3カ月決算型の概要 #
投資信託には、運用成果を分配するタイミングの違いによって「毎月分配型」「3カ月決算型」「年1回決算型」などがあります。
なかでも3カ月決算型は、分配頻度と資産成長のバランスを取りたい投資家に選ばれる中間的なタイプです。
「3カ月決算型の投資信託」とは、年に4回(四半期ごと)決算を行う投資信託のことを指します。
たとえば3月・6月・9月・12月といった形で決算が行われ、その時点で分配金を出すかどうか、出すのであればいくら出すかが判断されます。
※「3カ月決算型」や「年4回決算型」「年4回分配型」は、いずれもおおむね同じ意味で使われます。決算のたびに分配金が支払われることが多いですが、必ず分配があるとは限りません。
→「投資信託の分配金とは?」
投資信託の決算の基本 #
投資信託には「決算日」が定められており、運用成果を区切って分配金を出すかどうかを決める仕組みがあります。
決算の頻度はファンドごとに異なり、「毎月」「3カ月ごと」「年2回」「年1回」などがあります。
ここで重要なのは、分配が行われるとその分だけファンドの純資産が減り、基準価額も分配金と同額下がるという点です。
また、分配金は必ずしも運用益だけから支払われるわけではなく、運用成績によっては元本の一部を取り崩して支払われる(=特別分配金)場合もあります。
3カ月決算型メリット #
- 四半期ごとに分配金を受け取れる可能性がある
- 毎月分配型に比べ分配回数が少ないため、基準価額の下落圧力は小さめ
- 年1回型よりも分配機会が多いため、定期収入を得やすい
3カ月決算型デメリット・注意点 #
- 分配金は必ず出るわけではない(無分配となる場合もある)
- 分配金の一部は元本の払い戻しにあたることがあり、その場合は資産形成効果が薄れる
- 分配を受け取るとその分資産が減るため、長期的な資産成長を狙う投資には不利になりやすい
他の決算型との比較 #
| 分配頻度によるタイプ | 特徴 | メリット | デメリット | 向いている投資家 |
|---|---|---|---|---|
| 毎月決算型 | 毎月分配 | 毎月の定期収入を得やすい | 分配回数が多く、基準価額が下がりやすい。資産を効率的に増やしにくい | 毎月の生活費補填を重視する人 |
| 3か月決算型 | 四半期ごと(年4回) | 適度な分配頻度で定期収入を得やすい | 分配があれば資産成長ペースは鈍る。分配の有無や金額はファンド方針次第 | 毎月は不要だが、年1回では間隔が長いと感じる人 |
| 年1回決算型 | 年1回の決算で分配 | 分配回数が少なく、基準価額の下落圧力が小さい | 分配の機会は年1回のみで、定期的な収入源には不向き | 長期的に資産を成長させたい人 |
3カ月決算型の投資対象 #
3カ月決算型には、債券に投資するタイプと株式に投資するタイプがあります。それぞれの特徴は次のとおりです。
債券型(債券に投資するタイプ) #
債券を主な投資対象とする3か月決算型は、海外または国内の債券に投資し、比較的安定した利息収入(クーポン収入)をもとに、四半期ごとに分配金を出すことを目指します。
特徴
- 値動きが比較的小さく、基準価額の変動リスクが抑えられる
- 海外の債券に投資するタイプは為替ヘッジの有無によって、為替変動リスクが異なる
- 分配金の原資が主に利息収入のため、分配の安定性が高い傾向
- 一方で、金利上昇局面では債券価格が下落し、基準価額が下がるリスクもある
例:(2025年10月現在)
- ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(3カ月決算型)(愛称:杏の実3M)
- 三井住友・ピムコ・ストラテジック・インカムファンド(為替ヘッジあり/3カ月決算型)
- 三井住友・ピムコ・ストラテジック・インカムファンド(為替ヘッジなし/3カ月決算型)
- iシェアーズ米国債0-3ヶ月ETF(東京証券取引所上場、銘柄コード:2012)
- iシェアーズ・コア 日本国債 ETF(2561)
- iシェアーズ 日本国債7-10年 ETF(236A)
- iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)(1482)
- iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)(1496)
- iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債ETF(為替ヘッジあり)(1497)
- iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(1656)
株式型(株式に投資するタイプ) #
株式を主な投資対象とする3カ月決算型は、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)と配当収益の両方の獲得を目指し、四半期ごとの決算時に分配を行うかどうかを判断します。
特徴
- 市場環境の変化により、分配金額や有無が大きく変動しやすい
- 長期的にはリターンが期待できるが、短期的な基準価額の上下は大きい
- 景気拡大局面では高い分配が期待できる一方、下落局面では分配を見送ることもある
- 地域特化型(例:インド・中国・ブラジルなど)やテーマ型が多い
例(2025年10月現在)
- HSBCインド株式ファンド(3ヶ月決算型)
- HSBC中国株式ファンド(3ヶ月決算型)
- HSBCブラジル株式ファンド(3ヶ月決算型)
- 上場インデックスファンド日本高配当(東証配当フォーカス100)(1698)
このように、債券型は安定収入重視、株式型は成長性重視という違いがあります。
どちらを選ぶかは、「安定的な分配を求めるのか」「値上がり益も狙うのか」という投資目的によって異なります。
3カ月決算型の投資信託まとめ #
3カ月決算型の投資信託は、年4回決算を行い、そのたびにどのくらいを分配するかを決定するタイプのファンドです。
毎月分配型に比べて基準価額の下落圧力が小さく、年1回型よりも分配機会が多いため、定期的に分配金を受け取りたい投資家に向いています。
ただし、分配を受け取るとその分基準価額が下がるため、長期的な資産形成を重視する場合は、無分配型や再投資型も検討が必要です。
分配金を生活資金として活用したいのか、それとも資産を長期的に増やしたいのか、自分の目的に合わせて選ぶことが大切です。