「食糧ファンド」や「農業ファンド」は、食糧や農業関連企業に焦点を当てて投資するファンドであり、増加する世界人口や食生活の変化、バイオエネルギーの需要拡大を背景とした成長が期待されています。これらのファンドは多岐にわたる業種の企業を投資対象とし、収益機会と共に特有のリスクも抱えています。詳しく見てゆきましょう。
食糧ファンドと農業ファンド #
食糧や農業関連企業の株式に的を絞って投資するファンドを一般に「食糧ファンド」「農業関連ファンド」と呼びます。英語では、Agriculture Fund、Agri Fundなどと呼ばれています。世界の人口の拡大により、食糧需要が増加することで、食糧・農業関連企業の業績がよくなるとの見通しを基本としています。
世界の人口推移 #
実際に、世界の人口推移を見ると、次のグラフのように2010年の約69億人から、2050年には約91億人にまで増加すると予測されています。
人口増加に加えて、新興諸国における食生活の欧米化による穀物や食肉などの需要の増加、バイオエネルギー需要の拡大による需要の増加なども、食糧関連企業の業績にプラスの影響を及ぼすと考えられています。
投資対象銘柄 #
食糧ファンドがターゲットとする銘柄はファンドにより異なりますが、農産物の生産を行なっている企業、農薬・肥料・種苗・飼料を生産している企業、農業機械を製造している企業、農産物の貯蔵・物流・卸売に携わる企業、漁業や養殖関連企業、食品加工や食品小売に携わっている企業など、多岐にわたる企業が投資対象ユニバースに含められますが、ファンドによって、どのような企業に重点を置くかは異なっています。
食糧・農業ファンドの例(2024年11月末現在)
- グローバル・アグリカルチャー&フード株式ファンド・・・主として、日本を含む世界の金融商品取引所に上場されている、農業(アグリカルチャー)や食料 (フード)などに関連するビジネスを行なう企業の株式に投資するファンド。
- 為替ヘッジ付ソブリン/農業関連オープン・・・投資信託証券への投資を通じて、高格付の先進国のソブリン債へ投 資を行い安定した金利収入を確保しつつ、わが国の農業に関連する 上場株式および世界の農業に関連する指数へ投資するファンド。
食糧・農業ファンドのリスク #
他の投資信託と同様に食糧・農業ファンドにも価格変動リスクや海外企業に投資する場合には為替リスクなどが伴いますが、それとは別に、食糧・農業ファンドは次のようなリスクも伴います。
天候によるリスク #
地球温暖化などによる異常気象により農業生産物の収穫が大きな影響を受け、それにより関連企業の業績が影響を受けるリスクがあります。
集中投資によるリスク #
食糧関連企業に的を絞って投資するため、組入銘柄の多くが同じ要因による影響を受け、株価が同時に同じ方向に受ける可能性があります。したがって、他の広範な業種に分散投資するファンドに比べてよりリスクが高い傾向にあると言えます。
市況変動によるリスク #
農産物の多くが国際市場で取引されており、投機的要因などにより市況が大きく変動することで、関連企業の業績に大きな影響が及ぼされることがあります。
食糧・農業ファンドまとめ #
食糧・農業ファンドは、農業や食糧関連企業を中心に投資するファンドであり、人口増加や新興国での食生活の変化を追い風としています。一方で、異常気象や集中投資、市況変動といった特有のリスクも伴います。これらのファンドは成長分野への投資機会を提供しますが、リスク許容度に応じた慎重な選択が求められます。