私募リートとは #
リート(REIT=Real Estate Investment Trust)とは不動産投資信託のことですが、このリートには、証券取引所に上場していて、証券会社を通じて誰でも売買が可能な公募のリートと、証券取引所には上場しておらず、機関投資家など特定の投資家だけを対象として私的な募集によって販売されるリートがあり、後者を私募リートと呼びます。
募集とは #
募集とは新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘のことで、多数に対して行なわれる募集を公募、機関投資家など特定の投資家や少数の投資家だけに対して行なわれる申込みの勧誘を私募といいます。私募リートは取引所に上場されていないので、売買は、投資口の払い戻し、あるいは譲渡によって行なわれます。
私募リートの定義 #
不動産投資信託の業界団体である不動産証券化協会では、私募リートの物件総数や保有資産総額をまとめたレポート「私募リート・クォータリー」を四半期毎に発表していますが、このレポートにおいては私募リートを次のように定義しています。
- 非上場(証券取引所に上場していない)であること。
- 投資信託協会規則で定める「不動産投信等」であること。
- 投資信託協会規則で定める「オープン・エンド型の投資法人」であること。
- 運用期間の定めが無いこと。
なお、投資家から集めた資金や金融機関からの借入金で不動産を購入し、そこから得られる賃貸料などの収入から費用を差し引いた利益を投資家に配当として還元するという仕組みは公募リートおよび私募リートに共通です。
日本初の公募リートと私募リートと資産総額 #
公募リートは、2001年9月10日に第一号ファンドとなる「日本ビルファンド投資法人」と「ジャパンリアルエステイト投資法人」が東京証券取引所に上場しました。その後、上場リート数は増加し、2024年9月末現在、58本のリートが東京証券取引所に上場しており、資産規模(運用資産額)は約23.4兆円に成長しています。
一方、私募リートは、2010年11月に第一号ファンド「野村不動産プライベート投資法人」が組成され、不動産証券化協会の「私募リート・クォータリーNo.35(2024年6月末基準)」によると、2024年6月末現在、58本の私募リートが運用されており、資産規模は約6.5兆円です。投資物件数の合計は1,766物件、出資総額は3兆6,708億円に達しています。
誰が私募リートに投資しているのか
では、いったいどのような人が私募リートに投資しているのでしょうか。不動産証券化協会の「私募リート・クォータリーNo.35(2024年6月末基準)」によると、次のグラフの通り地域金融機関が33.3%と最も多くなっています。地域金融機関は地方銀行と信用金庫を指します。また、中央金融法人は銀行(地銀を除く)、生命保険会社、損害保険会社、系統中央機関のことです。
私募リートのまとめ #
私募リートとは、証券取引所に上場せず、特定の機関投資家などを対象に私的に募集される不動産投資信託です。非上場であるため、投資口の売買は払い戻しや譲渡によって行われます。公募リートと同様に、不動産収入から配当を還元する仕組みですが、主に地域金融機関や中央金融法人などが投資家となっています。2024年6月時点で、私募リートは約6.5兆円の資産規模を持ち、公募リートと共に不動産市場に大きな影響を与えています。