債券に投資する投資信託の目的 #
どのような投資信託においても、究極的な目的は、信託財産を成長させること、簡単にいえば、「資産を増やすこと」につきますが、その目的を利益の源泉という点に着目して考えると、「利子収入の獲得」と「値上がり益の獲得」とに分けられるでしょう。
債券ファンドの収益構造は主にこの2軸(インカムゲインとキャピタルゲイン)で構成されており、運用戦略やファンドの性格はこのバランスによって異なります。
利子収入の獲得 #
債券から発生する利子収入のことを「インカムゲイン」とも言いますが、まず、この利子を得ようとすることが債券ファンド、また債券投資の目的の大きな柱です。
ファンドによっては、受け取った利子を投資家に分配金として支払うものと、再投資するものがあります。分配方針によって、同じ利子収入でも投資家にとっての成果が異なる点に注意が必要です。
また、利回りの高い債券を多く組み入れるファンド(たとえばハイイールド債や新興国債券を対象とするもの)は、相対的に信用リスクや価格変動リスクが高くなる傾向があります。利子収入重視型であっても、リスクが低いとは限りません。
値上がり益の獲得 #
一方で、債券は、市場などを通じて、満期前においても、時価で取引が行なわれており、金利の変動などの要因によって、債券価格は日々刻々と変動しています。そこで、単に利子を受け取るだけでなく、このような債券価格の変動を利用して、値上がりによる売買差益(「キャピタル・ゲイン」)を得ようとすることがもう一つの目的として存在します。
債券価格は金利と逆の動きをするという「逆相関」の関係があります。金利が下がると既発債券の価値は上がり、金利が上がると価格は下がります。このため、金利動向を見越して運用するファンドでは、キャピタルゲインを重視した運用が行われることがあります。
どちらを重視するか #
これらは、どちらか一方を選択してどちらかを捨てるといった関係にあるものではないので、実際問題としては、「利子収入を狙う」、「値上がり益を狙う」という二つの目的について、どちらにどれだけのウエイトを置くのかということが重要になります。
債券ファンドの運用成績は、この投資目的のみによって左右されるものではありませんが、一般的な傾向としては、「利子収入を狙う」タイプのファンドのほうが価格変動が小さく、「値上がり益」を狙うタイプのファンドのほうが、価格変動が大きい傾向があります。
たとえば、国債中心のファンドは比較的安定したインカム収益を重視する設計が多く、逆に金利変動を積極的に捉える戦略をとるファンドや、デュレーションの長い債券を組み入れたファンドは、キャピタルゲイン狙いの色合いが強くなります。
目論見書を確認する #
投資目的については、目論見書にも記載がありますので、投資にあたっては、必ずチェックして理解することが重要です。
加えて、ファンドが対象とする債券の種類(国債、社債、ハイイールド債、新興国債券など)や、分配方針(毎月分配型か再投資型か)、運用期間、リスク水準なども確認して、自分の投資目的と一致しているかを見極めることが大切です。
債券ファンドの目的のまとめ #
債券ファンドの主な目的は、利子収入(インカムゲイン)と値上がり益(キャピタルゲイン)の獲得にあります。どちらを重視するかでファンドのリスクや運用戦略が異なり、利子重視型は安定性、値上がり益重視型は価格変動の大きさが特徴です。投資にあたっては、目論見書で運用方針やリスクを確認し、自身の目的に合った商品を選ぶことが重要です。