エンハンスト・インデックスファンド #
インデックスファンドが特定の指数に連動するように設計されているファンドのことであるのに対し、エンハンスト・インデックスファンドは指数を若干(通常0.5~2%程度ですが、ファンドにより異なります)上回ることを目的として設計・運用されるファンドのことです。リスクは対象とする指数と同程度に押さえつつも、パフォーマンスにおいては指数に連動させるのではなく、それを数パーセント上回ることを目指します。ただし、リスクをインデックスと同程度に押さえるといっても、インデックスを上回るリターンを目指すのですから、インデックスよりは高いリスクをとっています。
エンハンスト・インデックスファンドはどのようにインデックスを上回るリターンを目指すのか #
では、エンハンスト・インデックスファンドは、どのようにしてインデックスを上回るリターンを目指すのでしょうか。最もオーソドックスなエンハンスト・インデックスファンドは対象とする指数の構成銘柄を選別的に組み込むことでインデックスを上回る成果を達成することを目指します。
例えば、S&P500指数を対象とするエンハンスト・インデックスファンドであれば、構成銘柄の400銘柄はベンチマークと同じ比率で組み入れ、残りの100銘柄については、各銘柄が過小評価されているか、過大評価されているかを精査した上で、ベンチマークに対してオーバーウェイト、あるいはアンダーウェイトで組み入れます。これを銘柄ベースで行うファンドもあれば、セクターベースで行うファンドもあります。銘柄やセクターをオーバーウェイトとするか、アンダーウェイトとするかを決定するためのクライテリアはファンドにより異なります。
また、上記のような方法だけでなく、デリバティブを利用することでインデックス+αの達成を目指すエンハンスト・インデックスファンドもあります。中でも、米国のRydex Fundのようにデリバティブをより積極的に利用することで、指数を大幅に上回る(例えば50%のように)ことを目指すエンハンスト・インデックスファンドもありますが、これらは、レバレッジド・インデックスファンド(leveraged index-based funds)と呼ばれ、一般のエンハンスト・ インデックスファンドとは区別されることが多いようです。
エンハンスト・インデックスファンドの現状 #
エンハンスト・インデックス・ファンドは米国で90年代はじめに台頭しましたが、米国の90年代の株式市場のように値上がりが続くときには、ベンチマークをわずかに上回ることを目指すファンドというのは、それほど人気がでませんでした。しかし、市場が下落に転じ、同時に金利も低下すると、エンハンスト・インデックス・ファンドの魅力が注目されるようになってきました。多くの米国の大手年金基金がインデックス・ファンドとは別にエンハンスト・インデックス・ファンドでの資金運用を行なっていると言われています。
日本初のエンハンスト・インデックスファンドは、オリックス投信投資顧問株式会社(2004年4月業務廃止)が2002年12月25日に設定・運用していた「オリックス 日本株エンハンスト・インデックスファンド」でした。
2024年8月現在、明治安田アセットマネジメント株式会社の「明治安田DCトピックスプラス」や日興アセットマネジメントの「国内株式エンハンスト運用戦略ファンド(SMA専用)」などが運用されています。
エンハンスト・インデックスファンドまとめ #
エンハンスト・インデックスファンドは、インデックスファンドと同等のリスクを保ちながら、対象とする指数を数%上回る運用成果を目指すファンドです。銘柄やセクターの選別、デリバティブの活用などを通じて指数を上回るリターンを追求します。このファンドは、安定した市場よりも下落局面や低金利環境でその魅力が注目され、多くの年金基金や個人投資家が採用しています。