投資信託の収益構造 #
投資信託の収益は、主に次の2つに分類されます。
① インカムゲイン・・・保有している資産から定期的に得られる収益で、分配金の主な原資となります。具体的には以下のような収益が該当します。
- 株式の配当金
- 債券の利息
- REIT(不動産投資信託)からの分配金
② キャピタルゲイン(値上がり益)・・・株式、債券、REITなどを保有期間中に売却した際、購入時よりも高値で売れた場合に得られる差益です。
ハイインカムファンドの基本 #
ハイインカムファンドは、インカムゲイン(配当・利息・REIT分配金)を重視して運用される投資信託で、投資家に定期的な分配金の提供を目的とした投資信託です。分配頻度はファンドにより異なります。主に以下の3タイプに分類されます。
(1)ハイインカム株式ファンド #
配当利回りの高い株式に投資し、安定した配当収益を得ることを目的とするファンドです。
特徴
- 高配当株への重点投資
電力、通信、金融、不動産などの成熟業種に属する企業が中心です。これらは業績が安定しており、継続的に配当を出している実績があります。 - 分配金の定期的な支払い
得られた配当収益をもとに、投資家に分配金を支払います。分配の頻度はファンドにより異なります。 - キャピタルゲインも一部狙う
インカム収益を主軸としつつ、株価の値上がりによるキャピタルゲインも補完的な収益源として活用されます。 - 分散投資によるリスク軽減
複数業種・地域への投資により、個別企業への依存を抑えます。海外の高配当株に投資する「グローバル型ファンド」もあります。
運用方針例
- 安定的な配当収益の確保と、中長期的な値上がり益の獲得を両立させる。
- 配当利回り、企業の財務健全性、配当政策などを考慮して銘柄を厳選する。
(2)ハイインカム債券ファンド #
高利回りの債券に投資し、利息収入を得ることを目的とするファンドです。
主な投資対象
- ハイイールド債(信用格付けの低い企業の社債)
- 新興国の国債・社債
これらは高い利回りが期待できる一方、信用リスクや市場変動リスクも伴います。
特徴
- 高利回りを追求
投資適格未満の債券など、通常の債券よりも利回りが高い銘柄に投資します。 - 分配金の水準が高い
債券から得られる利息をもとに安定的な分配が可能です。分配頻度はファンドにより異なります。 - 信用・為替リスクに留意
発行体の信用力、金利動向、為替リスクなどに注意が必要です。特に景気後退局面では元本割れのリスクが高まります。
運用方針例
- 米国・欧州のハイイールド債や新興国のソブリン債に分散投資し、安定的な収益と値上がり益の両立を目指します。
- 米国と欧州のハイイールド債(高利回り債/投機的格付債)に投資することにより、高い利息収益の獲得を目指しつつ、分散投資により信用リスクの低減に努めます。
(3)ハイインカムREITファンド #
REIT(不動産投資信託)に投資し、REITからの分配金収入を得ることを目的とするファンドです。
特徴
- REIT分配金による収益確保
REITは保有不動産の賃料収入等を原資として、定期的に高い分配金を支払います。分配頻度はファンドにより異なります。 - 高い分配率が魅力
REITには、法律により、利益の90%以上を分配する仕組みがあり、インカム収益が安定しています。 - 市況や金利の影響に注意
不動産市況や金利の動向により価格や分配金に影響が及ぶことがあります。 - 国内外REITへの分散投資
日本(J-REIT)に加え、米国・アジア・欧州などの海外のREITに投資するファンドもあります。
運用方針例
- 世界各国の上場REITに投資し、安定的な賃料収入に基づくインカム収益の獲得を目指します。
- 高水準の配当収益の獲得と中長期的な値上がり益の獲得を目指して積極的な運用を行なうことを基本とします。
ハイインカムファンドのタイプ別特徴 #
タイプ | 主な投資対象 | 収益源 | リスク要因 |
---|---|---|---|
株式型 | 高配当株 | 配当金 | 株価変動リスク |
債券型 | ハイイールド債、新興国債 | 利息収入 | 信用リスク、金利・為替リスク |
REIT型 | 不動産投資信託 | REITからの分配金 | 不動産市況、金利変動リスク |
ハイインカムファンドのまとめ #
ハイインカムファンドは、配当・利息・REIT分配金などのインカム収益を重視する投資信託です。株式型・債券型・REIT型の3タイプがあり、定期的な分配金の提供を目的としています。利回りの高さが魅力ですが、資産ごとの価格変動リスクや信用リスクに注意が必要です。安定収益とリスクのバランスを理解した上で、自分に合ったファンドを選ぶことが大切です。