海外で設定され、日本国内で販売される外国籍投資信託は、日本証券業協会の基準に基づき分類されます。その分類の一つが「債券通常型ファンド」です。
債券通常型ファンドとは、株式を一切含まず、国債や社債などの確定利付証券のみで運用するファンドを指します。「通常型」という名称は、特定のデリバティブ戦略や短期運用(MMF型)を伴わない、もっとも標準的な債券運用スタイルであることを意味します。
株式を含まないため、一般的には株式型ファンドに比べて値動きが穏やかとされます。ただし、投資対象の国・地域や債券の信用力、通貨建ての種類によって、リスク・リターンの水準は大きく変わります。
債券通常型ファンドの特徴 #
- 株式を含まない運用スタイル
国債や地方債、社債、政府機関債などの確定利付証券を中心に組み入れ、株式の直接保有は行いません。 - 幅広い投資地域に対応
米国や欧州などの先進国債券から新興国債券まで、多様な地域を投資対象とするファンドが存在します。 - 通貨建ての多様性
米ドル、ユーロ、豪ドルなど、さまざまな通貨で組成されており、為替リスクが伴います。円建ての外国籍投資信託もありますが、投資対象が海外資産であれば為替リスクを免れるわけではありません。 - 国際的なファンド拠点での設定
多くはルクセンブルグやアイルランドといった国際的なファンド拠点で組成されています。これらの国はファンドに課税しない仕組みや国際的に認められた規制(UCITS)が整備されており、日本を含む各国で販売しやすい環境が整っています。
主なリスク要因 #
債券通常型ファンドは比較的安定的な運用を特徴としますが、以下のようなリスクには注意が必要です。
- 金利リスク:市場金利の変動による債券価格の上下動
- 信用リスク:発行体の財務状況悪化やデフォルトによる損失
- 為替リスク:外貨建てで運用される場合、為替変動が円ベースの価値に影響
- 流動性リスク:市場規模や取引量の少ない債券は売買が難しくなる可能性
債券通常型ファンドのタイプ分類 #
「債券通常型ファンド」と一口にいっても、その中身は一様ではありません。米国国債や投資適格社債を中心とする比較的安定的なタイプもあれば、ハイイールド債や新興国債券のように高い利回りを狙うリスクの大きいタイプも含まれています。そこで便宜的に、債券通常型ファンドを「安定型」と「積極型」に分けて整理することができます。
1. 安定型(投資適格債中心) #
比較的リスクが低く、資産配分の基盤(コア資産)として利用されやすいタイプ。
- 米国国債や先進国国債ファンド
- 投資適格社債ファンド(BBB格以上)
- 短期債ファンド(ショート・デュレーション)
- 世界分散型国債ファンド(グローバル債券、ワールドボンド)
- インフレ連動債ファンド(リアルリターン債券など)
例:GSアメリカン・ボンド・インカム、PIMCOリアルリターン・ファンド、シュローダー・ユーロ・ボンド
2. 積極型(高利回り狙い) #
高いインカム収入を目指す一方、価格変動や信用リスクが大きいタイプ。
- ハイ・イールド債ファンド(米ドル建て/円建て)
- 新興国債券ファンド(エマージング・ボンド、アジア・ボンドなど)
- バンクローン(シニアローン)ファンド
- ハイブリッド証券・CoCos債ファンド
- マルチクレジット戦略ファンド(複数の高リスク債券を組み合わせ)
例:ブラックロック USドル・ハイ・イールド・ボンド、アリアンツ PIMCOハイ・イールド・インカム、UBSハイ・イールド・ボンド、GS新成長国通貨債券ファンド、各種バンクローンファンド
市場規模と登録本数 #
2025年6月末時点で、日本国内には256本の債券通常型ファンドが登録されています。低リスク志向の投資家から、金利や為替の動きを活かして収益を狙う投資家まで、幅広いニーズに対応する商品がそろっています。
外国籍投資信託の全分類一覧(日本証券業協会) #
日本証券業協会は、国内で登録・販売される外国籍投資信託を、大分類・中分類・小分類の3階層で以下のように分類しています。
- 株式型
• グローバル型(世界全体を投資対象とする)
- 通常型(株式のみで運用)
- バランス型(株式と債券など複数資産で運用)
• 地域別型
- アジア・オセアニア地域型(日本を除くアジア、オーストラリア、ニュージーランドなど)
- 欧州・アフリカ地域型(西欧・東欧、アフリカ諸国)
- 米州地域型(北米・中南米)
- 日本型(日本の株式中心) - 債券型
• 通常型(株式を含まず、確定利付証券のみで運用)
• 派生商品型(債券の運用にデリバティブを活用)
• MMF型(マネー・マーケット・ファンド。安全性・流動性重視) - その他
• 不動産型(REITや不動産関連証券)
• コモディティ型(金・原油などの商品先物やETF)
• バランス型(株式・債券・REITなど複数資産に分散投資)
• その他型(ヘッジファンドなどオルタナティブ運用)
外国籍投資信託の債券通常型ファンドまとめ #
債券通常型ファンドは、日本証券業協会が定義する外国籍投資信託の中で、株式を含まない標準的な債券ファンドです。投資地域や債券の格付け、残存期間、通貨建ての違いによって、安定型から高利回り狙いまで多様なタイプが存在します。投資家は、安定性とリスクのバランスを踏まえた上で、自分に合ったファンドを選ぶことが大切です。