電子決済代行業とは?ーオンライン・キャッシュレス社会を支える重要な役割


電子決済代行業とは?

現代社会におけるオンライン化やキャッシュレス化の進展は、私たちの生活を便利で効率的なものに変えています。この変化を支えている一つが、電子決済代行業です。電子決済代行業者は、利用者と銀行との中間に位置し、決済指図の伝達や口座情報の取得・顧客への提供を行います。

電子決済代行業の基本

電子決済等代行業とは、サービス利用者と銀行との中間に位置し、決済指図の伝達や口座情報の取得・顧客への提供を行うことをいいます。具体的には次に掲げる行為のいずれかを行うことをいいます。

  • 銀行振込の一括代行・・・複数の振込先への銀行振込の依頼をワンクリックで行うことができるサービス

銀行法では、「銀行に預金の口座を開設している預金者の委託を受けて、電子情報処理組織を使用する方法により、当該口座に係る資金を移動させる為替取引を行うことの当該銀行に対する指図の伝達を受け、これを当該銀行に対して伝達すること。」と定義されています。

  • 自動家計簿作成・・・銀行口座の残高や利用履歴等の情報を銀行から取得・集計し、自動的に家計簿を作成するサービス

銀行法では、「銀行に預金又は定期積金等の口座を開設している預金者等の委託を受けて、電子情報処理組織を使用する方法により、当該銀行から当該口座に係る情報を取得し、これを当該預金者等に提供すること」と定義されています。

私たち周りの電子決済等代行業者

私たちの身近にも多くの電子決済等代行業者が存在しています。例えば、家計簿アプリやクラウド会計ソフトを提供する株式会社マネーフォワード、経理・会計ソフトのプロバイダーのソリマチ株式会社、家計簿アプリのマネーツリー株式会社、会計ソフトの弥生株式会社などがあります。また、LINE Pay株式会社、楽天証券株式会社、auカブコム証券株式会社、 SMBC日興証券株式会社などの証券会社や株式会社NTTドコモやKDDI株式会社の大手通信携帯電話会社などの通信大手まで、多岐にわたる企業がこの業界に参入しています。

電子決済等代行業に対する規制について

政府は、電子決済代行業が安全かつ適切にサービスを提供できるよう、登録制度の導入や利用者への適切な情報提供、銀行との契約締結義務など、厳格な規制を設けています。これにより、業界の健全な発展と利用者保護が図られています。電子決済等代行業者に対し、以下の規制が課されています。

 

登録制の導入

財務局の登録を受けた事業者のみが、国内で電子決済等代行業を行うことができます。2017年の銀行法改正により電子決済等代行業制度が誕生し、2023年12月31日現在、118社の事業者が電子決済等代行業者として金融庁に届出・登録されています。

 

利用者への適切な情報提供

電子決済等代行業者は、利用者に次の情報を提供することが義務付けられています。

  • 利用者に損害が生じた場合の賠償責任に関する事項
  • 苦情・相談窓口
  • サービスの利用料等
  • 銀行との契約締結義務

 

契約締結

電子決済等代行業者は、サービスを提供する前に、銀行との間で次の事項を含む契約を締結することが義務付けられています。

  • 利用者に損害が生じた場合の銀行と電子決済等代行業者との間における 賠償責任の分担に関する事項
  • 利用者に関する情報の適正な取扱いや安全管理のために行う措置に関する事項等

オープンAPIと電子決済代行業

銀行以外の外部の企業等が銀行システムに安全に接続し、その機能を利用することができるようするプログラムをオープンAPI(Application Programming Interface)と呼びます。このプログラムは、銀行など金融機関が提供するものです。オンラインの家計簿ソフトが銀行から入出金情報を取得したり、カード会社から利用履歴を取得したりする際に利用されている技術です。このオープンAPIが、電子決済代行業のサービスを支えています。今後は、このオープンAPIを利用して様々な新しいサービスが誕生することが期待されています。

結論

電子決済代行業は、オンライン化、キャッシュレス化の進展とともにますますその重要性を増しています。安全で便利なサービスの提供により、私たちの生活を豊かにし、ビジネスの効率化を促進する役割を果たしています。今後もこの業界から新たなサービスが誕生することが期待されています。