概要 #
MSCIワールド・インデックス(MSCI World Index)とは、アメリカの金融サービス会社「MSCI Inc.」が算出する、世界の先進国株式市場の動向を示す代表的な株価指数です。日本を含む先進国23か国の大型株・中型株を対象にしており、先進国株式市場の時価総額の約85%をカバーしています。
構成国と対象銘柄 #
MSCIワールド・インデックスは、以下の23か国により構成されています。ただし、実際の構成比率を見ると、米国が7割以上を占め、次いで日本(約5%)、イギリス(3.5%)、カナダ(3.2%)と続いています(2025年9月現在)。
- オーストラリア (Australia)
- オーストリア (Austria)
- ベルギー (Belgium)
- カナダ (Canada)
- デンマーク (Denmark)
- フィンランド (Finland)
- フランス (France)
- ドイツ (Germany)
- 香港 (Hong Kong)
- アイルランド (Ireland)
- イスラエル (Israel)
- イタリア (Italy)
- 日本 (Japan)
- オランダ (Netherlands)
- ニュージーランド (New Zealand)
- ノルウェー (Norway)
- ポルトガル (Portugal)
- シンガポール (Singapore)
- スペイン (Spain)
- スウェーデン (Sweden)
- スイス (Switzerland)
- イギリス (United Kingdom)
- アメリカ合衆国 (United States)
構成銘柄数はおよそ1,500銘柄前後で、上位銘柄にはNVIDIA、アップル、マイクロソフト、アマゾン、メタ、テスラなど、米国を代表する企業が名を連ねています(2025年9月現在)。
MSCIワールド・インデックス指数の特徴 #
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 指数算出会社 | MSCI Inc.(米国) |
| 対象市場 | 先進国23か国 |
| 構成銘柄数 | 約1,500社 |
| カバー率 | 各国株式市場の約85% |
| 主な利用目的 | 先進国株式市場全体のベンチマーク |
| 為替 | 為替:米ドル建てで算出されますが、円建て・ユーロ建てなど各通貨換算値も公表されています。 |
この指数は、世界の先進国株式の「平均的な動き」を示すもので、ファンドやETFの運用成果を比較する際のベンチマーク(基準指数)として広く利用されています。
MSCIワールドとMSCIコクサイ・ACWI・エマージングの違い #
MSCI ワールド・インデックスよく比較されるのが、「MSCI KOKUSAIインデックス」と「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」「MSCIエマージング・インデックス」です。
次の表は、MSCIが算出するこれらの代表的な4つのグローバル株価指数の比較です。
| 指数名 | 対象地域・国数 | 日本の扱い | 含まれる市場 | 構成銘柄数(目安) | 主な特徴 |
| MSCIワールド・インデックス(MSCI World Index) | 先進国23か国 | 含まれる | 先進国のみ | 約1,500銘柄 | 世界の先進国株式市場全体をカバー。世界の機関投資家が利用する代表的ベンチマーク。 |
| MSCIコクサイ・インデックス(MSCI Kokusai Index) | 日本を除く先進国22か国 | 含まれない | 先進国のみ | 約1,300銘柄 | MSCIワールドから日本を除外した指数。日本の外国株式ファンドで最も一般的。 |
| MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)(MSCI All Country World Index) | 先進国23か国+新興国24か国(計47か国) | 含まれる | 先進国+新興国 | 約2,800銘柄 | 世界の先進国と新興国を合わせた「全世界株式」の代表的指数。 |
| MSCIエマージング・マーケット・インデックス(MSCI Emerging Markets Index) | 新興国24か国 | 含まれない | 新興国のみ | 約1,400銘柄 | 新興国市場の動向を示す代表的指数。ACWIの「新興国部分」に該当。 |
MSCI ACWI = MSCIワールド + MSCI新興国指数(MSCI Emerging Markets)という関係にあります。
投資の世界での活用例 #
MSCIワールド・インデックスは、世界中の機関投資家・ファンド運用会社が「先進国株式ファンドのベンチマーク」として利用しています。
MSCI ワールド・インデックスをベンチマークとするETFの例:
・iShares MSCI World ETF(URTH)米国市場
・iShares MSCI ワールド UCITS ETF(IWRD)欧州市場
・iShares MSCI World Index ETF(XWD)カナダ市場
・Xtrackers MSCI World UCITS ETF (XDWD)欧州市場
・SPDR MSCI World UCITS ETF(SPPW)欧州市場
東京証券取引所に上場している世界株式ETFの多くは、MSCI コクサイ指数やMSCI ACWI指数をベンチマークにしています。一方で、MSCIワールド・インデックスをベンチマークとするETFは、主に海外市場(米国・欧州など)で上場しています。
MSCIワールド・インデックスをベンチマークとするファンドのメリットと注意点 #
メリット #
- 世界の先進国に一度に分散投資できる
- 米国や欧州、日本などの経済成長を幅広く取り込める
- 信頼性が高く、運用残高の大きいファンドが多い
注意点 #
- 新興国が含まれないため、成長ポテンシャルを逃す可能性がある
- 為替変動(円高・円安)の影響を受ける
- 米国比率が6割〜7割と高く、実質的に米国株の動きに左右されやすい
MSCIワールド・インデックスのまとめ #
MSCIワールド・インデックスは、「世界の先進国株式市場の健康状態」を測る代表的な指標です。
投資信託やETFを通じて、この指数に連動する運用を行えば、世界の先進国企業に分散投資することができます。より広い地域(新興国を含む世界全体)をカバーしたい場合は、「MSCI ACWI」や「オール・カントリー型ファンド」を検討するとよいでしょう。
より幅広い地域をカバーする指数については、関連記事「MSCI ACWIとは?全世界株式の代表的指数を解説」も参考にしてください。