マーケットリスクとは? #
投資信託におけるマーケットリスクとは、市場全体の価格変動によって投資信託の基準価額(NAV)が上下する可能性があるリスクのことです。投資信託が組み入れている個別銘柄の問題ではなく、経済や金融市場全体の動きに起因する広範なリスクを指します。つまり、「市場全体が下がったら、自分の投資信託も値下がりして損をするかもしれない」というリスクです。
マーケットリスク(Market Risk)
投資対象である株式、債券、為替、商品などの価格が、市場全体の変動によって上下することにより、投資信託の運用成果に影響を及ぼすリスク。
マーケットリスクの主な要因 #
投資信託におけるマーケットリスクは、さまざまな外部要因によって生じます。これらの要因は市場全体に影響を及ぼし、投資信託の基準価額にも大きく反映される可能性があります。主な要因は以下のとおりです。
要因 | 概要 |
---|---|
景気の変動 | 景気拡大や後退により、株式市場や金利が大きく変動。特に株式型ファンドで影響が大きい。 |
金利の変動 | 金利が上昇すると債券価格が下落し、債券型ファンドに損失が生じる可能性。 |
為替レートの変動 | 外貨建て資産を含むファンドでは、為替変動によって円建ての評価額が増減。 |
地政学リスクや政治的要因 | 戦争、政変、国際的な緊張などが市場全体に悪影響を与える可能性がある。 |
市場のセンチメント | 投資家心理の変化によって、合理的ではない価格変動が発生することも。 |
投資信託でのマーケットリスクの現れ方 #
- 株式ファンド:株式市場が下落すれば基準価額が下がる
- 債券ファンド:金利上昇局面で基準価額が下がる
- バランスファンド:複数資産の市場が不安定なときに、全体の下落リスクが増す
- 外貨建て資産含むファンド:為替リスクも加わり、変動幅が大きくなる
投資家としての対処方法 #
マーケットリスクは避けられないものですが、上手に付き合っていくことはできます。大切なのは、自分に合ったスタイルでリスクと向き合うこと。以下に、リスクを抑えながら賢く投資を続けるための工夫をご紹介します。
方法 | 説明 |
分散投資 | 資産クラス・地域・通貨などの分散により、一部市場の下落による影響を抑える |
長期投資の視点 | 一時的な市場変動に過度に反応せず、長期的なリターンを見据える |
リスク許容度に合ったファンド選び | 値動きの大きさ(ボラティリティ)や過去の最大下落率などを参考に、自分に合ったリスク水準を選ぶ |
関連するリスク用語の理解 #
なお、マーケットリスクに関連する用語として、「価格変動リスク」や「システミックリスク」「システマティックリスク」があります。
- 価格変動リスク:マーケットリスクとほぼ同じ意味で使われ、資産価格の上下によって投資価値が変動するリスク。
- システマティックリスク(Systematic Risk):市場全体の動きに起因するリスクで、分散投資では避けられない。マーケットリスクと同義とされることが多い。
- システミックリスク(Systemic Risk):リーマンショックのように金融システム全体に連鎖的な混乱をもたらすリスク。個別銘柄や業種にとどまらず、世界的に影響が広がる危機を指す。
マーケットリスクのまとめ #
マーケットリスクとは、市場の変動によって投資信託の価値が上下するリスクであり、経済全体の動向、金利・為替・政治・投資家心理など、多くの要素が複雑に関係します。
また、システマティックリスクとして投資の基本に内在するリスクである一方で、システミックリスクのような大規模金融危機が加わると、市場全体に深刻な混乱が広がる可能性があります。
投資信託を選ぶ際は、これらのリスクの違いを理解し、自分の運用目的やリスク許容度に照らして判断することが重要です。