不動産投資信託の投資口価格の変動要因 #
不動産投資信託の投資口価格(株価と呼ばれることもあります)は、ファンドに対する需要と供給で決まります。これが一般の投資信託と大きくことなる点です。
一般の投資信託(株式投資信託や公社債投資信託のような非上場の証券投資信託)では、ファンドの基準価額は投資している株式や債券などの価格が上昇したり下落したりすることによって変動します。
一方、不動産投資信託では、株式の発行済株式数に相当する発行済投資口数は一定で、取引所に上場している株式と同じように、ファンドに対する投資家の需要と供給により投資口価格は変動します。より多くの投資家がファンドを購入すれば、ファンドの投資口価格は上昇し、一方で、より多くの投資家が売ろうとすれば、ファンドの投資口価格は下落します。
不動産投資信託の需給に影響を与える要因 #
では、この需給は何の影響を受けるでしょうか。
不動産投資信託(REIT)の投資口価格の需給は、以下のようなさまざまな要因によって変動します。
不動産市場の動向 #
不動産の需給バランスや地価の変動、賃貸需要などの不動産市場の状況がREITの資産価値に影響を与えます。不動産価格や賃貸収入が上昇すると、REITの収益も向上し、投資口に対する需要が増加します。
金利の動向 #
金利が上昇すると、投資家は相対的にリスクの低い債券にシフトし、REITなどの高配当資産への投資が減少する傾向があります。また、REITは不動産の購入や運営のために多額の借入を行うため、金利上昇によって利息負担が増加し、収益が減少するリスクがあります。
経済状況 #
一般的な経済状況、特に景気の動向やインフレ率、企業の業績などがREITに影響を与えます。景気が悪化するとテナントの退去が増え、賃貸収入が減少する可能性があります。また、失業率が上がると、商業施設などのテナント需要も減少することが考えられます。これらが投資口に対する需給に影響を与えます。
物件の収益性 #
REITが保有する物件の賃貸収入が安定しているか、また物件の入居率が高いかどうかが投資判断の一つになります。特に収益性の高い物件を多く保有しているREITは、安定した分配金を提供できるため、投資口価格も高く評価されやすいです。
分配金利回り #
REITの分配金利回りは、投資家にとって重要な指標です。一般的に分配金利回りが高いほど投資魅力が増し、投資口価格に対する需要が高まります。
投資家の心理 #
投資家心理も、投資口価格に大きく影響します。特に、経済危機や市場の混乱、世界的な不安要素(例:パンデミック、地政学リスク)などがあると投資家心理が不安定になり、REITに対する需要にとってマイナスの影響がでる可能性があります。
業績発表や評価レポート #
半期ごとの業績発表や格付機関からの評価が変更されると、投資家がその内容を反映して売買を行い、価格に影響を与えることがあります。良好な業績やプラスの評価レポートが出ると、需要が増える可能性があります。
不動産投資信託の投資口価格の変動要因まとめ #
不動産投資信託の投資口価格は、ファンドに対する需要と供給で決まります。これが一般の投資信託と大きくことなる点です。需給は不動産市場の動向、金利の動向、物件の収益性、分配金利回り、投資家の心理などさまざまな要因で変動します。