ラッセル2000指数は有効な指標となります。