投資スタイルとは #
投資信託における投資スタイルとは、そのファンドがどのような企業に、どのような視点で投資しているかを示す分類のことです。
ファンドごとの値動きの傾向やリスク特性を理解するうえで非常に重要であり、自分に合った投資信託を選ぶ際の判断材料になります。
投資スタイルは、主に次の2つの軸で分類されます。
① 投資対象となる企業の規模(時価総額) #
投資信託がどの規模の企業に投資しているかを示す分類です。企業規模は株式時価総額で測られ、一般的に以下のように区分されます。
- 大型株(Large Cap):時価総額が大きく、業績や財務が安定した成熟企業(例:トヨタ、アップルなど)
- 中型株(Mid Cap):成長途上で規模が中くらいの企業
- 小型株(Small Cap):規模が小さく、成長余地が大きい企業
大型株は値動きが比較的安定している一方、小型株は値動きが大きく、リスクとリターンがともに高い傾向があります。
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② 投資手法(グロース型・バリュー型) #
どのような基準で銘柄を選ぶかという分類です。主に次の2つがあります。
- グロース(成長)型
今後の利益成長が株価に十分織り込まれていない企業を探し、将来の成長性に着目して投資します。新興企業や新技術・新サービスを手がける企業が多く、値動きは大きいが高い成長が期待されます。 - バリュー(割安)型
株価が企業の本来価値よりも低く評価されていると考えられる企業に投資します。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標を用いて割安株を探します。値動きは比較的安定しており、堅実な運用を目指す傾向があります。
両者の中間に位置する「ブレンド(ミックス)型」もあり、グロース株とバリュー株の両方に分散投資します。
投資スタイル・マトリクス(スタイルボックス) #
実際の投資信託は、企業規模(大型・中型・小型)と投資手法(バリュー・ブレンド・グロース)を組み合わせて分類されます。
この9分割のマトリクスは、モーニングスターなどの評価会社などでも「スタイルボックス」として広く使われています。
バリュー型(割安株) | ブレンド型(中庸) | グロース型(成長株) | |
---|---|---|---|
大型株(Large Cap) | 大型バリュー(成熟企業の中で割安な銘柄に投資)例:高配当・低PERの大企業 | 大型ブレンド(大型株に広く分散投資)例:TOPIX連動型など | 大型グロース(成長余地のある大企業に投資)例:米国ハイテク大手など |
中型株(Mid Cap) | 中型バリュー(成長途上で割安な企業)例:業績堅調で株価が割安 | 中型ブレンド(中型株に広く分散投資)例:米国S&P400など | 中型グロース(成長性が高い中規模企業)例:新興産業の有力企業 |
小型株(Small Cap) | 小型バリュー(小型で割安な企業)例:地方の老舗企業など | 小型ブレンド(小型株全般に分散投資)例:日本の新興市場全体など | 小型グロース(成長性の高い小規模企業)例:ベンチャー企業など |
各スタイルに対応する代表的株価指数 #
投資信託は、これらのスタイルに対応する株価指数をベンチマーク(運用指標)として参照することが多くあります。
代表的な指数は次のとおりです。
バリュー型(割安株) | ブレンド型(中庸) | グロース型(成長株) | |
---|---|---|---|
大型株(Large Cap) | TOPIXバリュー(日本)、S&P500 Value(米国) | TOPIX(日本)、S&P500(米国) | TOPIXグロース(日本)、S&P500 Growth(米国) |
中型株(Mid Cap) | Russell Midcap Value(米国) | Russell Midcap(米国) | Russell Midcap Growth(米国) |
小型株(Small Cap) | Russell 2000 Value(米国)、JPX日経中小型株指数(日本) | Russell 2000(米国)、東証小型株指数(日本) | Russell 2000 Growth(米国) |
リスク・リターン水準の目安 #
投資スタイルごとに、おおまかなリスク(値動きの大きさ)とリターン(期待収益)の傾向があります。
概ね、左上(大型バリュー)ほど安定、右下(小型グロース)ほど値動きが大きいという関係です。
バリュー型(割安株)🔹リスク:低〜中/リターン:中 | ブレンド型(中庸)🔹リスク:中/リターン:中 | グロース型(成長株)🔹リスク:中〜高/リターン:高 | |
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大型株 | TOPIXバリュー/S&P500 Value 🔸リスク:低/リターン:中 | TOPIX/S&P500 🔸リスク:中/リターン:中 | TOPIXグロース/S&P500 Growth 🔸リスク:中/リターン:中〜高 |
中型株 | Russell Midcap Value 🔸リスク:中/リターン:中 | Russell Midcap 🔸リスク:中/リターン:中〜高 | Russell Midcap Growth 🔸リスク:中〜高/リターン:高 |
小型株 | Russell 2000 Value/JPX日経中小型 🔸リスク:中〜高/リターン:中〜高 | Russell 2000/東証小型株指数 🔸リスク:高/リターン:高 | Russell 2000 Growth 🔸リスク:高/リターン:高〜非常に高 |
投資スタイルのまとめ #
投資信託における投資スタイルとは、企業規模(大型・中型・小型)と投資手法(バリュー・グロースなど)の組み合わせであり、ファンドの性格や値動きの傾向を理解するうえで欠かせない情報です。投資信託を選ぶ際は、過去の成績だけでなく、この投資スタイルも確認することで、自分のリスク許容度や投資目的に合った商品を選びやすくなります。