「リートファンド(REITファンド)」とは、REIT(不動産投資信託)に分散投資する投資信託のことです。個人投資家が不動産市場に間接的に投資できる手段として設計されており、少額からの積立や分散投資に適しています。
取引所に上場しているREIT自体とは異なり、リートファンドの売買は日々の基準価額(NAV)で行われます。なお、REITへの投資手段には、証券取引所に上場する「REIT ETF(上場投資信託)」もありますが、REITファンドは上場しておらず、1日1回の基準価額に基づいて取引される点が異なります。

リートファンドの特徴 #
項目 | 内容 |
---|---|
投資対象 | REIT(不動産投資信託)に投資 |
資産構成 | 複数のREITに分散投資(数十銘柄以上) |
売買単位 | 基準価額で1万円前後から購入可能(積立も可) |
利益の源泉 | REITからの分配金、値上がり益(キャピタルゲイン) |
運用方式 | インデックス型またはアクティブ型 |
購入方法 | 証券会社、銀行、ネット証券などで購入可能 |
リートファンドのメリット #
- 少額・積立投資が可能(REITそのものは数万円から十万円前後が多い)
- 複数のREITに分散投資でき、個別REITに比べてリスクが抑えられる
- 手軽に不動産収益にアクセスできる
- 毎月分配型ファンドでは定期収入を期待できる
- 海外REITにも投資でき、地理的な分散も可能
リートファンドの注意点 #
- 基準価額は金利や不動産市況に左右される
- 信託報酬(運用コスト)がREITに直接投資するよりやや高め
- 海外REITファンドには為替リスクがある場合も(為替ヘッジの有無に注意)
- 毎月分配型の場合、元本取り崩し型の分配に注意が必要
- REITに含まれる不動産の用途や地域に偏りがあると、セクターリスク・地域集中リスクが生じる場合がある
リートファンドの主な種類 #
種類 | 特徴 |
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国内REITファンド | 日本のJ-REITに投資(オフィスビル、住宅、物流、商業施設など) |
グローバルREITファンド | 米国・欧州・アジアなど世界のREITに分散投資。為替リスクあり |
外国REITファンド | 海外の特定の国(オーストラリアなど)のREITに分散投資。為替リスクあり |
※なお、国内型リートファンドの多くは「東証REIT指数」、グローバル型では「FTSE EPRA/NAREIT グローバル指数」などがベンチマークとして用いられています。
リートファンドの運用方式:インデックス型とアクティブ型 #
リートファンドには、インデックス型とアクティブ型の運用方式があります。どちらを選ぶかによって、期待されるパフォーマンスやコスト、リスクが異なります。
◾️ インデックス型リートファンド #
東証REIT指数やFTSE EPRA/NAREIT指数など、市場全体の動きに連動することを目指すファンドです。運用コストが比較的低く、銘柄選定の裁量は小さいため、初心者でも分かりやすく安定した運用が期待できます。
• 主なメリット:低コスト、透明性の高い運用
• 主な代表例:eMAXIS Slim 国内リートインデックス、ニッセイJリートインデックスファンド、ダイワJ-REITオープン、たわらノーロード先進国リート
◾️ アクティブ型リートファンド #
ファンドマネージャーが独自の判断でREIT銘柄を選定・入れ替えながら、市場平均を上回るリターンを目指す運用です。市場動向に左右されにくい運用が可能な一方で、運用コストはやや高く、成果がマネージャーの手腕に依存します。
• 主なメリット:相場状況に応じた柔軟な銘柄選定、差別化された運用
• 主な代表例:しんきんJリートオープン(毎月決算型)、ひとくふう先進国リートファンド、みずほJ-REITファンド(年1回決算型)
どちらを選ぶべきか? #
• 低コストで長期的に不動産収益を取り込みたい方には、インデックス型がおすすめです。
• 市場環境に応じて積極的に収益機会を狙いたい方には、アクティブ型が適しています。
いずれの場合も、運用実績だけでなく、ベンチマークとの乖離、組入銘柄の特徴、信託報酬などを総合的に比較・確認し、自身の投資目的に合ったファンドを選ぶことが重要です。
REITファンドとREIT ETFの比較 #
REITファンドとREIT ETFは、いずれも不動産収益に分散して投資できる手段ですが、「どのように投資したいか」によって選ぶべき商品が異なります。
- 少額から定期積立で長期投資したい場合や、基準価額でわかりやすく購入したい場合には、REITファンドが適しています。特に初心者にとっては、売買のシンプルさや分配頻度の選択肢が魅力です。
- 一方、リアルタイムでの売買やコスト重視、より機動的な資産運用を行いたい場合には、REIT ETFの方が合理的な選択となります。特に信託報酬を抑えたい場合や、指数連動の透明性を重視する投資家に人気があります。
また、REIT ETFは証券口座で株式と同様に取引できるため、株式や債券など他資産と同じ口座で一元管理したい方にも向いています。
いずれを選ぶ場合でも、分配金の方針(毎月分配・年1回など)やベンチマーク指数、組入銘柄の地域バランス、為替リスクの有無といった点に注目し、ご自身の投資目的に合った商品を選ぶことが重要です。
項目 | REITファンド | REIT ETF |
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売買方法 | 証券会社経由で1日1回の基準価額で売買 | 市場価格でリアルタイムに売買可能 |
売買単位 | 少額(1万円前後から) | 最低1口単位(数万円~数十万円程度) |
分配金 | 配当時期・頻度は銘柄により異なる | 配当時期・頻度は銘柄により異なる |
コスト | 信託報酬はやや高め(1%前後も) | ETFは0.1~0.5%程度と低廉なものも |
運用タイプ | アクティブ型も多い | 多くはインデックス型 |
リートファンドのまとめ #
リートファンドとは、J-REITなどの不動産投資信託(リート)に投資する投資信託であり、少額から分散投資が可能な不動産収益の取り込み手段です。J-REIT市場に直接投資するよりも手軽で分散効果がある反面、運用コストや金利変動、為替、分配金の性質などについての理解が必要です。REIT ETFとの違いや課税の扱い、リスクの種類にも留意し、自身の目的に合ったファンド選びを行い、長期的な資産形成において納得のいく選択ができるようにしましょう。